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いずれ公爵の男爵 〜今度の人生は努力する〜  作者: 三者凡退
幼少期編

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二度目の人生は逃げない

だいぶ遅れました。

 (感覚がない....)

 

 前世と同じ感じで四肢を動かしてみるが何か違う感じもしない。


 (耳も聞こえない。)


 (ひょっとして俺、障がい者として生まれてきちゃったのか???)


 そんなことを考えて焦る。


 (さすがに...耳を澄ましてみよう)


 耳を澄ますと微かに音がする。それも高い音。


 (高い。声みたいだ。女性の声だ。)


 (よかったつんぼではないらしい。)


 (てか、何もみえねぇ。まさか、めくら?)


 五感の内、いちばん重要な感覚が未だに使えない。ーもしくはもとから使えないのか。


 目の周りに力を込める。


 (眩しい。)

 

 暗かった視界が真っ白に変化する。まぶたが開いたかはわからない。


 だんだんと白い視界に色が帯びていく。


 茶色が白に溶ける。


 中央に黒い影が落ちる。前世の感覚から無意識にそこに何か物体があることが認識できる。


 (なんだ。)


 影はどんどん大きくそして暗くなる。


 (く、来るな。近づくな。)


 四肢を動かしてその物体を止めようとする。


 すると視界の四隅から影が伸びる。


 すると中央の影は薄く、小さくなる。


 (っほ。危なかった。てか、動いた。)


 四肢は動くが未だに感覚がない。

 

 前世の感覚をたよりに手を握ってみる。


 (っお。握れた。)


 前世とは少し違うが、同じような感覚。


 するとまた影が近づいてきた。今回は大きくない。さっきとは違う物体が近づいてくる。


 無意識に手を伸ばしてそれを握って払いのけようとする。


 棒みたいなものを握る感覚が伝わる。


 (これは。。!指だ。)


 前世、小学生の時、親友の手を握ったとき以来の感覚が呼び起こされる。


 (誰の指なんだろう。)


 そんなことを考えると高い声が聞こえる。耳を劈くような声だ。握っている指の持ち主が発した言葉だろう。


 (疲れた。)


 眼の前にいる人が安全なものだと気づいた瞬間安心感からか疲れが流れてきた。


 (寝よ。)


 


 目を覚ます。


 視界は先程とは打って変わって明瞭なものだった。ものの輪郭がはっきりしている。目の先に広がるのは白い天井。装飾が少し施されている。顔を右に傾けると小さなシャンデリアらしきものが見えた。


 前世のように起き上がろうとしたが、首が据わっていないのか起こせない。


 (首が据わってないの動かすのは良くないって言うし今は我慢しよう。)


 腕を動かし、自分の手を眼の前に持ってくる。


 (やっぱり、か...なんでだろ?...)


 (ひょっとしたら神様が第二の人生をくれたのかもしれないな。)


 前世の人生を思い返す。やること、努力することに直面する度に逃げてきた人生。


 拳を握る


 (逃げない。俺は逃げない。)

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