↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
春立つ日ちぬ  作者: 夜名
第1章:滲んだ記憶と一通の手紙

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/17

プロローグ:紙の上の冬

言葉というものは、ときに水に似ている。

掌からすり抜けて流れていってしまうこともあれば、凍りついて二度と動かなくなってしまうこともある。

「――綺麗に直るよ、この手紙」

冬の終わりの、どこか湿った風が吹き抜ける夕暮れ時。

古びた木枠のガラス戸の向こうで、彼女はそう言った。

彼女の指先は、まるで赤ん坊の肌を撫でるように、黄色く変色した昭和の和紙をそっとなぞっていた。その指先から零れ落ちるあたたかな光を、僕はただ、息を止めて見つめることしかできなかった。

立春――春が立つ日。

暦の上では春が来ることになっているけれど、この街の風はまだ刺すように痛い。

僕と彼女の、二度と戻らないあの季節の物語は、途切れたインクの文字と、宛先のない一通の手紙から始まったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。