再会
この章はこれで終了します。
オズヴァルドは自宅の応接室にてエリシアが来るのを待つ。
「早くこないかなぁ。五年ぶりだもんなぁ。」
鼻の先を伸ばし目は細くなる。今にも涎を垂らしそうな勢いだ。
(にしてもまさか。あのひ弱なヴァレンフォルド子爵に半ば脅迫まがいで娘との婚約を迫ったら三女だからと安々とくれたのは見ててとても面白い。)
無意識にもっとにやけてしまう。
コンコンコン。
「おぉ。来たか、エリシア。さぁ早く入れ。」
「オズヴァルド様、エリシアではございません。ムーロです。」
「あぁムーロか。入れ。何用だ。」
両扉が開かれ一人の細い、執事らしき人間が現れる。
「残念なお知らせがありますので報告に上がりました。」
「残念なお知らせ?」
色々な可能性を考える、そしてそれと同じ数よくない結果を想像する。
(やめよう。公爵家三男に考えられる想定は大概起こらない。)
「それでその内容は。」
ムーロは気まずそうに俯く。
「そ、それはですね。」
「レジアムサブリミス第一王子のアルベルト様が勅命というかを出しまして。その内容が...。」
「十五歳未満の男女の結婚を禁止するということらしいです。」
少し愕然として間が入る。何かをはっと気づく。
「で、でもその勅命(?)以前にまとまっていた話は続行だよな。さすがにそれはおかしい。」
「それなんですけど。そんな変なことをしていたのは公爵、お前のところだけだろと言われ、婚約及び結婚式の実行を辞めるよう命令されました。」
「な、なんだって。」
すでに得ることが確定していたものがどこかに行ったときの絶望感は計り知れないだろう。
——
「エリシア様、ご報告がございます。」
「はい。どうぞ、お入りください。」
「報告申し上げます。」
それから召使が語ったことは例に漏れずだった。
しかし、オズヴァルドとの対応はもちろん違った。
禁止という言葉が頭と耳を響かせると口を開けてその場で立ち尽くした。
「そ、それは本当ですか。」
「はい。本当です。」
「そ、それならこの婚約は...。」
「破断です。」
ブワッと何かが込み上げてくる気がした。
その言葉だけでいくら救われるだろうか。ついこの前まで眼の前にいた人と離れ離れになり、性格も顔も体格もこの世の終わりみたいな人間と結婚させられる生地獄のようなこの状況においてそれは天使が囁く言葉のようであった。
泣いた。エリシアはとても嬉し涙を声を殺しながら泣いた。
これからはちゃんと思いを伝えられる。そんな願望が今眼前にかなおうとしてるのだ。まるで大学受験で東大から君すごいねと言われるようなものである。
ドンドンドン。
「エリシア!俺だ!!おい開けろ!!」
「なんでしょう。」
「聞いただろこの婚約は破談だと。でも、お前もこの婚約を望んでいるはず。だから、早くアルベルト様にお前が俺のことを心から愛してることを書状にして送れ!!そうしたら——。」
(やかましいわね。今更何よ。)
「何してる!!返事しろ!!」
(っち。本当にうるさいわね。)
近くにあったリボルバーを手に取る。
侵入してくるであろう的(敵)に備える。
扉が開かれる。
「何をしている!!早く書け!!」
手元が見えないのか命令してくる。
「それはちょっと嫌でございます。」
「なっ。」
エリシアの表情から何か敵意を読み取ったようだった。
「おい!!なんだそれは!!」
軍で見たケベール・一式を見たことはあるもののリボルバーのことなんて知る由もない。
「これですか。そうですね。私がヴァルと発明したものですね。」
「ヴァル?あぁあの男爵家のガキか。そんなやつと作ったものなんて捨てろ!!」
もっと不機嫌そうな顔をする。
「それは嫌ですね。これは私とヴァルの愛の結晶なので。」
まるで自分の子供を見るような恍惚とした表情をリボルバーに向ける。
「な、なに?!!ふざけるな!!!どうでもいいが早く俺の命令に従え!!!」
