表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/72

鳩からコンドルへバトンリレー

1936年8月16日 ベルリン オリンピアシュタデオン


 平和の祭典オリンピックが8月1日より始まった。

 開催に至るまではいろいろな苦労があったが、無事終了を迎えようとしている。

 オリンピック開催地で決戦投票の相手だったバルセロナは人民オリンピックを開こうとしていたがスペイン内乱が7月に勃発。共和国側コミィに反乱軍が立ち上がった戦争でドイツとしても派兵を含む最大限の援助を予定している。

 それとどこから流れたのか?ユダヤ人に対する人種差別説が各国で流れたせいで、そのイメージの払拭に追われた。

 そんな差別があったならユダヤ人が毎月1万も流入してくるとか考えられないのだが?

 ニュルンベルク法を根拠に挙げてくるが、あれは各国が暗黙でやっていることを成文化しただけであり、ユダヤ人からも歓迎された。

 ゆえに差別ともいえない内容だ。

 むしろ流入したユダヤ人に、どうやって母国に戻ってもらうか悩んでいる。

 特に東欧圏は戻りたがらない。

 オリンピック用の公共事業が莫大な労働力を必要としていた今日まではともかく、公共事業が一息つく明日からは外国人の就労について手綱を締める必要があるだろう。

 だが外国人就労者の多くがユダヤ人であることを考えると、どうやれば帰国させられるのかで頭がいたい。

 だがそんなことを吹き飛ばすくらいオリンピックというのは楽しいものだ。

 列強にすでにドイツは敗戦から立ち直っているとしめしたくて、多くの建物や宿泊施設を作ったが、何かいま一つピンと来なかった。

 そのときゲッペルスからとんでもないアイデアが挙がってきて興奮させられた。

 アテネで古代さながらの方法、鏡の反射で点火してその火を人間のマラソンでリレーしてベルリンまで持ってこようというのだ。

 古代ギリシアから伝わるという炎の復古感といい、脈々と受け継がれてきた歴史の重みを示すものとしてのリレーでの運搬といい、旧来を否定する共産主義者には考えもつくまい。

 これぞまさに華麗な気品すら漂う人間の営みである。

 このアイデアは聞いた瞬間に採用し最優先に取り組む課題になった。

 炎が絶対に消えないようにカンテラでの運搬も考えたが、リレーしづらいということで、石油を用いたた松明もどきを設計させることになった。

 実施にはルドルフ・ヘスに任せた。

 彼には法律の制定以外は全権委任してあるのだが、権力を使うことに怯えているようなところがある。もう少し大胆に、それこそ私の分身のように動いて欲しいのだが……

 まあ、この仕事は彼は全力で行ってくれた。

 なにしろ平和の祭典だ。

 彼ならば全ての難関は排除できるだけの権限は有している。

 うまく道がつながってない箇所には軍の路面敷設部隊が急遽舗装路を作り上げた。


 ……舗装工事をする際にその周辺の測量結果が手に入ったのは偶然だろうか?

 道が寸断されていたのが東欧に多かったことを考えるとゲーリングあたりが知恵を出したのかもしれない。

 まあそれはおいておいて突撃隊の前身は「体育及びスポーツ隊」と名乗っていたくらいだ。

 多くの代表選手が突撃隊から選抜されたのは言うまでもない。

 軍人だけが代表選手になっている国に比べてドイツは民間人が選手になっているということでそのような国に比して圧倒的に文化的な素養が高く見える。

 これはスポーツを好むだけの余裕が国民にあるということを内外に示すいい機会になった。

 ドイツに喧嘩を売る国は激減するだろう。

 

 あとは実力をつけるため戦訓が欲しい。

 いつスペインに援助部隊を送るかだけだが、空軍からコンドル義勇軍という名前で8月中には着きたいと言ってきた。

 まったくオリンピックが終わり次第あちこちとの調整が大変になりそうだ。

 見物客が帰る便の横をコンドル部隊が運ばれているということも起きそうだな。

 まさに平和の祭典の終了にふさわしい光景だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