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いずれ公爵の男爵 〜今度の人生は努力する〜  作者: 三者凡退
幼少期編

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首席と次席

遅れました。

 翌日の朝、試験結果を見に行く。

 

 朝食を終え、身支度を済ます。


 「さて、行くか。シエル行ってくる。日続き情報収集を頼む。」


 「ヴァル様かしこまりました。行ってらっしゃいませ。」


 宿の扉を開け昨日と同じ試験会場へ向かう。


 試験会場の門を通り、待合室で待つ。


 一時間後、人が集まると案の定階級が高い貴族様から順に受付が始まる。


 そして、試験結果が掲示板に張り出される。


 (ない。どこにも——ない。)


 C、Bクラスの合格発表を見る。


 「あら、ヴァレリウスまた会ったわね。」


 「あぁ。また会ったな。エリシア。」


 「私は次席だったわよ。」


 「そうですか。良かったですね。」


 「ヴァレリウス・シルヴァリオン。エリシア・ヴァレンフォルド。主席、次席。おめでとう。」


 昨日の試験官が話しかけてきた思えばとんでもないことを言った。


 (お、俺が主席!?嘘だろ!?)


 「その感じだとまだ見てなかったのか。君は主席だ。ヴァレリウス君。」


 「ま、まぁ。はい。まだ見つけてませんでした。」


 「ならあっちの方にあるから見に行きましょう。」


 試験官が人がいない掲示板の方を指差す。


 掲示板の前に立ち見上げる。


 そこには主席ヴァレリウス・シルバリオンと書かれていた。


 (まじで主席だ...)


 (首席、俺が。)


 「驚いてるのか。」


 試験官が問う。


 「はい。正直、驚いています。」


 「そうかそうか。筆記満点の実技限界突破してるのに、本人が驚いてるだなんて、嫉妬で殺されても文句は言えんぞ。」


 試験官は苦笑いする。


 急に表情を無くし低い声で問う。


 「それともその謙虚さは男爵家嫡男だからか?」


 (まぁそうだな。実際、そうだ。)


 試験官を睨む。


 「すまんな。そうつもりじゃない。」


 「ちなみに、入学式の最初に二人にはスピーチをしてもらうからよろしくね。」


 「「はい。わかりました。」」




 試験結果を見た後、寮の説明を聞き、帰路につく。


 「ただいま。シエル。」


 「おかえりなさい。ヴァル様。結果は...」


 「筆記満点、実技限界突破の首席だってさ。」


 「それはおめでとうございます。とても、嬉しく誇らしく思います。では、旦那様方にお手紙をお出ししますので。」


 あぁ。わかった。


 (にしても首席かぁ。男爵の俺がか...。嫉妬に燃える人が多いだろうなぁ。)


 


 そして入学式。


 「私は校長のシロトラースだ。これより王暦357年の入学式を行う。」


 会場から拍手が送られる。


 様々なお偉いさんや王族、貴族が祝辞を述べていく。


 「新入生代表。ヴァレリウス・シルヴァリオン、エリシア・ヴァレンフォルド。前へ。」


 「「はい。」」


 エリシアが壇上へ行きスピーチを始める。

 

 「この度はこの王都魔法学校へ入学できたことをとても嬉しく思います。これから五年間、様々なことをして思い出を共に作っていきましょう。先生方、学校関係者のみなさん。迷惑をかけると思いますが、五年間お願いします。」


 会場から拍手が湧く。


 そして俺の番。


 (深呼吸してぇ。頑張るぞ。)


 「皆さん。こんにちは。ヴァレリウス・シルヴァリオン。これからの五年間の学校生活、様々なことがあるかと思いますが、皆さんがんばりましょう。」


 拍手が湧く


 (良かった。ちゃんとできた。)


 首席がやるスピーチにしては物足りない気がするのは気のせいだろう。


 


 入学式が終わり、寮の説明を受け寮の部屋を覗く。


 「なんとも面白い部屋だなシエル。」


 「そうですね。とてもめずらしい作りをしています。」


 寮の部屋は宿より広い、しかしなにより驚いたのは立体的だということだ。ベッドの上にバルコニーらしきものがある。登ってみる。


 「シエル。上がって見てみろ。いい景色だぞ。」


 そこに広がるのは王都と門の外側だ。


 「素晴らしい眺めですね。そういえば、わたしは王都でどうするんですか?」

 

 「上流貴族の人たちは実家に帰らせるらしい。下流貴族は働かせるか、寮におくらしい。だからシエルには悪いけど、冒険者として働いてもらいたいなと思うんだよね。それでもいいかい?」


 「構いません。何か他にも要望があれば何なりと。」


 「そうねぇ。要望ねぇ。」


 (冒険者ができることかぁ。なんかあるかな。)


 (あ。魔石回収とか頼むか。)


 「じゃあ一番儲かる部分かもしれないけど、採集できた魔石は一旦僕に見せてほしいんだよね。良いのがあったら定価より僕が高値で買い取るからさ。その代わり無料で情報をおしえてほしいな。噂とかの。学校じゃ出回りにくいからね。」


 「ヴァル様がそういうなら構わないんですが、普通は無料でよこせと言うもんですよ。」


 「まぁ気にするな。」


 


