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閑話 アルテミスの原典

 「マリーちゃん、何でもいい、つまみになる物宜しく!」

 「マリーちゃん、ビール追加!」

 「マリーちゃん、こっちもお願いっす」


 そんな声に私は「はーい!」と言って、酒場の主人であるブルタスにお客さんの注文を持っていった。


 「ブルタスさん、何でもいいのでおつまみを、後はビール5つです」

 「あいよっ」


 ブルタスに注文を届けると、またお客さんの大きな声が聞こえた。


 「マリーちゃん、こっちも追加追加! それと、このシチューも追加」

 「あ、はーい! ブルタスさん」

 「聞こえているよ、あいよっ。とっ、ほらビールだ持っていけ」

 「ふふっ、はーい!」


 私は笑いながらお盆にビールを乗せて運んだ。

 

 そんなビールを運ぶ私はマリー。

 今、夜の酒場で給仕の仕事をしている。

 

 「ふぅ、来たぜ。ビール頼むぜ」

 「俺は飯だ。マリーちゃんいつもの頼むぜ」

 「はーい、いらっしゃい。席はここ空いてます」


 私は酒場に入ってきたお客さん、冒険者達を空いている席に案内した。

 案内した後、またすぐに冒険者達が続々とやってきた。

 

 「おっ、マリーちゃんいるじゃん。席空いてる?」

 「はーい、空いてますよ」

 

 今日もブルタスの酒場は大繁盛していて、私はとっても大忙しだった。 

 

 



 「おう、もういいぜマリー。お前はまだ小さいからな。夜深くなる前に帰りな」

 「でも、お客さんが多いけど大丈夫ですか?」

 「ああ、大丈夫だ。こいつらは馴染みの客だから適当でいいのさ。おらっ、お前ら、マリーがいなくなるから、この時間からはセルフサービスだ。自分から取りにこいや!」

 「えっー」

 

 私は思わずこのやりとりを見て、思わず笑ってしまう。

 酒場での頑固な主人に呑気な冒険者のコントのようなやりとりは、見ていてとっても楽しいものだった。


 「それじゃブルタスさん、お言葉に甘えて帰ります」

 「おう‥‥‥あー待ってくれ。あーそのだ。悪かったな」

 「?」


 私は首を傾げた、

 突然ブルタスが謝ってきたのだけど、その理由がわからない。

 何かされた事もないので、さっぱりだった。

 

 はっ、もしかしてお給金が当たらないとか。

 

 たしか、最近お高いお酒を仕入れたと言っていたから、それにお金をつぎ込んだせいで私のお給料が払えなくなったとか。


 それだったら、すごく困る!!  


 「あいや‥‥‥そのだ。ほら、お前のお兄さんの、そうピエロ。ここで働いていたのを辞めさせちまっただろ。今更の事だけど、なかなか言えなくてな‥‥‥」

 「あー‥‥‥はい」


 ‥‥‥その話か。


 結構前の話だけど、私がこの酒場で働いている時、ロジックお兄ちゃんが仕事を探していたので、ブルタスさんにお願いして雇ってもらったんだけど、すぐに首にされてしまった。

 お兄ちゃんを辞めさせた事に怒った私は、ここを辞めようとしたのだけどお兄ちゃんに止められたのだ。

 そして私は今もここで働いている。 

 

 「まぁ、そんだけだ。マリーお疲れさん!」

 「はい、お疲れ様です」


 私はペコリと頭を下げて酒場から出ていった。

 頭を摩りながら、申し訳なさそうにしていたブルタスは手を振って私を見送った。

 そんな私達のやり取りを後ろで見ていた冒険者達はぼそりと言った。

 

 「おやっさん‥‥‥料理まだ?」

 「うるせい! 今作るわい」

 

 ブルタスはそう言って調理場に戻っていった。


  



