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頼まれ事

 ロレンスと会うのはいつ以来だろうか。

 なんだかとても懐かしい気持ちになった。それと同時に彼の姿を見てとても心配になった。

 

 なにせ、今のロレンスの姿はとてもやつれていた。

 

 食事を満足にしていないのか、元気がなく、頬がこけ、体格がなんだか小さくなった様に見えた。

 かつての彼はこんな姿をしてはいなかったはずだけど。

 

 いや、そんな事はどうでもいい。そんな事より‥‥‥。

 

 「ロレンス。やっぱり無事だったんだな」


 そう、彼はちゃんと生きていた。

 すでに勇者は死んでいる、などと言った噂なんてやっぱり嘘だったのだ。


 「ああ、色々あってね。見ての通り、ボロボロだよ」

 「そんなことないさ。まぁ、少し痩せて見えるけどな」

 「ははっ。それにしても君は大きくなったね、もしかしてまだ成長期なのかな?」

 「おいおい、俺はもう20歳だぜ。さすがに成長はしないぞ」


 とは言ったものの、身長は少しだけ伸びた。ほんの少しだけな。

 だから、大きく見えたのは身長の伸びというよりは、俺の体に筋肉がモリッっと付いたからだろう。


 「なんだか君の親父さんに似てきたんじゃないかな?」

 「おいおい、冗談だろ。さすがにあれには似ないぞ」

 

 うちの親父は、俺よりはるかに大きくて、そして筋肉の上に肉付けをしたような体をしていた。

 まさか、さすがにそんな体に似るはずがない。

 俺はただの細マッチョだ。‥‥‥多分な。

 

 「そうだ、あそこに長椅子があるから、そこで話をしようぜ。聞きたい事が山ほどあるぞ」

 「ああ、もちろんだよ」

 「っと、その前に紹介したい人がいる。ほら、あそこにお爺さんがいるだろ? あの人は俺に魔法を教えてくれている‥‥‥あれ?」


 先ほどまでドルトがいた場所に顔を向けると、そこには誰もいなかった。

 公園の中を見回してみるのだけど、見つけることができなかった。


 「お爺さん? 誰もいないように見えるけど」

 「いや、さっきまでいたんだけどなぁ。また消えちまったかな」


 俺は頭をボリボリとかいた。 


 ‥‥‥もしかしたら、気を利かして何処かへ行ったのかもしれないな。

 俺としては、紹介したかったんだけどなぁ。


 「まぁいっか。んでな、そのお爺さん、ドルトさんて言うんだけど、実は俺はその人に魔法を教わっているんだぜ」


 俺は魔法の玉を手に持ち、小さなファイアーボールをロレンスの目の前に出した。

 

 「すごいじゃないか。ロジックは魔法まで使えるようになったのか」

 「おう、使えるようになったんだぜ‥‥‥でもまぁ、まだうまく使いこなせてなくてな。だからドルトさんに教えてもらいながら、まぁちょちょいと頑張っているわけよ。あらよっと」


 ファイアーボールを小さくしていき、そして消していった。


 「なるほど。それにしてもロジックは魔法を覚えてどうするんだい? もしかして魔法使いになるつもりかな」

 「いーや、そういうことじゃないさ。俺はただ魔法を使って色んな演技が出来たらいいなぁと思ってな。まぁ、ドルトさんに見せつけられたというのもあるけどな‥‥‥」


 あははっと笑いながら俺は頭を摩った。

 

 「さすがだね。君は本当にどんどん成長しているね‥‥‥。仲間の皆も喜んでいるんじゃないかな」

 「ん? 仲間?」

 「ほら、あらくれサーカスの皆のことだよ。そういえば、親父さんは元気かい?」

 「あ、あぁ」


 俺は曖昧な返事をした。


 そういえばそうだった。ロレンスは知らないんだった。

 ティティとアレク、ベルニーニにバルタにフレディ、そしてトム座長と俺の親父バレルク。

 皆みんな、俺の前からいなくなってしまった事を知らないんだった。

 

