間話ー茜色の実験室
「ねぇヴァル。この前の魔力暴発の事件なんだけどさ。」
「あぁそれがどうしたの。」
「名前をつけようと思うの。」
「良いと思うけど、俺だけしか引き起こすことのできないことに名前なんてつけても意味ないと思うけど。」
「かっこいいからいいじゃない。」
「ははは。」
今は絶賛ケベール・一式、ケベール・二式、ケベール・三式の細かな報告書を二人で書いているところだ。
一式は単純な弾丸発射のみ。二式は装填あり。三式は圧縮発射あり。それぞれ必要魔力が異なる。
「そうねぇ。結局私達はあれを魔力の流し過ぎっていうので解釈したから...。それと魔力線が勝手に現れるっていう要素も加えると——。」
エリシアは唸っている。
「そうだ!!過負荷分流暴走ってのはどう??!!かっこよくない?!」
「過負荷分流暴走...。確かにこの現象の的を射ているな。」
「でしょでしょ。しかも何よりかっこいい。」
「それは言える。だけど結局、その現象は僕限定だからなんとも言えないよなぁ。」
「でもいいと思うわ。だって先人がいるといないとでは違うもの。」
(確かにそうだ。自分が最初の症例だったら病気のとき怖いようにそうだ。)
「うん。じゃあそれにしよっか。」
「ところでさ。提案なんだけど。わたしたちの実験室交換日記つけてみない?」
「実験室交換日記?なんのために?」
「それはやっぱり後輩たちに見せるときよ。」
「なんで。」
「建前は記録。実際は私達がどれだけすごかったかを証明するものよ。」
「ははは。それはいいかもね。建前の目的でも確かに重要だし。」
「じゃあ決まりね。銃の記録も全部ここにまとめるようにしましょ。」
手渡してきたのは一冊の日記帳。
「わかった。今日からスタートだ。」
これにて一章は終えます。次章をお楽しみに