 お仕事を終えた私は、通りを歩きながら考え事をしていた。

 それはお兄ちゃんの事だった。


 最近の‥‥‥いや、ここずっと、お兄ちゃんはずっと落ち込んでいる。

 いつも溜息ばかり吐いて、公園でよく頭を抱えていた。お酒を飲んで現実逃避している時もあった。


 どうもピエロとして上手くやれてないみたい。

 いや、というよりは‥‥‥なにか、そう‥‥‥うまく言えないのだけど。


 ‥‥‥なんだかお兄ちゃん楽しくなさそう。


 私が初めて出会った頃のお兄ちゃんはとても楽しそうに演技をしていた。

 だけど、仲間がいなくなってからのお兄ちゃんは、演技に暗い影がさし始めていた。

 そしてそれが、時間が経つと共に顔に現れ始め、今ではいつも笑顔だったのが消えて、元気のない無表情な顔になっていった。


 あんなに楽しそうしてたのに、でも今では逆に楽しくなさそうに‥‥‥辛そうに演技をしているのだ。

 

 お兄ちゃんは気づいているのだろうか‥‥‥。

 自分がどんな顔をして演技しているのかを。


 「おう!マリーちゃん帰りかい? どうだい、いいキュリコあるよ。ほら、ほかにも新鮮な野菜のモノノフもあるぞ」

 

 行きつけの食品店の前を通りがかった時、そこの主人のメトレから声がかかった。

 

 「本当ですか、メトレさん」

 「おうよ、最近品薄だったんだけど、メントシアから色々と入ってきてな。ほらこのとおりさ」

 「わぁ、それは助かりますね!」


 よく行くこの食品店は1年ほど前までは品揃え豊富だったのだけど、魔王軍がバーミリオン王国に攻撃を仕掛けてくるようになってから、国内にいる魔物達が活性化して、農家の畑や果樹園などが荒らされて新鮮な野菜や果物が町に届きにくくなったのだ。

 

 「まったくだよ。でも、これで皆様の食卓に野菜が果物が届けられるってもんさ」

 「うん。最近お肉やチーズばかりで栄養が偏っていたから助かります!」


 こういった野菜類が手に入れば、料理の幅が広がるというもの。

 健康的で元気の出る、尚且つ美味しい料理を作る事が出来る。


 「えっと、それじゃーどれ買おうかな」


 私は棚に並んでいる野菜類を見ながら、頭の中で料理のレシピを思い浮かべた。

 まずは何の料理を作るか、それを決めれば必要な食材が決まるからだ。

 

 「じゃ、これと‥‥‥これください!」

 「おっけい。待ってろよ」


 「ほらよっ」と言って、メトレは野菜を紙に包んで渡してくれた。

 受け取った私はメトレにお金を渡した。


 「毎度!!」

 「また来ますね!」

 「おう! おっと、そうだ。黒イノケンティウスがまた入荷するみたいだから必ず寄ってくれよ!!」

 「本当ですか! 必ず行きます!」


 私は手を振って別れた。

 

 うん、良い買い物出来た。

 今日はとっても美味しい料理を作る事が出来るだろう。

 速く帰ってすぐに作ろう。

 

 そう思いながら私は、家に向かって足早に歩いた。


 「お嬢さん」


 するとまた、横の方から声をかけられた。

 次は誰だろうと思いながら振り向くと、そこには頭に火傷をしたお爺さんがいた。

 

 「久しぶりじゃのぉ。わしを覚えておるかな?」


 そう言われて、私はお爺さんの顔をまじまじと見た。


 顔は‥‥‥見た事がない。

 だけど、声は聴いたことがある。 

 うーん、誰でしたっけ?