 「そ、そういえば、お前はどうしていたんだ?」


 俺はその事についてあまり聞かれたくなかったので、唐突に話題を変えた。


 「色々と大変な目にあったみたいだけど、もう怪我とかは治っているんだろ? 城に搬送されてから全然表に出ないんで、死んでいるんじゃないかと噂されていたぞ」

 「そうか、そんな噂が立っていたのか」


 ロレンスは思い詰めるような顔して、そして長椅子向かって歩き座った。

 俺もその後を追って長椅子に座った。


 「僕はつい最近まで牢屋に入れられていたんだ」

 「はぁ!?」


 まったく理解出来なかった。

 なぜに勇者であるロレンスが牢屋なんかに入れられたりするのか。


 今この世界が大変だというのに、そんな事をしている余裕なんてあるんだろうか。


 「とても深く恨まれてしまってね」

 「恨まれる?」

 「僕の元に集まった多くの騎士達、兵士達は、僕が戦いに負けた事で大勢死んでしまったんだ‥‥‥」


 両手を組んでロレンスは俯いた。


 「すべて僕の責任だ。勝たなければいけない戦いに負けてしまったんだ」

 「ロレンス‥‥‥」


 なんと声をかければいいのか分からなかった。

 深い悲しみと、重い罪悪感がロレンスの背中に重くのしかかっているのを、どのように慰めればいいのかを。


 「でもさ、だからと言って牢屋に入れられるのはおかしいだろう」

 

 ロレンスだって命をかけて戦ったのだ。勇者としての役割を全うするために全身全霊の勇気を出して戦ったのだ。例えそれが負けたとしても、牢屋にいれるなんてあんまりじゃないか。


 「勇者が負けるという事は、それだけの責任があるんだよ。それに‥‥‥」

 

 何かを言おうとしたロレンスだったけど、そこで言葉を止めた。 


 「‥‥‥いや、やっぱり何でもない」


 頭を振って、ロレンスは力のない空笑いをした。


 「‥‥‥そうか」


 俺はなんとなくだけど、分かった気がした。

 ‥‥‥多分だけど、ロレンスが牢獄に入れられたのは貴族が関係しているのではないかと思う。


 魔王を倒すために立ち上がった勇者のもとに集まった騎士団の中には貴族出身者が大勢いたらしい。

 そんな騎士達のほとんどが魔王軍との戦いによって死んでしまい、彼らの親族らは大いに悲しみに嘆いてだろう。そして、その思いは怒りや憎しみに変わり、戦いが敗れた原因である勇者に向けられたのではないだろうか。


 「‥‥‥」

 「‥‥‥」


 俺とロレンスは無言になった。

 話す事は沢山あるのだけど、変な形で話題を終えてしまったので、どのように再開したものかと考え込んでしまったのだ。


 だけど、その沈黙もすぐに終わった。

 ロレンスが俺を見て話しだしたから。


 「なぁ、ロジック。今、この国は大いなる危機に見舞われている」

 「大いなる危機?」

 「僕がこうして牢屋から外に出してもらえたのも、ある意味今の状況のおかげだともいえる。知ってるかい? 魔王軍がバーミリオン王国に侵攻してきたのを。すでに西部地方が激しい戦闘状態に陥っているらしい」

 「ま、まじかよ。侵攻してきたなんて知らなかった」

 

 ここ最近、魔法の訓練に重視してたので、町中や外の状況についての情報収集をまったくしてなかった。

 

 だけど思えば以前、ライオネット騎士団が全滅したといった話が何処かから聞こえてきた事があった。

 外敵から守るライオネット騎士団が全滅となると、魔王軍が侵攻してくるのは当たり前ともいえる。


 「状況は悪いらしい。バーミリオン王国の戦力はすでに‥‥‥僕のせいで低下しているからね。このままだとこの国も魔王軍に落ちてしまうだろう。‥‥‥だから僕が何とかしなくてはならない。勇者として」

