↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「真実の愛を見つけた」ならどうぞお幸せに ———放置された公爵令嬢は婚約を破棄して魔術の頂点を目指します  作者: もも子
エレノアの覚醒

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/47

美味しいごはんと海の異変

帝国の慌ただしい祝賀会と取り調べを終えた私たちは、飛行船の針路を東へと向けた。


目指すは、豊かな海と独自の魔導文化を持つ東方の交易大国『東方華仙郷(とうほうかせんきょう)』。


「うわぁぁぁ! エレノア様、街全体がお祭りみたいです!」


『ステラ・グランヴェル号』の甲板から見下ろすと、鮮やかな朱塗りの建築物と、海上に浮かぶ巨大な魔導灯篭の光がどこまでも広がっていた。


「まあ……とても風情のある美しい街並みですわね」


王宮の重苦しい空気や、極地の極寒とはまるで違う、華やかで活気あふれる東方の風。


港に降り立つと、さっそく香ばしい醤油と新鮮な海鮮の香りが漂ってきた。


「見てくださいエレノア様! お魚を直火で炙った料理ですって! すごく美味しそうです!」


「ふふ、シオン。まずは腹ごしらえからにしましょうか。ルーク院長もよろしいですか?」


「ああ。せっかく遠出してきたんだ、異国の文化と食を楽しんでからでも遅くはない」


ルーク院長も琥珀色の瞳を細め、珍しそうに屋台の並ぶ街並みを眺めている。


串に刺さった出来立ての炙り魚やモチモチとした米の菓子を頬張りながら、私たちは束の間の観光を楽しんだ。

王宮で「貴族の嗜み」という名のもと、格式ばったマナーに縛られていた頃には考えられない自由で温かな時間。


だが——平和な空気は、海からの「不気味な地鳴り」によって一瞬で破られた。


ズズズズズズズ……っ!!


「な、なんだ!? 海が赤く染まっていくぞ!?」

「巨大な津波だ! 港の防壁を超えてくるぞぁぁっ!」


街のあちこちから悲鳴が上がる。


港の沖合を見れば、美しい青色だった海が禍々しい紫色に染まり見たこともない巨大な津波が街へ押し寄せようとしていた。

その中心には不気味に明滅する紫色の陣が浮かび上がっている。


「ちっ……『深淵の天秤』の連中か。もう次の魔導炉に手を出しやがったな」


ルーク院長が冷ややかな声で吐き捨てる。


「エレノア様、あの海の津波、直撃したら港街が一瞬で飲み込まれちゃいます!」


「させませんわ」


私は食べかけの串をシオンに預けると、ゆっくりと港の先端へと歩み出た。


観光を邪魔された怒り……というわけではないけれど。

せっかく美味しいごはんを振る舞ってくれた素敵な街を、怪しい組織の身勝手で壊させるわけにはいかない。


「——少し、海を鎮めてまいります」


私は静かに右手を天へ掲げ、星辰(せいしん)魔術の展開に入った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。