 私は、頑張って思い出そうとした。


 「ほっほっ、仕方あるまい。お嬢さんとはそう何度も会ってはいないからの」

 「その‥‥‥ごめんなさい!」

 「よいよい。わしの名はハンス・ローゼンバーグという」


 その名前を聞いて思い出した。

 私がまだマッチ売りの少女をしていた時に出会った童話作家のお爺さんだ。

 

 「あっ、お久しぶりです! お元気でしたか?」

 「まぁ、なんとか生きておるな。ほっほっほ」 

 「それは良かったです。で、その‥‥‥」


 私はハンスの頭を見た。

 以前出会った時は、ハンスの頭に火傷がなかった気がするのだけど。

 その事について、聞いてもいいものかどうか迷った。


 「ん? ああ、この火傷かい? なに、ちょっとした早とちりでのっ、つい燃えた家に突撃したんじゃ。我ながら馬鹿じゃて、ほっほっほ」

 「も、燃えた家!?」


 その言葉に思わず冷や汗が出てきた。

 ハンスと出会ったのは、王都ナザレにいた時だ。

 そして燃えた家と言えば、マッチの火で燃えていく貧民街の家々‥‥‥。


 ど、ど、ど、どうしよう!! 


 「ごめんなさい!!」


 私は混乱しながらも咄嗟に謝った。

 多分、ハンスの火傷は私のせいだ。


 「はて、何のことかな? もう1度繰り返しになるが、これはワシが勝手に早とちりをして、無謀にも燃えた家に突っ込んで出来た火傷。お嬢さんに何の罪はないぞ」

 「その‥‥‥あの‥‥‥」

 「まぁ、まぁ、それはいいとして。ここで偶然出会ったお嬢さんに、ちょっとお願いがあるのだ」

 「あ、はい。なんですか。何でもやります!!」


 本当に何でもしたかった。罪滅ぼしがしたかった。

 だから私は、ハンスに詰め寄る様に言った。


 「おっお、待て待て。焦るでない」

 「ご、ごめんなさい‥‥‥」

 「うむ‥‥‥ではまずはお嬢さん、これを受け取ってくほしい」


 そう言ってハンスは、持っていた鞄から装飾の入った分厚い本を取り出して私に渡した。

 私は戸惑いながらも受け取り、それからハンスを見た。


 「あの‥‥‥これは?」


 すると、ハンスは目を瞑って頷き「星の導きである」と言った。


 「えっと?」


 どういった意味なのかがわからなかったので、私は聞き返した。


 「いや、なに。これはな、童話を書くための本での‥‥‥まずは中を見てみるとよいぞ」

 「あ、はい」


 私は受け取った本を改めて見た。

 もしかしたら、童話作家ハンスの新作の物語が書かれているのかもしれないと思い、少しワクワクしながら本を開いた。


 「あれ?」


 本を開いた最初のページが真っ白だった。

 私はさらに1ページ、又1ページと捲っていく。

 おかしな事に、どのページも真っ白で何も書かれていなかった。


 「ハンスさん、これは‥‥‥」

 「お嬢さんにお願いしたい事。それはワシの代わりに、その真っ白な本に物語を書いてほしいのだ」

 「えっと、私が書くのですか?」

 「うむ」

   

 なぜ私が? といった思いがあったけど、私はハンスの為に何でもしようと決めていたので、そのお願いに頷いた。


 「わかりました。がんばって書いてみます!!」

 「ほっほっほ。良かった良かった。これでワシも引退できるわい」

 「えっ、ハンスさん、童話作家から引退するんですか」


 童話作家ハンスが引退するとなると、彼の新作を待ち望んでいる多くの人達はとってもがっかりするだろう。

 なにせ、童話作家ハンスは星付きの童話を幾つも世に生み出していたのだから。


 「うむ。ワシはもういい歳での。手も足も、よう動かんようになってしもうた。こうなるともう童話を書く事など出来ぬ‥‥‥なのについ癖での、ワシは童話を書くための本、アルテミスの原典を受け取ってしまった」


 ハンスは「ほっほっほ」と笑いつつ、頭をポンポンと叩いた。

 そして、私の目を見ると、ニコリと微笑んだ。


 「このアルテミスの原典を受け取ると必ず書かなければならない。良作であると駄作であろうと関係なしにじゃ。必ず書かねばならない」

 

 その言葉に思わずゴクリと唾を飲んだ。

 笑顔のハンスから、恐ろしい気迫が伝わってきたのだ。


 「じゃがワシはもう書けん。だからお嬢さんに託したい」

 「わ、わかりました。」

 「ちょっと脅しすぎたかの。なになに、気軽に書いていいぞい。例えば‥‥‥そうじゃな、例えば身近にいるものを題材にするとかの」

 「身近ですか‥‥‥うーん」


 私が思い悩んでいると、ハンスは笑いながら手を振った。

 

