第5話での行動経済学の解説
行動経済学ノート:
損失回避(プロスペクト理論):
同じ金額なら、得をする喜びより損をする痛みのほうが大きく感じられます。そのため、期待値がプラスでも、損の可能性がある賭けは避ける傾向を示す理論で、行動経済学で中核を担う理論のひとつです。
作中のポスターの場面はこの性質を応用したもので、「楽しいよ」という言葉より「損するよ」という言葉を活用することで興味を得ようとしていました。
囚人のジレンマ(ゲーム理論のひとつ):
経済学の研究分野のひとつであり、ゲーム理論で有名な思考実験のひとつです。各自が自分にとって最適な行動(より強い文句を書く)をとると、全体では悪い結果(全員の掲示が脅し文句になり、禁止の危機)に陥ります。
作中では、ポスターを「隣より少し目立とう」とした結果、ほとんどのポスターが煽り文句ばかりとなってします。これを明は「軍拡競争と同じ構造」と言っていました。
フレーミング効果:
中身が同じ情報でも、得の側から述べるか、損の側から述べるかで、受け取られ方や選択が変わります。
手術の例は、医師を含む被験者で確かめられた実験です。生存率で説明された場合のほうが、死亡率で説明された場合より、手術が選ばれやすくなりました。牛肉の例は「75% lean」と「25% fat」で、購入前の評価が変わるという消費者実験です。
作中の「事実だけを損の側から語る」線引きは、フレーミング研究の枠内に収まります。実在しない損をでっち上げれば、それはフレーミングではなく虚偽です。
参考文献:
損失回避(プロスペクト理論)
ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』
囚人のジレンマ:
『教養としてのゲーム理論』
フレーミング効果:
大竹文雄 『行動経済学の使い方』
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