(まだ立場がわかっていないようね。)
「あなた。今どんな状況に置かれてるかわかってるの?」
「ん?何が言いたい。」
それはこういうことよ。
勢いよく厚手のカーテンと窓を開き家の前を見えるように全開にする。
家の前には馬車が止まっていた。しかもどこかの家紋が入った馬車。
それはこの国で最も威厳のある紋章。そう王家の紋章だ。
「あの馬車はあなたを法廷に連れて行くためのものです。」
「いい加減自分の立場をわかったら理解したらどうですか。」
「き、貴様。最初からこれも手引してたな。」
「いえ。滅相もございません。」
外からオズヴァルドの名前が叫ばれ屋敷の中からも召使のざわつく声や悲鳴声が轟く。
何かを決心する。
「ここまできたら...。」
腰の短刀を抜く。
「お前と一緒に心中してやる。」
「っな。」
(こいつまじか。)
リボルバーを向ける。
「かくなる上は私も...。」
短刀を持ったオズヴァルドは突進してくる。
「そのようなわけのわからないもので身を守ろうとは馬鹿だな!!」
「死ね!!!」
肥えたからだでの突進は予想以上に遅かった。それは少しの訓練でも射抜けるほど遅かった。
ドンドンドン
重厚感のある重い音が屋敷を轟かす。
見ると肥えた腹から血が流れていた。
「く、くそ...。」
「なんだそれは...。」
(撃ってしまった。)
(で、でも多分浅い。あの腹なら致命傷にはならない。)
数秒すると音を辿ってきた王家騎士団が部屋に乗り込んできてオズヴァルドを取り押さえ連行していく、その間に治癒魔術での応急処置が行われた。
危機は過ぎた。
皮肉にもオズヴァルドは自らの腹で死にそうになったものの自らの腹がそれを阻止した結果となった。
——
「君がエリシアさんかい?」
「へ、あ、そうです。」
爽やかな青年に声をかけられる。
「そうか。良かったではこのアルベルトが君をヴァルくんの元へ連れてってあげる。あいつの処分は気にしないでね。」
「え、なんでヴァルを...。」
困惑するも別の馬車に突っ込まれる。
(ヴァルって言ってたけどまさか...。)
——
数時間の移動の末ついたのは魔道具開発署。
幾度となく見てきた建物が目の前にある。
無意識に走り出す。
「ヴァル!!」
入口の扉をバンと破って入る。
真っ先に向かうのは実験室、ヴァルと過ごした青春の部屋。
第一実験室。その看板が扉の上に置かれている。
膝をついて大きな呼吸をする。
(ここにヴァルが...。)
ドアノブに手をかける。
その手にはヴァルが抱いていたような迷いはなかった。
ガチャリ。
「ヴァル!!!」
こちらに気づいたのか。顔を向ける。
「エリシア!!」
評価や絵文字がつかなければ毎日投稿はやめるか一時休止、打ち切りします。
身勝手ですみません。正直、時間もないのに誰にも読まれないのにそれに時間を割くのはもったいない気がするのでそういう決断をさせていただきます。
新作の目処も立っておらず、特にこれと言ったものはないです。
皆さんにとっては一作家が消えただけかもしれません。しかし、やはり人間必要とされるのが一番嬉しいんですよね。アクセス解禁の1時間毎の1pvの数字を見るとまるで作品を上げたかどうかチェックしに来たみたいな感じで自分が惨めになります。確かに僕は文章を書くのが下手くそです。ないことにした処女作、そして本作。それぞれ思いつきで書き始めました。ほとんどの物書きの人はとりあえず書くをモットーに掲げてる人がたくさんいるかと思いますが、自分はそれは違うと思っています。モチベーションや希望がないのに十分に構成を決めずしてどうやって有名になれるのか。そんなことを考えています。
気が向いたりモチベが湧いたり新作の宣伝の手段として投稿させていただきます。
ものを書くってとても難しいですね。文章センスが求められますね。




