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悪魔と妖精天使の邂逅

1929年10月30日 バイエルン州 ミュンヘン 「ホフマン写真スタジオ」

 

 アメリカで株価が下落して、ドイツにも影響があるだろうと夕食をとりながらヒトラーさんはホフマン社長と話をしています。

 今日たまたま写真を撮りに来たヒトラーさんは私の脚線美にひとめボレのようで、チラチラと隠したつもりで脚を見ています。

 写真スタジオという職場柄、今年入社してからの短期間でもたくさんの人にあっていますが、中年でここまで初心な人は少ないです。

 大人の方はだいたいが腰より上を注視して話かけてくるのですが……17才の小娘相手に真剣に対応してくれる方はいませんし、自分も色仕掛けができるほどの魅力もありません。

 ゆえにエロ中年のスケベ親父に分類しようと思います。


 ドライブにも誘われましたが身の危険を感じてお断りしました。

 「ブラウン女史はオーヴァーザルツブルクに行ったことは?5月に山荘を購入したんだが、私の姉と娘達が管理人として住まわせているのでいつ行っても大丈夫だよ」

 この言葉を聞いて警戒しない女性はいないと思いますし、誘い下手という感じがします。

 ヒトラーさんが帰ったあと、ホフマン社長から謝罪されました。

 彼は政治家で美女や妖艶な夫人が群がってくるせいか、自分から女性に誘いかけたりするのは見たことが無い。

 今日君にドライブを誘ったのはまったくの予想外だったし、今言った事情から本気がでつきあうのはやめたほうがいい。

 ちょっと驚きでした。あの変な髭の小父さんがそんなにもてるというのは予想外です。

 帰ってから父に今日の出来事を話すと、父は強い拒絶を示しました。

 父は教員ですが温厚で、記憶の限り、誰かを強く否定することは無かったと思います。

 そこまで否定される人物があの変な髭の小さな小父さんというのもギャップがあって……どんな人物かちょっと興味がわいてきました。


1929年10月30日バイエルン州 ミュンヘン 旧自宅


 今日は最高の日だ。

 ドイツの妖精を発見することができた。

 隠すように自然に目に入れたが、あの脚線美は目を離すのが難しいほど美しい。

 しかも、それが17才もうすこし時間がすぎればもっと艶っぽい脚線を生み出すだろう。

 ぜひともお付き合いして成長を見ていたいものだ。

 

 そういえばアメリカで株が下落したと大騒ぎをしているが……ドイツにはどのような影響があるのだろうか?

 明日にも党の経済部門の担当者と相談してみよう。

 これまで読んできた経済書からすると無茶なことは起きそうに無いが、ドイツの復興景気を支えているのがアメリカの短期資金というのが引っかかる。


 そういえば我が家の妖精には経済問題で来月は帰れないと手紙を出しておかないと、心配するだろうから……手紙はエミール・モーリスに届けさせるか。古い知り合いと話せば暇つぶしにはなるだろう。


1929年11月 3日 バイエルン州 オーヴァーザルツブルク ヴァッフェンヘルト ハウス


 今日エミールさんが叔父さんの手紙を運んできました。

 今月いっぱいはアメリカで起きた経済問題を見極めるためにミュンヘンに留まるようです。

 このアメリカの株安は周りの別荘管理人のあいだでも持ち主からの指示がとんでいます。

 いわく「いつ手放してもいいように貴重品を送り返せ」とか「売買契約の下見にいく」とか

 管理人さんたちは変わらないので、こちらの生活に変化があるわけではありませんが慌しさに大きな変化がくるのではと相談し合っていたところです。

 あとエミールさんは1週間程留まって、私の暇つぶしの相手になれと叔父さんから命令されたそうです。

 「この1週間でやりたいことがあれば何なりとお申し付けください。」真面目な顔をしたまま言うので思わず噴き出してしまいました。

 とりあえずは自動車で来ているので冬が本格的になる前に、越冬用準備の買い出しに付き合ってもらいましょう。

 12月には叔父さんも来るでしょうから不足品のないようにしておかないといけません。


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