第1話 文化祭と三十枚の企画書 その2
宣伝 黄昏薬局という小説も書いております。
学園の問題を解決してみたの前に数話でも構いませんので、黄昏薬局を読んでくださると、少し面白みが増すと思います。
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2.
金曜日。
系統投票は「参加型」が過半数で一発可決。実現可能性による絞り込みで残ったのは三案。全校投票の準備までが、拍子抜けするほど滑らかに進んだ。
「いやあ、嘘みたいに決まりました。三回も空転したあの会議は何だったんだ……」
夕方の生徒会室で、三隅先輩は憑き物が落ちた顔で報告書を置いていった。籠宮は満足げに紅茶をすすっている。
「めでたしめでたし、ね。書記くん、お疲れさま」
「どうも。……ところで会長、ひとつ妙なことがあるんですけど」
仰木は、返却前の応募用紙の束をめくっていた。
「この30案のうち14案、便箋が同じなんですよ。同じメーカーの同じ罫線。筆跡も、変えようとはしてますけど、癖が似てる。提出記録を見ると、締切前日に投書箱にまとめて入ってた分です」
「あら。誰かが水増ししたってこと?」
「でしょうね。動機は謎ですけど。目立ちたいなら名前を書くはずだし、全部匿名なんですよね、この14案」
「ふうん? ま、いいじゃない。おかげで盛況になったんだし」
「盛況になったせいで、委員会が空転したんですけどね……」
言いながら、仰木はふと手を止めた。
’’ 30案が決められなかったのは、選択肢が多すぎたからだ。そして選択肢を多すぎる状態にしたのは、この匿名の14案だ。まるで、最初から会議を空転させるために…… ’’
「書記くん?」
「……いえ。何でもないです」
’’ 考えすぎだ。文化祭前はみんな浮かれる。いたずらの一つや二つ、出るだろう。 ’’
仰木は応募用紙の束を封筒に戻した。
「それより会長、次は全校投票の開票作業があるんですからね。今度こそ会長も手を動かして、って聞いてます?」
「ええ、聞いてる聞いてる。ふふ、それにしても」
籠宮は窓の外、雨上がりの校庭に目をやって、機嫌よく言った。
「最近、面白い相談がよく転がり込んでくるわね」
第1話 文化祭と三十枚の企画書 ー了ー
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