 「その姿で戦いに行くのか? というか戦えるのか?」 

 「ああ、行くとも‥‥‥。もう僕は負けない」


 俺はロレンスの意思のある言葉に思わずため息が出た。

 さすがだと思った。やっぱりロレンスは勇者だなと再確認した。


 昔からよく弱音ばかり吐いていたロレンスだったけど、もうその面影はない。

 一人前の勇者として成長したのだ。


 まぁ、前から一人前の勇者だったけどな。


 「そういえば、仲間はどうしたんだ? 無事だったんだよな」


 ロレンスが無事だったのは今知ったのだけど、勇者の仲間達がどうなったのかが知らなかった。

 なにせ、仲間達も全くと言っていいほど表に出てこなかったから。


 ロレンスには、神官メシア、武道家ミリカ、後は‥‥‥えっと、あーそうそう、魔法使いフォーラムといった仲間達がいた。

 彼ら彼女らは、戦いに負けて負傷し、勇者と共にお城へと搬送されていったと聞いていたけど、それからどうなったんだ?


 「ああ、ミリカとフォーラムは死んでしまったよ。メシアは‥‥‥片腕を失ってしまってね。もう戦えなくなってしまったよ」

 「ま、まじかよ。あ、すまん。まさか死んでる仲間がいるとは思わなかった」

 「‥‥‥いや、公表していないと思うから仕方ないよ」

 

 ロレンスが元気? と言えるかどうかは分からないけど、怪我のない姿で歩いているから、仲間達もまた無事に生きているものと考えていた。


 となるとだぞ、今のロレンスには仲間が誰1人としていない事になる。


 「おい、どうすんだ。流石に仲間がいないとやばくないか‥‥‥」


 そう、仲間がいないと、魔物はともかくとして、魔族や魔王を相手に互角に戦うことが出来ない。

 魔族や魔王といった存在は、人なんかより強靭な体と圧倒的な力と魔力を持っているので、仲間と協力して戦っていかなければ勝つことなど出来やしない。


 「大丈夫。騎士団の人達が手伝ってくれるさ」


 たしかに魔王軍との戦いというのは、勇者であるロレンスをリーダーとして、騎士団とその他の兵士隊らと協力して、大人数での戦闘を繰り広げられている。まさに軍対軍でのぶつかり合いだ。


 そんな中で、騎士達は勇者の戦いををサポートしてくれるだろう。

 共に戦い、助け合いながら魔王軍とは戦っていくだろう。


 だが、魔王軍幹部が現れるとそうはいかない。


 魔王軍幹部の戦闘力は其処らへんにいる魔物とはわけが違う。

 主に幹部は魔族なのだけど、その魔族の力は人間最強の勇者でさえ圧倒する‥‥‥と聞いている。

 だからそんな幹部や、そして魔王と戦って勝つには仲間が必要になる。

 騎士団の騎士達ではだめだ。もっと強い‥‥‥勇者に匹敵するぐらいに強い仲間じゃなければいけない。

  

 「騎士団って、そりゃ無理だろ。もっとなんか、剣聖とか賢者とかいないのかよ、ほら確か聖女ともいたよな」

 「ああ、実はマルトロン神国の聖女が僕の仲間になってくれるらしい」

 「おぉ。言ったそばから聖女さんきたな。それなら心強いな!」


 聖女は神官職の中での最上位クラスの1つだ。魔法使いでいうと賢者のような存在だ。

 まったくもって勇者パーティに相応しい人材と言えるだろう。


 「正直な話‥‥‥少し複雑な思いなんだけどね」

 「?」


 なんだろう、マルトロン神国の聖女と何かあったんだろうか。

 ちょっと聞いてみたい気もするが‥‥‥。


 「まぁ、うん。それでだロジック、今僕は新しい仲間を探しているんだ」

 「おう、たしかに仲間が聖女だけだと厳しいよな。後は前衛と後衛で、最低でも1人ずつ欲しいよな。前衛は戦士や槍使いや武道家。後衛は魔法使いや道具使いや弓使いっといったところかな?」


