第7話での行動経済学の解説
このお話を読んで行動経済学に興味を持っていただければ、と思います。
行動経済学ノート:
初期設定(デフォルト効果)
人間は’’面倒くさい’’ ’’判断にストレスを感じる’’ 時、何もしない(現状維持)を選ぶ傾向があり、この「最初から選ばれている状態」のことを「デフォルト(初期設定)」と呼び、その設定が人々の行動を強力に左右する現象を’’初期設定’’(デフォルト効果)と言います。
なぜ、これほど強力なのか?
これは以下の心理的メカニズムで動いています。
現状維持バイアス(惰性):
自分で設定を変更するのはエネルギーが必要です。「今のままで特に問題がないなら、そのままにしておこう」という心理が働きます。
「推奨のシグナル」と誤認する:
人間は「これが初期設定である=おすすめしている正解の選択肢だろう」と勝手に解釈する傾向があります。
「先延ばし」の心理:
「あとで自分で変更しよう」と思っても、結局やらずに時間が過ぎていくことがほとんどです。
図書館の例で何が起きたのか
犯人は、図書館の「本を借りる」という行為の初期設定を「返却日を意識する」から「(予約が入らなければ)勝手に延長されるから何もしなくていい」という設定に上書きしました。
生徒たちは、「延滞してはいけない」という意識を捨てたわけではありません。単に「何もしなくていい(デフォルトのまま)」という一番楽な行動をとった結果、返却率が劇的に下がったのです。
参考文献
『NUDGE 実践 行動経済学 完全版』リチャード・セイラー キャス・サスティーン著
行動経済学で注目されたナッジについて詳しく書かれた本です。リチャード・セイラーは2017年ノーベル経済学賞を授与されています。
『行動経済学の使い方』大竹文雄著
行動経済学の概要を分かりやすく書かれた本です。やや走り書きのような箇所もありますが、入門書としてお勧めです。
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