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いずれ公爵の男爵 〜今度の人生は努力する〜  作者: 三者凡退
宮廷魔術師編

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23/29

搬出護衛

3日連続100pv超で気分がいいです。

 応接間の件の翌日。


 ルナは俺が逃げたと思って領内で指名手配をしたらしい。


 (実の兄に向かってなんてひどいことをするのだろうか。)


 ガルドもそれを理解してるらしく匿ってくれている。


 「シエル。資料はあるかい。」


 「はい。ございますよ。こちらです。」


 「ありがとう。実際直接会って相談とか計画を練りたいところではあるものの父さんも防衛とルナの監視があるからできないんだよな。」


 そんなことを呟きながら資料に目を通す。


 (なるほど。鉱山までの街道の途中で平均して30の魔獣が出ると。鉱山産出量が多いと魔獣の数が増えるのか。なんとも人為的に引き起こされているように見えるな。)


 データを見ると新たな事がわかった。


 「シエル。どうやらその日の産出量に比例して魔獣が出てるわけじゃなさそうだね。搬出量に比例してるっぽいね。壊滅した部隊の報告はあるかい?


 「ございますが、とても報告書とは呼べる代物ではないですよ。」


 そういいながらわたしてくる。


 報告書には部隊は壊滅、行方不明者はゼロだが全て死亡、鉱山搬出物は全て消失。


 (とても人為的だな。)


 「ヴァル様、明日は現地調査及び護衛とのことです。ガルド様は朝の日が出てから十度傾いたか頃に裏口に待機しろとおっしゃっています。服装はカモフラージュのため魔術師が着るようなローブが好ましいようです。」


 「わかった。」


 


 夜。


 用意された食事は昔食べたものと同じくらい豪華だ。


 「シエルも召し上がれ。ほら。」


 シエルの食事は少し質素だった。


 「私は構いません。それよりヴァル様は家族団欒ができなくて悲しくないのですか?」


 「家族団欒?あぁ、たしかにそうだね。ま、でも特に感じないかな。シエルと食べるのが日常化したから今更どうとも感じないよ。」


 「そ、そうでございましたか。」


 ある一点をみながら話すシエルの顔は少し赤かった。


 ——


 明朝。


 「じゃあ行こっか。シエル。」


 「はい。かしこまりました。」


 スタスタとあまり音を立てずに裏口へと向かう。


 (願わくばルナに会わないでくれ...。)


 コツコツ、コツコツ。


 (やばい人が来た!)


 シエルに目をやり一旦退いて相手を確認する。案の定ルナだった。噂をすればなんのやらだ。


 (っち。ついてないな。)


 ルナが方向を変え廊下の奥の方へと向かう。


 (っほ。良かった。)


 そんな危機を掻い潜りながら着いたのは裏口。この城には裏口が五箇所ある。しかし、基本的に使うのは今目の前にある扉だけだ。


 扉を開け外へ出る。


 そこには一人の兵士が立っていた。小太りのしかしオズヴァルドとはかけ離れた男が立っていた。顔には中世の騎士が着そうな鉄のマスクを装着し胸当てから何まで全て鉄だった。しかし、脂肪がその隙間からはみ出していた。


 (どこかで見たことがある。あ、グラースか。)


 「やぁ。ヴァル様、この度は私がそばにつきますので。」


 「あぁ喜んでと言いたいところだが、ちょっとルナにバレたら面倒事に絡まれるから俺は一人かシエルと行動するよ。」


 「んー。まぁガルド様も容認してくださるだろうし。まぁいいか。じゃあシエルさん。あなたはガルド様のそばの剣として今日は働いてもらいます。ガルド様は大喜びでしたよ優秀な右腕が帰ってきて。」


 どこかキモい。


 「あ、あぁ。そうですか。う、嬉しいです。」


 (おい。そこはさらっと言えよ。)


 そんな会話をしながら部隊へと向かう。


 二十数人の部隊だった。父ガルドを最善の一個手前に配置する感じだ。


 俺は今回子息であるがゆえ最前列の魔術師に置かれた。


 (他の三人の魔術師からあまり好い目を向けられていないな。まぁともかくしばっていくぞ。)


 ガルドが少しの出発の言葉を述べた後部隊は進軍を開始した。


 (思えばこの部隊は全部ガルドの私兵か。)


 ——


 (なぜだろう。報告書には毎回接敵すると書いてあったが、全く接敵しない。ちょっと聞いてみるか。)


 「ちょっとグラース、なんでこんなに接敵しないんだ。」


 小声で尋ねる。


 「それはわからないんですよ。往路での接敵はほぼ皆無です。たまに一匹出てくるくらいですね。」


 「そうなのか。」


 顔をしかめる。おかしな話だ。


 (益々人為を疑うな。)


 ——


 疑問を残しながらも何とも接敵せず鉱山へと到着した。


 入口には3人の作業員が座って地下からのトロッコの到着を待っていた。


 「護衛に参った。」


 「あぁ。ガルド様。今回も頼んます。毎度ありがとうございまっせ。」


 「民を守るのは当然だからな。ところでそちらからは何人派遣してくださる。」


 「あぁ。4人と言いたいところだがそれだと従業員の1/3のだから一人しか派遣できねぇ。連日派遣した人やここではたらいてる人間が行方不明になってて人員が不足してるんだ。」


 「そうか。一人でも構わぬ。それならば準備できたら声をかけてくだされ。」


 「へい。わーりました。ところでガルド様、ここ最近の魔獣の以上増殖どうにか原因究明と解決を頼んますよ。」


 「あぁ。もうすでにやっているが時間がかかりそうだ。すまんな。」


 ——


 坑口からはカンカンと音が聞こえる。


 「この状況にルナはどう考えているんだろう。」


 「それはですね。ガルド様しか介入しておりません。派遣した部隊がバッタバッタ壊滅されて行ってガルド様の私兵しか残っていないんですよ。ガルド様がいないときは領内は脆弱です。そこでルナ様がここの領地の代官と最高責任者として活動しているんですよ。幸いにも現状はうまくいっています。しかしルナ様も来年には王都です。後一年でこの問題を解決しないとこの領地は財政破綻をするか指導者が死亡し隣のシグレイン侯爵家に飲み込まれます。」


 (シグレインってあのエドヴァルドのとこの家か。)


 「また、シグレイン公爵家の三男エドヴァルドからルナ様への側室としての縁談が来ております。」


 「まじか。結構深刻だな。しかもその縁談は許せないな。これが片付いたら俺が自らぶち壊してやる。」


 ——


 「準備が完了しました。こちらです。」


 「今日は木箱2つのガーネットと4つの岩塩か。今日の産出量は?」


 「っへ。約、木箱0.5個と1個分です。」


 「じゃあ今日は大丈夫そうだな。」


 「多分大丈夫でっせ。ではご武運を。」


 「あぁ。また明後日、達者でな。バスラ。」


 ガルドは手を振って王城への帰還進軍を開始する。


 (嫌な予感がする。資料から考えるにこの分は多い。これは間違いなく大量の魔獣と接敵する。)


 昼下がりの太陽が照らす森を縫うような道。


 「注意!!前方、魔獣十匹です。」


 「総員構え!!」


 (さぁ。蹴散らしてやろうじゃないか。これで。)


 懐からリボルバーをとりだす。


 (俺の魔道具が火を吹くぜ。)

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