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パンクラチオン

1944年6月7日 ベルリン OKW(国防軍最高司令部)


 昨日からノルマンディー地方に連合国が上陸作戦を開始した。

 その規模は推定で10万~15万だ。

 比較的規模の大きな上陸作戦だが、現在東部戦線ではもう一桁上の数を両軍が揃えて双方で100万づつの戦線で戦争中だ。

 参謀本部もカレー港上陸の陽動作戦の可能性が高いと見ている。

 ロンメル元帥のみが水際での殲滅作戦遂行を主張しているが上陸作戦の敵兵の錬度が極めて低い。

 敵に向かうより女性に向かって襲い掛かる兵士が続発しているようだ。

 東部戦線から精鋭5個師団も移動させれれば壊滅することすら可能な連中だ。

 もっとも東部戦線は1個師団たりとも動かすことは出来ない。

 もはや東部戦線にマンシュタイン元帥はいないのだ。

 戦争の芸術家は前線から立ち去った。

 残った西方戦線といえば東方の義勇兵、や懲罰部隊で正面戦闘の兵力としてはあてにできない連中だ。

 そんな連中でも犯罪者集団の軍隊には十分に相手できるだろう。

 こいつらが捨て駒の陽動兵力だとして主力がカレー港上陸を目指しているのか、それとも赤軍が大規模攻勢を予定しているのか。

 どちらにしろ西部戦線は現状のB集団以外は向けられない。

 ロンメルとルンテシュタットの両元帥に任せること以外は出来ないのが本音だ。


1944年 7月18日 ベルリンOKW

 

 ロンメルが重傷を受けた。

 英国のスピットファイヤーの機銃が頭部を掠めらたしい。

 命に別状はないようだが、東部戦線で赤軍が活発に活動して火消しに追われている。

 このため西部に回せる部隊がない。

 東部では両軍で200万人以上の全面戦闘だ。

 西部の20万人程度の部隊に手をかけることが出来ない。

 オマケに西部ではドイツから離れてパリに主力に向かっている。

 この辺りはヴィシーフランス軍が対応するだ。

 もっとも西部の連合軍の進軍では婦女暴行が多発し民間人の女性を隠すのに追われているらしい。ひどい話だ。

 東部では後退要請もひっきりなしに来るが、戦死行方不明が30万人、負傷が12万人、捕虜15万人と見積もられ、降伏しても殺されているのがわかる数字だ。

 そうなれば最後の一発まで敵に当てて後退させる以外に生存方法がない。

 それと将軍達は戦場難民の問題を軽視しているというか、わかった上でそれでも後退して戦線を再編したいのだろうが……

 軍人は後退するときに何が起こるか、その土地に住んでいた住民の難民化である。

 そうなったとき統制の取れた後退は不可能。

 民間人の津波により軍人の退却は巻き込まれて、予定箇所での停止とか部隊再編は不可能になる。

 つまり前に出る以外で再編成の移動は不可能なのだ。

 東部戦線ではソ連は1500万人、民間人を含めると3000万人の被害を受けている。

 一旦後退すると民間人を巻き込み莫大な被害が発生する。

 ちなみにドイツ軍は400万人、民間人こみで700万人が推定被害だ。

 ソ連の攻撃も数の上ではほぼ互角なのだが、再編され再度攻撃される状況が厳しい。

 中央軍集団が壊滅するまでに敵20万人、負傷60万人の推定が出されている。

 ソ連では兵士が畑で採れるという噂の現実味がつくづく理解される。

 戦線の再編は前線の死守による時間確保の間に第二戦線を作るしかない。


 おそらくハイマートでの決戦が待っているのだろう。

 最後までついてきてくれるのは何人だろうか……

悪評のみが聞かれるヒトラーの死守命令ですが、当時の戦場・民間人の避難状況、機動防御をする燃料弾薬の備蓄を考えると退却時にソ連並みに民間人を轢き殺さない限り、退却は有効性が乏しいようでした。単に逃げるだけでは難民を巻き込みますので、死守して民間人を逃がした後の退却のほうが損害は少ないでしょう。

それにソ連軍は20%の戦死60%の負傷率です。ドイツは30%戦死25%の負傷率ですから単にソ連が物量で損害関係なく押し進んだようです。

ちなみに西側連合軍は20万人未満ですのでドイツは主力を向けてないようです。

英国本土にはアメリカ軍が100万人来てますので戦略上はすごい制約だったようですが……


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