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いずれ公爵の男爵 〜今度の人生は努力する〜  作者: 三者凡退
宮廷魔術師編

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14/29

就職

二章入りました

 「なんであんなやつが!!エリシア嬢と!!!宮廷魔術師に!!」


 声が裏返る。


 「そもそもなぜあんなやつが首席なのだ!!」


 テーブルを叩く音と怒号が響く。


 「くそ!!地方男爵家の出が出しゃばって宮廷魔術師だなんて!!」


 天井を見上げる。


 「とってやる!享受してやる!エリシアも金も地位も名誉も!!!」


 「まずはあいつの排除だ。」




 「あのぉ。一つ質問がありまして。」


 「はい。何でしょう。」


 王城の応接間。宮廷魔術師として働く話をまとめに来たのだ。


 「えーっとぉ。僕、エリシアとは違って男爵家の嫡男なんですよねぇ。そこはどうすればいいのかなって...。」


 「それならもうすでにシルバリオン男爵家当主のガルド様に話を通してありますので心配なさらず。」


 「あ、そうですか...。」


 (嘘だろ...。俺はここで生涯を終えるのか...?)


 「ヴァル。そんなことを考えることないじゃない。宮廷魔術師になれるのよ。男爵家の地位よりそっちほうが圧倒的に名誉な話よ!!」


 (もう...。どしよ...。)


 (とりあえず頑張ってみるか。どうせいつか転機があるだろうし。)


 


 「ヴァル様、実家よりお手紙が届いております。要約した内容をお伝えしてもよろしいでしょうか。」


 「頼む。シエル。」


 正装の服から腕を抜いて着替えていく。


 「まず、妹様が生まれました。名前はルナというそうです。それで5年後に試験を受けさせるつもりであるようですが、四歳で王都に送ってヴァル様に魔術と家の面倒を見てもらうつもりらしいです。」


 「え。」


 ボタンかけていた手が止まった。


 「続けます。次男が生まれたらヴァル様を当主に据えるとのことです。」


 「え。」


 「手紙の内容は以上です。」


 「それ以外の話は??」


 「他にはなく手紙単体も淡々と連絡事項を述べていました。」


 「えぇ~。」


 (まじか。あの親父。何考えてるかわからないとは思ってけど。そういうことだったのか。)


 (それよりも4年後に妹が来るのか。その前に顔を見ておきたいな。話も聞きたいし。)




 みんな登校した俺を見てきた。


 「あれでしょ。あの宮廷魔術師として働き始める首席の人って。」


 「そうらしいわね。どうやら実家が男爵家だから軽視されたっていうのが実際らしいわよ。」


 「そうなの。まぁでも男爵家ならそれだけも光栄なはずだわ。首席と次席の座は空くというかたちなのかしら。」


 「どうでしょうね。今のところは。」


 そんな会話が聞こえる。


 (わざと聞かせてんのかこいつら。)


 「ヴァレリウス・シルバリオン、校長と担任がお呼びだ。行ってこい。」


 ふっと通りすがりの教師が伝えてくる。


 「はい。わかりました。」


 (口頭でのそういう連絡しかできないのか。なんか通信手段があればいいんだけどなぁ。)




 「おぉ。来たか。」


 「はい。参りました。」


 「じゃあ座ってくれ。エリシアがまだ来てないようだからちょっと待とう。」


 案内されたのは見覚えのある応接間。


 (この前、ローデリックに叱られたところに似ているな。ていうか同じ部屋なのだろうか。)


 そんなことを考えてるとドアが開いた。


 「エリシア・ヴァレンフォルドです。来ました。」


 「あぁ。座ってくれ。」


 「失礼します。」


 「それで呼んだのは君たちが宮廷魔術師として働くうえでこの学校の対応についてでね。」


 ローデリックはソファに深く座り込みながら指を空でくるくるさせる。


 「それでそんな優秀な首席と次席を外すのは恥だし、外したらその座の奪い合いが発生する。そこで提案というか強制なんだが、籍はこの学校において授業への出席や何もかもは気にしなくていい。受けれるときだけ学校に来て受けてもらえばいい。」


 (なるほど。名ばかりのそれってことか。)


 「それなら僕は別に問題ないです。」


 「はい。私も。」


 (まぁ特に不都合はないしな。それで卒業もできるんだったら文句はないな。)




 (にしてもルナが来るまでにいろんなことが山積みだな。)


 夜、寮の天井を見上げながら思う。


 「なぁ。シエル。近い内に実家に帰ろうと思うんだよね。魔道具の開発が一個終わったらさ。」


 「構いませんよ。私も同行できるなら開発が終わり次第手配いたします。」


 「ありがとう。そうえいば最近の冒険者としての生活はどう?」


 「特に問題なく進めております。」


 「そう。これから貯めてくれてた魔石をたくさん買い取らせてもらうからお願いね。」


 「はい。」


 (まず。研究だろ。その次に実家に帰って——。)


 (あぁ。やめよ。気が遠くなる。)


 (までも。ちゃんとこつこつやれば大丈夫だ。)




 「では朝の点呼を取ります。」


 次々と名前が呼ばれる。


 それは名前だけは聞いたことのある名前だ。


 「ヴァレリウス・シルバリオン。」


 「はい!」


 「エリシア・ヴァレフォルド。」


 「はい!!」


 「今日から新たな宮廷魔術師が入ります。」


 「では、自己紹介をお願いします。まず、ヴァレリウス・シルバリオンから。」


 「はい!!」

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