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鬼はクエスト結果を報告する

前章までのあらすじ


マックスは森を駆けずり回り、ゴブリンの耳を集めた。

マックスは、ギルドに入るなりカウンターにゴブリンの耳を積み上げた。

「おい、戻ったぞ。耳五十匹分だ。受けとれ」


カウンターに積まれた緑色の耳の山を見て、受付嬢は顔が引きつった。しかも生臭い。

「お、お疲れ様です……数えますね……」

受付嬢が一つ一つ丁寧に数えていく。食堂の冒険者たちが、ぞろぞろと集まってきた。見物する気満々だ。どうせ偽物だろう、という空気が漂っている。

受付嬢は耳を数えながら、目が座ってきた。

「一、二、三……十四、十五……二十……」


冒険者たちは、仲間と肘をつつき合いながら、にやにや笑っている。

「なぁ、あれ絶対どっかで買ってきた耳だぜ。ゴブリンの耳なんて闇市で売ってるもんな」

「ちょ、ちょっと待て。あの大きいのはゴブリンロードの奴じゃね?あんなのは流石に売ってないぞ」


「三十、三十一、三十二……」手が震え始めた。

「三十八、三十九、四十……あの、本当にこれ全部……?」マックスの顔を伺うと、静かに頷いた。

「四十三、四十四、四十五」受付嬢の額に汗が浮かんでいた。

「四十六……四十七」受付嬢の手が止まった。

ごくりと唾を飲んだ。

「残念ですが四十七です。三つ足りません」


「いや、これも頼むわ。まだ生きてるけどな」

今まで気づかなかった。耳のインパクトが強すぎた。

マックスの小脇に抱えられたゴブリン三匹を見て、目が点になった。口がぱくぱくと開閉する。

「い、生きて……?」


食堂が静まり返った。ゴブリンを生きたまま持ち帰る冒険者など、前代未聞だった。普通は殺す。問答無用で殺す。それが常識だ。

笑いが凍りついた。

「は……? なんで生かしてんだ?」


受付嬢の呆けたような顔は、マニュアルを必死に思い出している顔だった。額に汗が浮かぶ。

「え、えーと……ゴブリンの討伐証明は耳ですので、耳さえ提出していただければ……生きたままの持ち込みは、その、規定外といいますか……」

足折れのゴブリンが暴れた。きぃきぃと叫んでいる。瀕死の一匹はもう意識が朦朧として動かない。子供ゴブリンはぶるぶる震えている。


その時、騒ぎを聞きつけたギルドマスターが奥から出てきた。ゴブリン三匹を見て、眉を上げた。

「……おい新入り。それ、どうするつもりだ」

食堂中の視線がマックスに集中していた。殺すのか、逃がすのか、それとも。冒険者たちの目には好奇と警戒が入り混じっている。

「どうする?何も考えてなかったが、取り敢えず報酬をくれ。それから考える」

「……確かに耳は五十ある。問題だらけだが問題ない」


受付嬢は、ほっとした顔で書類を取り出した。

「は、はい! では報酬ですね。ゴブリン五十匹殲滅、Cランク依頼。報酬は金貨五枚になります」

金貨を五枚、カウンターに並べた。

Fランクの冒険者が、半日で金貨五枚。一般的な冒険者が一ヶ月かけて稼ぐ額だ。食堂の冒険者たちがざわついた。


「それと、ギルドマスターの判断でランクをDに上げる、ということでしたね。カードをお預かりします」

ギルドマスターは腕を組んだまま、マックスを見ていた。目が鋭い。

「……認めてやる。Dランクだ。だがな、新入り」

顎でゴブリンたちを指した。

「そいつらギルドの中で暴れられたら困る。さっさと処分するか、外に出すか決めろ」


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