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お金のために配信者になります〜えっ、人気がないとお金はもらえないんですか?〜  作者: 霞風太
四十二章 演舞の教授

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二百六十九話

「さて、それじゃあ始めますね」


 二週間後、クライシスはまず初日に来た生徒たちに向けてそう言った。

 最初に来た生徒たちの数は十数人。

 数は少なく見えるが実際に希望した生徒は全校生徒のほとんど。

 そのうちの十数人だと考えるとかなりの日程で分けられている。

 単純に考えて一ヶ月以上は同じことを繰り返さないといけないと考えると目が虚ろになる。


「えっと、クライシスくん大丈夫ですか?」


「疲れたら休んでも誰も文句言わないと思うから……」


「流石にキツイのは俺達もわかってるし……」


 生徒たちの言葉に力なく頷くクライシス。

 本当に疲れているなと生徒たちは心配になるし、この状態で本当に教えることが不安になる。

 そんなクライシスは一度深く息を吐くことで意識を切り替えて生徒たちへと視線を向けた。



「気を取り直して教えます」


「「「「「「はい!!」」」」」」


 生徒たちの気迫に少し気後れしながらクライシスは説明を始める。


「まず俺が教える演舞ですが基本はイメトレと変わりません。精神鍛錬を動いてやるようなものです」


 精神鍛錬と聞いて思い出すのは坐禅を組んで周りの空気を感じたり自分の奥深くに没頭して自問自答したりしていることを思い出す。

 それをしながら動くということだろうかと首を傾げる。


「まず内側に意識を向けている人たちは、この攻撃で本当に相手に当たるのか?この動き方で相手の攻撃を避けれるのか?それらを常に意識してください。このぐらいなら大丈夫だろう、とか簡単に妄想担ってしまったりするので気をつけてください」


 常に自分の技や動きに疑問を持って極めていけということだと頷く一部の生徒たち。


「逆に外側に意識を向けている人たちは動きながらも常に周辺を把握できるようになれ。光の強さや風の強さなど変化に敏感になれ。戦っている自分とは別に常に俯瞰している自分も持てるようになれ」


 もう一部の生徒たちも目標を示されて頷く。

 自分がどう目指すべきか教えられて有り難かった。

 だがこれは本当に演舞に必要な技術なのか疑問だ。


「ん?これって演舞に必要なのか?」


「さぁ?俺はあらかじめイメトレの延長線上と言っているし、それでも教えてくれと言われたから教えているだけ」


「えっ?」


「お前らだって演舞よりはイメトレについて聞きたいんじゃないんですか?だから希望してきたんだと思いますけど」


「それは……」


 否定できない生徒たち。

 事実だからこそ何も言えない。


「それにもう一度言いますが、俺は演舞をやろうと思ってやってません。イメトレが結果的に演舞になっただけです。本当に演舞をしたくても鍛えていったら演舞としても見れるようになります」


「あっはい」


 たしかにそうだと納得する。

 最初の切り抜きも演舞のつもりはなかったと何度も言っていた。

 クライシスの高すぎる実力からなる流れるような動きが演舞のように見せただけだった。


「とりあえず皆さんそれぞれ敵をイメージして動いてください。最初は一手を十分、それで全員が良くなったら二手までを十分とヤッていきますので」


「一手……ですか?」


「はい。相手を攻撃し相手の攻撃を避ける。もしくは逆でも良いですけど。それを集中してヤッてください。何手もやり合うことをイメージすると絶対に途中から妄想が入ってくるので……」


「妄想は駄目なんですね……」


「当然です。自分の都合の良い展開を持ってきてしまうので」


 まぁ、たしかにそうかもしれないなと納得する生徒たち。

 そう考えると一手だけというのは良い手段なのだろう。


「じゃあ危ないので互いに距離を取って始めてください」


「「「「「「はい!」」」」」


 クライシスの指示に従い生徒たちは距離を取ってイメトレをし始めた。




「…………はぁ」


 訓練を始めて数時間後、すっかり日が暮れ始めてクライシスはため息を吐く。

 もう二手、三手と増やしてもよいのに皆して一手で鍛えている。

 更に日が暮れ始めているのに気づいている生徒もいるのに訓練を止める様子もない。


「強引に止めるか……」


 クライシスは強引にでも止めようと動く。

 先手必勝で決めようとする者。

 カウンターで反撃しようとしている者。

 様々な者たちがいるがクライシスからすれば問題なく止められる。


「しゅーりょーでーす!」


 全員の生徒を一度掴んで空中に浮かせる。

 それだけで急な浮遊感から動きは止まるのだ。

 そして集中が途切れた今のうちにもう一度終了だと告げる。


「しゅーりょー!そろそろ閉校時間!あとは明日から暇な時間に鍛えろ!」


 文句があるなら気絶してでも終わらせる。

 そういうつもりで睨むと不満げに見てきた生徒たちも何も言えなくなる。

 そして日が暮れ始めているのを確認して、ようやく納得した。


「………ふぅ。クライシスくん、今日はありがとうございました」


「もしかしたら、また何か頼むかもしれないけどその時はよろしく」


「お疲れ様でした」


「今度何かお礼しますね」


 それぞれクライシスにお礼を言って寮へと戻っていく生徒たち。

 その姿を確認してクライシスも寮の部屋へと戻っていた。

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