 「ほっほっほ。なに、急がなくてもよい。期限があるわけではないのでな」

 「あ、はい」


 「さてと」と言ってハンスは、身嗜みと整えた。

 

 「では、お嬢さん頼んだぞ。そしてお嬢さんが書く童話を楽しみにしておるぞ」

 「はい。わかりました」


 ハンスは頷いて、そして私の目の前から去っていった。

 私も受け取ったアルテミスの原典を持って家へと帰っていった。

 




 家に帰ってすぐ自分の部屋に荷物を置いて、それから台所に行き料理の準備を始めた。

 調理を始めて、そして料理が出来ると同時に、体中をパンパンに腫らしたお兄ちゃんが帰ってきた。

 驚いた私はすぐに自分の部屋に戻り、医療道具を持ってお兄ちゃんの傷の手当を始めた。


 なんでそんな傷を負っているのかを聞いてみると、どうやら公園で盛大にこけたらしい。


 だけどそれって、絶対嘘だよね。こけたからって、体中にこんな痣なんて出来ないよね。

 もしかしたら、前の時のようにお酒を飲んで誰かと喧嘩でもしたんだろうか‥‥‥いやでも、今日はお酒は飲んだ匂いはしないから違うのかな?

 うーん‥‥‥後で、本当の事を聞き出そう。

 

 そう思いながら私はお兄ちゃんの上着を脱がして体にペタペタと薬を塗った。

 

 パンと腫れている所や切れている所に薬を塗りながら、私はお兄ちゃんの体をじっくりと見た。

 こうして見てみると、お兄ちゃんの体はとっても引き締まっていた。

 お腹の辺りもバッキバキに奇麗に割れている。


 これって、細マッチョて言うのかな。でも結構筋肉付いているよね。ムキムキだよねぇ。

 もしかしてこれが”料理”の効果だったりするのかな。

 ‥‥‥せっかくだから、突っついてみようかな。

 

 つんつん。


 「わははっ、ちょっと待った。それ、こそがしいってマリーちゃん!!」

 「わわっ、ごめんね。でも、すごい筋肉だねぇ」

 「あれ? 聞いてるマリーちゃん?」

 「わぁ、ここもポッコリ膨れてる」


 私は謝りながらも、好奇心が抑えられなくて、盛り上がっている筋肉を掴んだり、突いたりしていた。


 「ん?」


 お兄ちゃんの腰の辺りに6角形の形をした痣を見つけた。

 不思議とこの痣は普通じゃないような気がした。

 なんとなく、触ってみたくなる痣だ。


 さわさわ。


 「わははっ、ちょっと待った。もういいぞマリーちゃん。もう大丈夫だから」

 「あっ、うん。なら包帯巻こうか」

 「えっ、そこまでの怪我じゃないんだけどなぁ」

 「心配なのっ!!」

 「はい‥‥‥」


 私はお兄ちゃんの体中に包帯をこれでもかってくらいに巻いた。

 心配なので何重にも巻いた。

 おまけにもうちょっと巻いておいた


 「よしっ」

 「マリーちゃん、また巻きすぎじゃね?」

 「そんな事ないよ。さぁ、今日は早く寝て体を癒そうね」

 「あぁ、またミイラ男になっちまったなぁ‥‥‥」


 私はミイラ男(お兄ちゃん)をベッドに寝かせて、部屋の明かりを消した。

 暗くなったのを確認してから「おやすみ」と言って私は部屋から出ていった。




 私は台所の後片付けをして、それから自分の部屋に向かった。

 部屋の机の上にある蝋燭に火を付けて、明るくすると、私は頬を叩いて気合を入れた。


 「さてと、頑張って勉強しようかな」


 皆が寝静まる時間帯に私は勉強をする。

 勉強‥‥‥それは専門料理という特殊な料理を作るために必要な、ある食材を扱う資格をとる勉強だ。

  

