挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
俺と君達のダンジョン戦争 作者:トマルン

第二章 序盤戦とか外交とか色々

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

39/81

第九話 ガチでシャレにならない伏線

「それでは、夜も更けてきた故、拙者はここらで失礼するでござる」

 俺達日本の本拠地で夕食を共にしたNINJA白影。
 てっきり、泊まりたいと駄々をこねられるかと思いきや、時間を確認するとあっさり帰っていった。
 拍子抜けしてしまったが、彼女は本当に食事を共にしたかっただけなのかもしれない。

 改めて考えると、この根拠地は広い。
 彼女にもこれと同等の物が用意されているなら、そんな場所で一人、食事をするのは、心細いことなのだろう。
 去り際に言った彼女の言葉。

『もし、良ければだが、今度は拙者が食事に招いても良いだろうか?』

 その言葉に、思わず肯定の意を返してしまったことは、人間として間違っていないはずだ。
 高峰嬢も流石に嫌な顔はしなかった。
 今日はちょっぴりぴん外道な真似をしてしまったせいか、情を刺激されると、思わず絆されてしまう。

「ふーん、ふーん、ふんふん♪ ふーん、ふーん、ふんふん♪」

 楽しそうな高峰嬢の鼻歌が、カウンターの向こうから聞こえてくる。
 やたらと上手い彼女の鼻歌をBGMに、食後の緑茶をすすった。
 苦みを極力抑えつつ、茶葉の風味が絶妙に引き出された緑茶は、疲れきった俺に一時の安らぎを与えてくれる。

 お茶を入れてくれた高峰嬢は、俺が飲んでいる間、食べ終えられた食器をキッチンで洗っている。
 食洗器があるのだから使えば良いのに、彼女は頑なにそれを使いたがらなかった。
 なんでも、自分の料理が食べ終えられた食器を洗うのが、どうしようもなく楽しいのだそうだ。
 何とも変わった趣味だが、彼女が満足しているのだから、俺が口を出すことではない。

 隣のテーブルでは、従者ロボがトランプで遊んでいる。
 彼らにも個性があるらしく、ことトランプでは食事中ずっと俺の足を踏んでいた美少女1号が、圧倒的な強さを誇っていた。
 今もポーカーでエースのフォーカードを繰り出した美少年を、ロイヤルストレートフラッシュでじ伏せている。

 いや、ちょっと待て。
 なんでロイヤルストレートフラッシュなんて出せてんだ!?
 可笑しいだろ!!

 俺の中で急激に膨らむ美少女1号のイカサマ疑惑。
 他の従者ロボも同様の疑いを抱いたらしく、美少女1号に詰め寄りだす。
 しかし美少女1号は欠片も動揺を見せないまま、次の勝負を促した。

「ぐんまちゃん、何見てるんですか?」

 洗い物が終わった高峰嬢が、湯飲みを持って俺の対面に座った。
 さり気なく、減っていた俺のお茶を継ぎ足してくれたのはありがたい。

「いや、ちょっとね。
 それよりも、高峰嬢、今日もお疲れ様」

「はい、お疲れ様です、ぐんまちゃん…… ふふ」

 俺と高峰嬢はお互いをねぎらうが、何故か彼女は嬉しそうに笑う。

「ん? いきなりどうしたんだ」

 俺が尋ねるも、彼女は嬉しそうな笑みに照れ臭さを交わらせるだけだ。

「んー…… 秘密ですー」

 戦闘時に浮かべる物とは、全く違う穏やかな笑み。
 思わず、今の彼女こそが、本来の姿なのだと思ってしまう。

「そうか、それなら別に良いけど」

 俺は出会った当初から、彼女の内面を理解することは放棄しているのだ。
 今更、謎の一つや二つ、気にするまでもない。
 しかし、当の高峰嬢は、自分で秘密にしたというのに俺の態度がお気に召さなかったらしい。

「んんぅ、その反応は寂しいですね」

 少女らしく頬を膨らませて、俺の態度に抗議してくる高峰嬢。

 戦闘態勢! 戦闘態勢! 直ちに全力防御準備に移れ!!

 彼女の戦闘能力を骨身に染みている俺は、思わず内心で身構えてしまう。
 もちろん、彼女が俺を攻撃することなんて、余程のことがない限りないのだろうが、彼女のゴアモードを思い浮かべると、そのまさかを無意識で警戒する。

「ところで高峰嬢、今日はNINJAの白影をかなり警戒していたようだが、何かあるのか?」

 ヘタレの俺は、即座に話題を変える。
 しかし、確かに思い返してみると、高峰嬢は食事中もずっと白影に対して態度を固くしていた。
 というか、まともに会話をしていなかった。
 戦闘時はともかく、普段の高峰嬢は素直で気立ての良いお嬢様だ。
 そんな彼女が、あそこまで拒絶感を出すのも珍しい。

「うーん、なんて言えば良いんでしょう?
 直感がね、ささやいたんです」

 直感?
 彼女のスキルの直感だろうか。
 今までは、ただ単に勘が冴えるくらいに考えていたが、もしかしたら勘違いをしていたのかもしれない。

「えっと、上手く言えないんですけど……
 このまま、白影をぐんまちゃんに近づけさせると、きっと後悔するよ、って教えてくれたんです」

 嘘でしょ!?
 直感でそこまで具体的に教えてくれるものなのか!!?
 俺の鑑定や目星は大雑把にしか教えてくれないのに!

 この時、俺は自分の持つスキルとの、あまりの格差に衝撃を受けていた。
 だからこそ、高峰嬢がポツリと呟いた言葉に気づかない。



「………… その時は…… 私… 鬼になっちゃうんですよ」

「だから…… もし、その時が来たら…………」
感想を! 一人でも多くの感想を!!
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