 ちょっと適当な感じで勇者パーティの仲間達を想像して、それっぽい感じで語ってみた。


 ロレンスはそんな俺を見て笑いながら、さらっと言った。


 「なぁ、ロジック。僕には頼れる仲間が欲しい。力を貸してくれないか」


 そうしてロレンスは俺に手を差し伸べた。


 「あっ‥‥‥」


 俺はその手を見て、言葉を失った。

 

 仲間‥‥‥。それは勇者の仲間だ。

 そして、最前線で魔王軍と戦い、魔王を倒す事を目的とした強者達の集まりだ。

 

 俺は改めて目の前に差し出されたロレンスの手を見た。

 もし‥‥‥もし俺がこの手を取れば、俺は勇者パーティに入る事になる。

 

 そしたらどうなる‥‥‥。

 魔物達と戦う日々が始まるのか?

 もしかしたら、かつて戦った巨人の様な魔物と戦うのか?

 それともあの闘技場で戦ったドラゴンの様な恐ろしい魔物と戦うのか?


 いや、そうだ。戦う事になるだろう。魔王を倒すために戦っていくのだから‥‥‥。


 となるとだぞ‥‥‥この俺が‥‥‥ピエロの俺が‥‥‥魔王と戦う事になる?


 思わず想像し、ぞっとして頭をブルブルと振った。

 

 「ロレンス、悪い。俺じゃ無理だ」


 俺はロレンスの手を取ることが出来なかった。

 死闘に近い戦いに向かうという勇気が俺にはなかったのだ。

 それに、なにより俺では力不足だ。役不足とも言える。

 

 俺は単なるピエロだ。最近だとまったく稼げない出来損ないのピエロだ。

 たしかに魔法は少しだけ使えるけど、勇者達の戦いに貢献できるほどの技量も経験もない。


 やっぱり俺じゃ無理なのだ。


 「そうか‥‥‥。でも僕は待ってるからな」

 「‥‥‥おいおい」

 

 いったい何を待つんだ‥‥‥? 待っても何もならねえぞ。

 そう言いたかったけど言葉に出なかった。


 「それはそうと、実は君に頼みたいことがあったんだ」

 「お、おう。なんだ、出来る範囲でなら頼まれてやるぞ」

 

 誘いを断った罪悪感があったので、なるべくロレンスの頼み事を聞いてあげようと思った。


 「本当は冒険者などに依頼すればよかったのだけど、最近は物騒だし、出来るなら信頼できる人物にお願いしたかったんだ」

 「物騒かぁ」


 どんな物騒だろう。色々と思いつきはするけど‥‥‥。


 「んで、頼み事はなんだ?」

 「ある女性をマルトロン神国に連れて行ってほしいんだ」


 俺は首をひねった。


 「ある女性って誰だ?」

 「それに関しては、ごめん。今はあえて言わない。でもその女性を連れて行ってほしいんだ。ああ、もちろんお金は払うよ」

 

 そう言ってロレンスは、持っていた鞄からお金の入った袋を取り出して、俺に向けて差し出した。


 ‥‥‥お、大きいぞ。それと重そうだ。


 袋には見事に膨らんでいた。たんまりとお金が沢山入っているのが分かった。

 受け取ってみると、やっぱり重かった。ずっしりと重かった。


 「おおっ‥‥‥えっと、いいのか? 結構入ってそうだけど」

 「ああ、もちろんだよ。それで、頼まれてくれるかい?」

 

 あっさりとお金を受け取ったけど、思えばロレンスの頼みに対して何も言っていなかった。


 「ああ、もちろんだ。まかせろ!」


 俺はポンポンと胸を叩いた。

 

