序章および第1話の行動経済学の解説について
行動経済学ノート:
「二分法の誤謬」
実際には他にも選択肢があるにもかかわらず、議論を二つの極端な選択肢だけに限定することで、どちらかを選ぶよう迫る論理の誤りを迫る手法です。
本作の序章において占い師は、「ブレスレットを買って幸運を手に入れる」か「買わずに幸せを逃す」かという二択を強いることで、恵の心理を誘導していました。これに対し仰木は、その前提を論理的に解体し、提示された二択がいかに不当な誘導であるかを指摘したんですね。このように、相手から提示された二択が本当に唯一の選択肢なのかを疑うことが、誤った誘導を見抜く第一歩となります。
「選択のパラドックス」
選択肢が多すぎると人はかえって決断できなくなる現象を指します。これは「ジャムの法則」として有名ですね。コロンビア大学の心理学者アイエンガー教授の実験では、6種類のジャムと24種類のジャムの試食をそれぞれ実施したところ、6種類のジャムの試食の方が売り上げが上がったのです。
これは選択肢が豊富であるほど、比較・検討に必要なエネルギーが増大し、最終的には決定の回避や決定後の満足度低下を招くためです。
本作の第1話では、文化祭の企画案が30案も提示されたことで、実行委員会が「どれを選んでも他の案を捨てることに対する責任」という心理的な重圧を感じ意思決定が完全に麻痺したんです。
これに対し仰木は30案を一気に比較させるのではなく、「系統による分類(3系統)→実現可能性による絞り込み→最終投票」という段階的なプロセスを導入することで、選択肢を管理可能な数まで絞り込み、委員たちの心理的な負荷を軽減し、納得感のある合意形成を成功へと導いた訳です。
参考文献:
損失回避・フレーミングについて
・ダニエル・カーネマン、エイモス・トベルスキー『ファスト&スロー』
・ダン・アリエリー『予想どおりに不合理』
選択のパラドックスについて(ジャムの法則)
・シーナ・アイエンガー『選択の科学』
因果と相関について
・中室牧子、津川友介『「原因と結果」の経済学』
お手数ですが、ポイントを入れてくださると助かります。