 基本的に普通の料理を作るのは資格など必要はない。

 だけど、私の作ろうとしているのは専門料理。別の言い方で言うと、強化料理。

 この強化料理を作るのに、いくつもの資格を必要とする。


 なぜ幾つもの資格が必要なのか、と問われると。

 それは‥‥‥危険食材を使うからだ。


 危険食材は、毒や意識をおかしくする不思議なキノコや野草、体内に変化を及ぼす獣肉や魚肉など、体に害をもたらす食べ物。

 強化料理はそれらの危険な食材を使った料理になるので、資格で食材を使う権利が管理されている。

 ゆえに私は勉強してその資格を手に入れる。  


 すでに私は、幾つかの資格を持っているのだけど、まだまだ足りない。

 今のままだと、作ってはいけない強化料理が沢山あるからだ。

 もっとたくさん知識を得て、資格を手に入れて、たくさんの強化料理を作れるようにならないといけない。

 

 なんたって、強化料理は健康にとっても良いし、それにとっても美味しい。

 色々怪しい‥‥‥すっごく怪しい食材を使うけど、結果は良い物になるのだ。問題ないよね!! 


 私がこうやって料理を覚えるのも、全部お兄ちゃんのためとも言えるだろう。

 だって、お兄ちゃんは私の運命の人だしね。運命の人の体を元気にさせるのも私の役目だよね。 


 「よしっ」そう言って、私は頬を叩いた。

 それから、棚に入れてある本を取り出して机の上に置いた。

 料理関係の本。それと‥‥‥今日、ハンスに渡されたアルテミスの原典。


 「そうだった。童話を書かなくちゃいけないんだったよね。‥‥‥でもどう書けばいいんだろう」


 童話とは、一般的には大人が子供に対して読み聞かせる神話や伝説、歴史が書かれた昔話、教訓交じりの創作物語といったものなのだけど。もう一つ重要な意味合いがあった。


 それらすべては、星の神様に捧げる物語でもあるという事だ。


 私はそういった童話を書かなくちゃいけないんだけど、どのような物語を書いていけばいいか思いつかなかった。


 なにせ星の神様が読むのだから、変なものは書けないよ。

 いや、書いちゃいけないよね。


 「そういえば、ハンスさんは身近にいる者を題材に‥‥‥と言ってたよね。身近と言えばお兄ちゃんだけど」


 お兄ちゃんを題材にして物語を作るのは、正直難しかった。

 なにせ、今のお兄ちゃんは物語を展開できるような活躍をしていないからだ。


 なにかを達成するために、前を向いて努力していれば、それはそれで良い物語が作れそうなんだけど、今は‥‥‥。


 「うーん」


 私は頬杖をついて思い悩む。

 そうしていると、刻々と時間だけが過ぎていった。

 

 「まぁ‥‥‥急ぐ必要はないよね」


 ハンスも言っていた。急がなくてもよいと。期限はないと。

 なら、童話に関しては一旦後回しにしようと思った。

 

 今の私はやるべき事が沢山ある。

 料理に洗濯、お掃除にお仕事。そしてお勉強。

 おかげでまったく時間が足りないぐらいだ。


 だから童話を書くのは‥‥‥そう、お兄ちゃんが前を歩き始めたら、お兄ちゃん自身の物語が始まったらその時に書き始めてみようか。

 お兄ちゃんがピエロとして何をしてどのように活躍をするのかを‥‥‥。


 「書けるといいな‥‥‥」 

  

 ただこの場合は、お兄ちゃんが立ち上がり、物語を作るような何かを達成した場合の話。

 だからもし、そうならなかった‥‥‥その時は。


 そう、その時は料理の物語でも作ってみようか。

 私が作る美味しい料理でピエロを太らせて幸せにする物語、なんてどうかな。


 「ふふっ、勉強しよっか‥‥‥」


 私はアルテミスの原典を横にずらして、地中食材は危険と書かれた本を正面に置いて、そして勉強を始めたのだった。


  

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