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奇妙な戦争(フォウニーウォー)の序曲

1939年9月20日 ベルリン 総統公邸


 めんどくさい。

 というかゴミ国家消すのにこんなにゴタゴタするとは思わなかった。

 オマケに英仏は本気でないとはいえ宣戦布告までしてくるし、どうやって収拾すればいいのか予想すらつかない。

 もともとポーランドを占領したがったのはソ連だったのに、英仏はなぜかソ連にはまだ宣戦布告しない。

 あいつらに引っ掛けられたと考えるしかない。

 この状況をどう理解すればいいのか……少し前、8月位に戻って考えてみよう。

 

 8月に外交部はソ連と秘密条約の締結にこぎつけた。

 とはいっても条約なんて鼻紙よりも薄い抵抗にしかならないソ連相手である。

 こちらとしても気休めもいいところだった。

 条約交渉中ににソ連が一年以内にポーランドを占領すると公言しなければ条約締結は無かっただろう。

 

 ポーランドがなくなるのは別に気になることではないが、そうなるとドイツの国境線とソ連の国境線が直接接触することになる。

 それは国防上大きな負担になる。

 どうしても緩衝地帯が必要だと判断した国防部と外交部の努力のおかげで独ソ不可侵条約とそれに付随するポーランド分割案が締結された。

 ドイツは先に侵攻を開始して東3分の一を分割、ソ連は後から侵攻して西3分の2という不平等なものだったが先にポーランド占領を宣言していたのがソ連のため妥協せざるを得なかった。

 その直後にポーランドはドイツによる侵攻に対して英仏と国境防衛同盟を締結。

 そのことを国際的に広く宣伝していた。

 ユダヤ人の件でドイツの面子を潰したのがわかっていたし、ユダヤ棄民を行ったあと国内の少数民族が次は自分達の番だと治安の悪化が酷くなってきた。

 これではいつドイツが治安維持のために進駐してくるかという恐れが、その動きになったのだろう。

 本来なら英仏も絡む危ない橋なので渡りたくも無かったが、ソ連が9月中旬に侵攻するので、その前に侵攻しなければポーランド全域を占領するとの宣言をうけ、条約無しでソ連と直接国境を接する面倒を考えた結果9月1日に侵攻を開始。

 その前に一応、宣戦布告の原因になるような工作は仕掛けて20件以上の建前を作り出した。

 参謀本部は事態白プランバイテを立案。

 3箇所から侵攻することで新兵器の戦訓を確保しながらの戦争になった。

 もちろんその前に外交部が英仏と緊密な交渉を行い、その感触から即時介入はないと判断された。

 

 それなのに9月3日の段階で英仏はドイツに宣戦布告。

 しかし、それ以降もポーランドへの支援は一切無し。

 まるでポーランドがつぶれるのを待っているような対応だった。

 ただドイツとしては西部戦線へ警戒せざるを得ず、参謀本部の連中の胃に対する攻撃は非常に激しかったらしい。

 何しろ国内の主力の殆どがポーランドに抽出されたため、フランス国境線近くのジークフリート線での塹壕戦しかできず、フランスが攻勢をかけてくれば大規模な戦線後退を余儀されるのはわかっていたからだ。

 それなのにフランスは宣戦布告だけで侵攻の兆しがまったく無し。

 よくわからない状況であった。


 思うに世界大戦と同様にロシア(ソ連)との両面戦争にドイツを引きずりこむつもりが、東部で戦線ができないため躊躇していた。もしくはそれをソ連に工作をしていたというところだろう。

 つまりフランスは国境をマジノ線で固めることでドイツ侵攻を防ぎ、ソ連が後ろからぶん殴る計画を立てているようだった。


 だがそれも9月17日にソ連がポーランドとの緒条約を蹴散らしながら侵攻してきたことで吹き飛んだはずだが?

 戦場ではソ連との約束に基づき、包囲中の地域でもソ連分ならソ連軍に渡し、ワルシャワ攻略に転進した。

 戦争自体は参謀本部の計画通り、戦訓も山ほど手に入った。

 ポーランド軍は軽騎兵が予想以上に強かったが、装甲化も遅れ低火力軍隊である。

 参謀本部が計画した歩兵と飛行機による爆撃の組み合わせた包囲殲滅戦で十分に対応できた。

 機甲部隊の多発する故障への運用上の注意が今回の最大の戦果かもしれない。

 

 というわけで、ポーランドという国は速やかに消滅に向かっている。

 フランスはポーランド難民を受け入れることで亡命政府の樹立を画策しているようだ。

 

 こうやって見ると英仏が戦争する気がないと報告してきた外交部の見間違いも止むを得ないものだという気がする。

 フランスは甲冑着込んで無傷で済むように準備した盾になる気しかなく、英国は海は優勢だが陸では人口から大兵力の投入は困難。

 殴りかかる奴がいない状況でドイツに宣戦布告したのだから、ソ連に殴り役を引き受けさせたくてうずうずしているようだ。

 まあ、あの国だ隙を見せれば殴りかかってくるだろうことを前提としてポーランド領を干渉地域として抑えたのだからいいのだが。


 彼らを見ていると戦争というのはもっと真面目にやるものではないのか。他国を当てにして出鱈目なソロバンを弾いていればいいとは……列強の戦勝国というのは楽な国家運営ですむものだ。

 

 だがそんな甘い算段は、ポーランドから主力が戻って来次第、叩き潰してやる。

 ドイツが賠償金でどのような思いをしたのか……自分の身で思い知れ!

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