 最初の登校日。


 「あら、ヴァレリウスじゃない。」

 

 (っげ。その声はエリシアか。)


 「あぁなんだ。エリシア。」


 「今日が最初の登校日だわね。クラスが一緒だからよろしくね。」


 「随分と今日は横柄じゃないんだな。」


 「まぁ一応あんたのことは魔力制御以外は魔術師として尊敬してるからかな。」


 「ふーん。お前にも尊敬なんてあったんだな。」


 「っちょ。馬鹿にしないでよ。わたしにだって尊敬している人の一人や二人くらいはいるわよ。」

 

 {今のところはあんただけだけど。}


 「そうか。そうか。」


 教室の扉を開けて席につくと、その後からエリシアと俺を除いた学生十人が入ってくる。


 (みな、優秀そうだ。)


 (静かなやつ。自信満々なやつ。——面倒そうなやつばかりだ。)


 数刻待っていると先生が入ってくる。


 「ご機嫌よう。わたしが今日からお前らSクラスの魔術教授を務めるローデリック・グランツだ。とりあえず一年間よろしくな。来年のことは結果次第だが。」


 「さてここには試験で魔法回路満点をとったやつが全員だ。そこでこれから一週間は魔法回路の基礎講座を行う。そしてそこで習った技術を使って試しにペアで魔道具を共同開発してみろ。」


 「そんくらいなら余裕だ。」


 気丈なやつが言う。


 (へぇ。そんなに自身があるのか。すごいなぁ。)


 「評価基準は後日説明する。1週間後の課題が始まるまでにペアを作っておけ。じゃあホームルームおしまい。あぁもう一つ。明後日魔法の実技があるから杖が必要なやつは持ってくるように。では、また後で基礎魔術講座をしに来るから。ついでにその時、お互いの自己紹介も済ませるから適当に考えておけよ。」


 ローデリックは去る。


 「ヴァレリウス。あんたと一緒にペアを組んで魔道具開発を手伝ってやるわ。」


 「首席と次席がペアとかありかよ...」廊下から声が聞こえる。


 (ま、まじかよ。こいつとやるのか?嘘だろ。やめてくれ。)


 「どっちなのやるのやらないの。ちなみにやらない場合はアイシクルランスをあなたに向けて撃つから、レディーに向けて撃ち返したりしたら、校長に言うから。」


 (どこまでもエグいな。こいつ。)


 「はぁ。わかりました。じゃあ一緒にペア組もう。」


 「はぁとは何よ!舐めてるの?あんた?」


 ある気丈な男子が歩み寄る。


 「そんなめんどくさそうな男と組まずにわたしと組みましょうよ。エリシア嬢。」

  

 「あんた誰よ。」

 

 「知っても、見てないんですね。掲示板。わたしはエドヴァルド・シグレインです。わたしと組みませんか?ヴァレンフォルド子爵嬢。」


 「いやよ。あんたと組むなんて。どうせ組むならこっちの魔力バカと組んだほうがマシだし。」


 「おやあなたは侯爵家三男の僕より男爵家の息子を選ぶんですか?」

 

 (うお。えぐ。こいつ身分持ってきたぞ。)


 「別にわたしはこいつのほうが優秀で面白いから選んでるだけよ。」


 「そうですか。実力でなく偶然を選ぶんですね。」


 「偶然って。何よ。こいつは偶然なんかじゃないわよ。こいつのは正真正銘のあなたのなんかより大きい実力よ。」


 「そうだ。俺は偶然出ないと信じたいぞ。」俺が反論する。


 「私は努力をしていないものが評価されるのはおかしいと思います。」エドヴァルドが呟く。


 「——いずれ証明されますよ。本物がどちらか。」

 

 「その時はエリシア嬢。一緒にやりましょう。」


 そう言い残してエドヴァルドは踵を返してどこかへ行ってしまった。


 「はぁ。あいつも私狙いかぁ。」


 「どゆこと?」


 「狙ってるのよ。将来の側室として。」


 (あぁ。なるほど。確かにエリシアはまだ六歳ながら美人の片鱗がうかがえる。童顔、青みがかった髪の毛、くりっとした目、何よりこの整った小さい顔だろう。)


 「何ジロジロとみてるのよ。」


 「あ、別に。」


 目をそらす。


 「絶対何か考えてたでしょ。このー。」


 ぽかぽかと殴られる。


 (しかし、まぁ。魔道具開発かぁ。俺まだ基礎習ってないんだけどなぁ。でもまぁ頑張ってみるか。担任が講義をしてくれるって言ってたし。)


 「回路かぁ。理屈はわかるけど組めないんだよなぁ。」


 「あら。組めなくて普通よ。私だってまだ理論だけで組んだことはないのよ。」


 「そう。もとより自信ないから不安だなぁ。」


 「あんたが本気出せばチョチョイのちょいよ。」


 {...あんた。自分のこと過小評価しすぎだしわかってなさすぎよ。}


 (俺は逃げない。)


 (開発からも。エリシアからも。)

4/7に書留をたくさん書くので4/8以降は毎日投稿はあるかもしれませんが、尽きたら不定期か3日に一回とかになるかもなのでご容赦を。ブックマーク、拡散、感想。じゃんじゃんお願いします。

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