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いずれ公爵の男爵 〜今度の人生は努力する〜  作者: 三者凡退
宮廷魔術師編

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20/29

帰宅

昨日初めて100pv超えました!!この調子で頑張って行こうと思います!!

 あの大発見から三年。


 エリシアと俺は魔力可視化メガネの開発を終えそれをレイモンドへと提出した。


 三年間、魔力光についての研究に没頭していた俺達は十歳になったことすら忘れていた。


 今日も部署から帰る。生活起点は依然王都魔法大学の寮であった。


 (今日も疲れたな。)


 「シエル。今日は何か変わったことはあったか?」


 「本日は手紙が来ております。ご両親様からでございます。」


 手紙を人差し指と中指で支えて答える。


 「じゃあ読んで要約してくれ。」


 「はい。かしこまりました。」


 蝋で固められた封を開ける。


 ペラりと三つ折りの本文が書かれた羊皮紙を開く。


 「まず、挨拶。次に第三子の妊娠が発覚したようです。側室との子だそうです。それともう一つ、妹のルナ様が一ヶ月後から王都に魔法と作法学びに来るそうです。試験に合格すればそのまま王都でヴァル様に面倒を見てもらうつもりらしいです。」


 (んー。三子かぁ。側室はたしかいなかったはずだから増やしたのかな。)


 頭を傾ける。


 (しかし、妹かぁ。初めて会うというよりあれだな。)


 (多分怖がられる。)


 「シエル。その、ルナ、ちゃんって子とは初対面なんだよね。だから、どうすべきだと思う?」


 「そうですね。悩ましいところですね。まず、その言葉遣いを直すためにもどうにかしないとですし。」


 しばらく考え込む素振りを見せる。


 「一度ご実家に赴くのが最善手かと思われます。」


 (実家に帰る??まじか。ま、でもそうだよなあ。まる五年くらい会ってないし。)


 「じ、実家ねぇ。んー。」


 (でも、ぶっちゃけ帰ったほうがいいんだよな。ルナの顔を見る以外にも顔を出すって名目でもいいしな。あぁ。帰るか。)


 「えーっとまぁじゃあ。帰ってみるか。実家に。」


 ——


 「って感じで実家に帰ろうと思うんだけど。長期休暇しても大丈夫かな?」


 「ふーん。そうしたらいいと思うわよ。確かに私達、しばらく家に帰ってないもの。私は別に3日で行って帰ってこれるけど、あなたはそうもいかないわよ。今頃、地元では神童とか言われてるころよ。領民に威厳をしめすために帰ったほうがいいと思うわよ。」


 真剣な面持ちで言ってくるエリシア。


 「やっぱりそうだよなぁ。」


 しばらく頭を抱える。


 「うん。やっぱり帰ろう。」


 「決まったわね。じゃあ私も同時に実家の方へ帰るわ。一応出迎えてくれるでしょうし。」


 気持ちを乗っけて立ち上がる。


 「それじゃ。決まったことだし。早くレイモンドさんに長期休暇の許可証を私に行きましょう!」


 「うん。そうだね。」


 ——


 「帰宅目的の長期休暇の申請ですね。」


 申請書類に目を落としながら対応する。


 「はい。五年も帰ってないの上に開発も一段落したので良い機会かなと思いまして。二人ともそれぞれのに帰ろうかなと思っています。」


 「そうか。やっと帰ってくれるのか...。」


 「っえ?」


 「この王都に来てから早五年、並の少年少女であればホームシックになって少なくとも年に一回の帰宅を願うはずなのに二人ともは全くそのようなことに無頓着で心配したが、今はない。」


 (っあ。そうなんだ。おかしいのか俺ら。)


 「わかりました。配慮ありがとうございます。」


 「うむ。ちなみに提出してくれたものがとんでもなく価値のある魔道具だからもう八年は開発しなくても済むよ。」


 ——


 身支度。


 (身支度とは言っても大したことはしないんだよな。荷物が元から最小限だから。)


 「じゃあシエル。行こうか。」


 「はい。」


 寮の建物を出る。外は少し薄暗い。


 幾度となく見た白い城門をくぐり抜け、冒険者ギルドへと向かう。


 少し空に光が出てきたところで冒険者ギルドの扉を開ける。


 受付嬢が早朝とは思えない声で挨拶をする。


 「おはよう。ルートレット・シルバリオン領に向かう馬車はいつ出るかな。」


 「ルートレット領へのなら後20分もすれば出ますよ。予約なさいますか。」


 「あぁ。頼むよ。」


 「それでは冒険者カードの提示をお願いします。あ、後ろの方は結構です。」


 「はい。これ。」


 金色に輝く冒険者カード。最上位のランクの証拠だ。


 「あ!すみません!!ゴールドの方だとは存じ上げず。しかも男爵家嫡男の方でしたか。とんだご無礼を。不敬罪での処刑だけはお願いします。」


 「別に構わないよ。無礼だなんて思ってないし、しかも不敬罪ができるのは伯爵家以上だから。ちゃんと勉強しておくんだよ。」


 そう言い残し近くの円卓に腰を下ろす。


 早朝のギルドには人はいない。王都を中心に活動している冒険者は基本的に三時間ぐらい遅く来る。馬車に乗るのは事前に予約して、明朝に現地集合をする。


 (にしても不敬罪は伯爵家以上なんだよなぁ。撤廃か平等にすればいいと思うんだけど。)


 しばらく待っていると馬車がギルドの前に来る。


 豪華のものでは庶民が使うような馬車だ。男爵家の嫡男で事前の準備をなければこんなのが順当だ。


 (エリシアは事前に連絡したって言ってたっけ。)


 「ルートレット領行の馬車いま出ます。」


 (戻ってくるのは3週間後か。その間に何もなければいいな。怪我とかないであってくれ。)


 王都の朝。閑散とした住宅街からは少し生活音が聞こえる。特に自営業の店はもう準備を始めている。


 王都の城壁への道にはところどころ人がいるがサッカーができるくらい人がいない。


 城壁を出ると奥に森、手前に畑と古民家が広がる。こちらも人が起きて作業している。


 空を見上げるとそこには太陽の光で黄色と茜色を割ったかのような色の雲が浮かんでいた。そんな早朝の雲はどこか特別感を与える。日頃、起きないような時間の雲はどこか美しく感じられた。


 馬車の後方で仰向けになりながらそんな景色を見る。


 馬車の振動が伝わるが早起きのせいか眠気が襲う。


 (この穏やかさはいつまで続くのだろうか...。)

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(そろそろタイトル回収しなきゃまずいな。)

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