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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
四十二章 演舞の教授

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二百七十話

「……………はぁ」


 生徒たちを鍛えて一ヶ月、クライシスは教室へと着き椅子に座ると身体を倒してため息を吐く。

 あまりにも疲れ切ったその姿にクラスメイトたちも急に倒れたりしないか不安になる。


「なぁクライシスくん。まだまだ教える相手がいるとはいえ休んだほうが良いんじゃないか?」


 一ヶ月間、一度も休むことなくクライシスは鍛えていた。

 教師たちは最初は休みの日も入れていたがクライシスが休みが無い方が早く終われると強行させた。

 最初は難色を示していた教師たちだったがクライシスが痛い目を見て休みの重要性を理解してくれたらと祈って頷いた。

 そして、その結果クライシスは休みの重要性を理解し現在後悔していた。


「そうだな。結構キツイし、頭が痛い。だけど終わらせないといつまで経っても配信も再開できないし自分の時間も取れない。なら毎日教えて早く終わらせたほうが遥かにマシ」


「………いや。配信を優先してくれて良いから」


 この一ヶ月間、クライシスは配信を一切していない。

 冗談抜きでクライシスの時間を指導に使ってもらっている。

 だからクライシスにあまり悪いことを言いたくない。


「俺がお前らの立場だったら配信よりも教えてくれと思うが?」


「「「「「「「「嘘だ!!!」」」」」」」」」


 クライシスの反論に教室にいる生徒どころか話を聞いていた廊下の生徒たちも揃って否定する。

 わざわざ自分の時間を削ってまで指導するようなやつがそんな文句を言うわけが無いと生徒たちも、そして教師たちも思っている。

 もし言ったとしても本来予定していた指導を自分の都合で取り消しにした場合ぐらいのはずだ。


 そもそも生徒たちの多くはクライシスの配信も楽しみにしているのだ。

 それが無くなって人生の彩りの一つが無くなってしまった者もいる。


「むしろ配信を優先してくれて良いから!」


「配信して!」


「最近してないし一ヶ月ぶりにしてください……」


「でも、後一ヶ月繰り返せば指導は終わりだろう?」


「倒れて延期したほうがヤバいだろ!というか今日はもう寮に戻って休め!」


 だからクライシスに指導よりも休むか配信してほしいと一斉に頼む。

 見ていて本当に倒れそうで不安になる。

 何よりも頭が痛いと言っていたし本当にヤバいんじゃないかと心配になる。


「あー、お前ら大丈夫か?」


「先生!」


 教師が来たことに生徒たちは嬉しそうな顔をする。

 保健室に運ぶか寮に戻すか探して了承を取る必要が無くなった。


「先生、クライシスくん今日は頭痛いそうなので休ませますね。あと放課後の指導もなしで」


「あー。俺は構わないし今日の予定だった生徒にも連絡しておくけどクライシスくんはそれで良いか?」


「まだ…………休みます」


 教師の確認にクライシスはまだ動けるからやると応えようとするが周囲からの圧に黙らされる。

 普段なら周囲の圧なんて無視しているはずのに従っている辺り生徒も教師も疲れているな、と認識できる。

 教師としてはこれで休みも必要だと学ぶことも出来ただろうから休むことに満足していた。


「それじゃあ寮に戻って休ませておけ。付き添いは……」


 寮に戻すように指示するが付き添いと言って手を上げたのが数名。

 その中から二人ほど選んで運んでもらう。


「二人とも頼んだ」


 クライシスが寮へと運ばれていったのを確認して教師は生徒たちへと視線を向けた。



「皆、クライシスくんを見てわかったと思うがちゃんと疲れているときは休むように。クライシスくんでも疲れで倒れてしまいそうになるんだからな」


「「「「「「はい!!」」」」」」


 クライシスでも疲れには勝てないところを見せられて深く頷く生徒たち。

 自分たちも疲れは取って万全な状態で挑むようにしなくてはいけないと思わされる。


「それにしても、あのままのペースだと後一ヶ月くらいで終わるって本当なんですか?」


「あぁ、本当だぞ。本当は人数の問題から半年近くかかると思っていたが一ヶ月毎日指導していたからな。かなり短縮されていたな」


「半年……?」


「あぁ。本人の配信や休憩、そしてリフレッシュする時間も考えて半年だ。当然、その間に卒業する生徒もいるから六学年を優先としていたがな」


 クライシスが優先したのは六学年のことも考えていたせいなんじゃないかと予想してしまう生徒たち。

 じゃなきゃ休日の日は午前、午後と別ける必要もない。


「六学年は終わったんですよね?」


「あぁ、終わった。あとは来年も在校している生徒だけだ。だからゆっくりヤッても良いんだけどな。最悪来年になっても良いし」


「「「「…………」」」」


 それだと長過ぎる。

 長過ぎるが、それだけ希望している生徒がいるのだと考えるとしょうがない気もする。


「あぁ、そうだ」


「?」


「今更だけど俺達教師は割とクライシスくんを贔屓にするところがあるけど許してくれるよな?」


「贔屓?」


 教師の言葉に首を傾げる生徒たち。

 贔屓にするのは納得できる。

 放課後になったら鍛えてくれるし、教師よりも頼りになるところもある。

 だが贔屓にしていると聞いて本当かと疑う。

 むしろ良いように使っているだけじゃないかと。


「疑うのはわかるけど心情的には先生たちもクライシスくんにいろいろと便宜を図ろうとしているからな?」


 生徒たちの疑う視線が伝わったのか言い訳する教師。

 まだ生徒たちの疑いが晴れないが少なくとも何かあったら生徒たちよりはクライシスくんのほうを味方するのが現在の教師たちの心情だった。

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