 「そうか、助かったよ。それじゃ‥‥‥僕はもう行くよ」

 「ん? おいおい。さっき来たばかりじゃないか。どのみち今日はこの町で泊まるんだろ? それなら‥‥‥」

 「いや、実は誰にも言わずにこの場所に来ていてね。すぐにでも王都ナザレへ戻らなければいけないんだ。戦いの準備はすでに始まっている。すぐ戻らないとね」


 ロレンスはそう言って、青い玉を取り出した。

 呪文が書かれた丸くて青い玉、それが光りだした。


 「それじゃロジック。後は頼んだよ」

 「お、おう。てか何それ? うわっ、眩しっ」


 眩い光がロレンスを包み込み、光と共に物凄い速さで空へと飛び、何処かへと行ってしまった。

 多分、王都ナザレに戻ると言っていたから、そこへ行ったのだろう。


 「何それー、そんな道具あんの? すげぇじゃん!!」


 目の前には誰もいないのだけど、あまりの出来事に思わず声を出して叫んでいた。

 まさか、あんな風に遠くの場所へ飛んで行ける道具があるなんて知らなかったのだ。


 「ん、あれ? ちょっと待てよ‥‥‥」


 驚いていた自分が落ち着いてくると、ふと2つほど疑問浮かび上がった。


 1つ目は、なぜ俺がここにいると知っていたか?


 俺はロレンスに自分の滞在している町の事なんて伝えたことがない。

 というか、ロレンスとは3年以上会ってないし、そもそも生きている事さえ知らなかった。もし生きている事を知って会いに行こうとしてもお城の中、しかも牢屋の中だとすれば、なおさら会えるわけもない。


 次に2つ目、これは疑問というかロレンスの説明不足による問題。


 「おい、その女性って何時何処で会えるんだ? しかも名前も顔も知らないから探しようがないぞ?」


 今更ながら無茶な話だと思った。これだと、どうやってマルトロン神国へ連れて行けばいいのだ?

 せめて待ち合わせ場所と時間を教えてくれれば何とかなるのだけど‥‥‥。


 「まいったな、どうしよっか」


 と呟てみたけど、どうしよもなかった。

 聞く相手はもういないのだから。


 ポリポリと頭をかいて溜息を吐く。

 

 「終わったかのぉ?」

 「おわっ、ドルトさんいつの間に!」


 俺は横を振り向くと、すぐ隣にドルトが立っていた。

 足音がまったくなかったので、公園に戻ってきていたことに全然気づかなかった。

 

 「旧友とは十分に話せたかの?」

 「ああ、まぁどうだろうね。あ、そうだドルトさん。多分だけど、近いうちにマルトロン神国へ行くかも。だから魔法の訓練ちょいと中断するかもしれない」

 「ほう、マルトロン神国へのぉ。いいのぉ、それならワシもついていこうかの」

 「えっ」

 「ほっほっ。国外での観光旅行は久しぶりじゃて」

 「いやいや観光旅行って、はぁ‥‥‥まぁいいけどさ。いやちょっと待てよ、思えばドルトさんを家に帰さなければいけなかったんだよな」

 

 今更のことだけど、思い出した。

 なぜかこの町へ来てしまったドルトをどうにかして家に帰してあげなければいけなかったのだ。

 今頃アバランマの町でお婆さんが心配しているだろう。

 

 本当に今更な話だけどね‥‥‥。


 俺はロレンスから貰ったお金の入った袋見た。

 多分、これだけ入っているのだから冒険者を雇う事が出来るだろう。

 

 「あードルトさん。観光旅行より家に帰った方がいいと思うぞ。ほら、お金も入ったし、これで帰れるぞ!」

 「うむ、じゃがそれだと魔法の訓練はどうするんじゃ、ワシがいなくてもいいのか?」

 

 そう言われると、たしかに‥‥‥どうしたものかと考えてしまう。


 「気にせんでよい。マルトロン神国へ観光しに行って、お主にちょいと指南して、それからお主に送ってもらうとするわい。それでいつ出発するんじゃ?」


 えっ、俺がドルトを送っていくの? まじかぁ。

 そう思いつつ、両腕を組み首を傾げた。 


 「多分近いうち」

 「それって、いつなのじゃ?」

 「わからん!」


 俺もドルトも困った顔をしながら見つめ合った。





  

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