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いずれ公爵の男爵 〜今度の人生は努力する〜  作者: 三者凡退
宮廷魔術師編

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職場・上

 「では、自己紹介をお願いします。まず、ヴァレリウス・シルバリオンから。」


 「はい。シルバリオン男爵家の嫡男です。魔法は得意で上級までなら全属性扱えます。魔道具の配属になります。魔道具開発はあんまり得意じゃないですが頑張ります。よろしくお願いします。」


 拍手。しかし、数名を首をかしげている。


 (何がいけないのだろうか。)


 「次、エリシア・ヴァレンフォルド。」


 「はい。ヴァレンフォルド子爵家三女です。魔法は全属性中級まで扱えます。魔道具の配属です。魔道具開発は結構得意な方だと自負しております。これからよろしくおねがいします。」


 お互い当たり障りのない自己紹介を終え視線は宮廷魔術師長に集まる。


 「では、二人ともはそちらのオズヴァルド・グランディール殿が直属の上司になるから説明を受けるように。」


 そこには中年の太った男が立っていた。


 真ん中だけがかすかに禿げていた。そこに丸メガネ。


 (まさしくバーコード頭のくそおっさんだな。)


 (貴族着に着飾っているがなんとも汗臭そうで汚そうなおっさんだ。)


 そうしてオズヴァルドの進む後をついていく。


 「男爵家風情がよくここまで上がってこれたな。でも、これからそうはいかないぞ。」


 「うちの魔道具科はこの棟だ。大体はこの中で完結する。魔術書に関する本、魔石などの何もかもだ。」


 「すごいですね。」


 エリシアが間の抜けた声で返す。


 (こいつも理解がはやいな。)


 「そうだろう。なんせ宮廷魔術師は国民の血税から成り立っているのだからな。」


 (まぁそれをお前みたいなやつに支払われているのは皮肉だがな。)


 棟に入りオフィスみたいなのに入る。


 (おぉ。ちゃんとしてるな。)


 そこにはデスクがたくさんのデスクが置かれていた。


 (前世と何ら変わりはないな。)


 「じゃあお前はあそこの机、エリシアちゃんはあそこね。」


 オズヴァルドが指したところはオフィスの隅だった。


 一方、エリシアの席はオズヴァルドの眼の前。


 「じゃあ持ってきたものがあるだろうから午前にそれを済ませておいて。終わったら早速仕事を出すから。」


 「「はい。」」




 色々と持ってきたものをデスクの中にしまって午一時間前に終わってしまった。


 (エリシアの手伝いでもしてやるか。)


 エリシアのデスクへと向かう。


 「おっと。終わったのか。じゃあもう仕事を出す。この研究資料をまとめて王の幹部に見せられる状態にしてくれ。」


 (っげ。だるいのふってくんなよ。)


 「はい...。わかりました。」


 「何か不満か?」


 「いえ。すみません。では始めますので。」


 「ふん。男爵家風情が調子に乗りやがって。」




 オズヴァルドが渡してきた資料は多かった。


 (まぁ。別に問題はないけど。しかし、これの何がひどいって資料とは言えどなぐり書きのメモみたいな資料ってとこだよな。これを解読含めてまとめるって舐めてるのか。)


 この世界には原稿をかけるようなソフトもないし解読を手助けしてくれるAIもいない。


 (あぁーー。まいったなこりゃ。でも、バカ真面目にやるのはなんか負けた気がするな。)


 (あ、でもそうか。作ればいいのか——。)




 昼休み。[エリシア視点]


 {お昼休みかぁ。ヴァル誘って食べに行こう。}


 ヴァルのデスクへと向かって足を進める。


 「エリシアちゃん。お昼一緒に食べない?」


 後二メートルというところ。


 「は、はい。構いませんよ。どこで食べますか?」


 {なんでこいつなんかと一緒に食事なんかを。そのたるんだ腹と相談すれば昼くらい抜いたほうがいいのは明確なのに。}


 「んーじゃあ王宮の食堂でいいかな。」


 「あ、はい。じゃあそこで。」


 {我慢よ。エリシア。これも接待よ。我慢あるのみよ。}


 「にしても、どうかな?職場は?」


 「あー。いい職場で安心しました。居心地もいいですし。」


 「あぁそれなら良かったよ。」


 {思ってるわけねぇだろ。てめぇの体臭が臭すぎて仕事にならねぇし、それに話しかけれてばっかだからもう進まないのって言ったらなんの。}


 廊下にスリッパのペタペタという音ヒールのカツカツという音が響く。


 食堂には様々な食事があった。それはそれはすごい種類の。しかも、いちいち豪華だ。


 {これは貴族様用ね。国民の血税でこれはひどいわね。}


 「エリシアちゃんはなにを食べたい?」


 「じゃあ私は無難にあのハンバーグ定食で。」


 「そんなのでいいの?」


 「えぇ。まだ給料ももらってないですし。」


 「あぁ。そう。じゃあ僕も買ってくるからこのテーブルで買ったら集合で。」


 そう言ってすたすたと去る。


 {なによ。あのおっさん。そこは「じゃあ奢るよ」とか言ってもいいじゃない。)




 一方そのころヴァルは。


 (はぁはぁ。結構難しいぞ。)


 (タイプライターを参考にしてみたけど。全ての文字をやるのは骨が折れるな。しかも刻んだものが全てそれになるから文字はちゃんとしないといけないから辛いなこれ。)


 作業は昼休憩に差し掛かる。


 (昔見た動画のゴルフボール型のを参考にしたけど結構調整が難しいな。)


 (でも唯一の救いは魔法のコピーでセーブができることだよな。すごい便利だ。)


 作業は難航を究め昼休憩が終わって一時間が経った頃。


 「おい。何をやっている。」


 「あ、いやこれは。」


 「仕事はどうした。」


 「あ、それはやってますよ。」


 まとめられていない資料。


 謎の金属の塊。


 (やばいな。傍から見たらさぼりだなこれ。)


 「これはなんだ。」


 「えっと。資料作成用の魔道具です。」


 「は?」


 「文字を紙に打ち込んでくれるんですよ。」


 「ふざけるな。そんなことして時間を無駄に——。」


 ガチャガチャガチャガチャ——。


 紙に刻まれていく規則正しい文字。


 「——。」


 「これなら今日中に終わらせられますよ。」

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