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メルティ✕ギルティ〜その少女はやがて暗夜をも統べる〜  作者: びば!
2章。学園編〜それは、蝕まれた憧れ・上
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49。ルイザの日録〜〜ぼうじつ

どうぞ。


番外編でーす。一休み。

 ルイザ・ハロケスです。

 オーガ族です。


 ルイザには、お姉さまと呼べる存在がお二方います。


 メルティ・イノセントお姉さまと、キツネ・フッサお姉さまです。


 キツネお姉さまとは、かの誘拐事件で出会いました。

 ほかにもたくさんの子が捕まっていましたが、キツネお姉さまは慌てずみんなのお世話をしたり、慰めてくれたりしていました。


 メルティお姉さまはちょっと変わったお方です。

 不思議な格好をしていますが、とにかく強くて敵なしです。


 キツネお姉さま曰く、ルイザが罹ってしまった精霊の悪戯を治す秘薬の原料「デジタリアの博愛」を倒せたのはメルティお姉さまのおかげらしいです。


 そう言ったときのキツネお姉さまは本当に楽しそうでした。


 とにかく、お二人のおかげでルイザは今、元気に過ごせています。

 おとうさまとはあまり会えていない(お勉強も教師方がこちらへ来る形なので)ですが、お手紙はちゃんと書いています。


 ちなみに今みたいな平日のお昼頃は、メルティお姉さまと二人で過ごします。


 さて、一旦お掃除は終了です。


 お魚の煮付けもそろそろいい頃合いでしょうか。ちゃんと薬草のいい香りがついているのでしょうか。

 お姉さまがたのニンマリ笑顔を思い浮かべると、こっちまで嬉しくなりますね。


 お勉強ノートを持って、キッチンへと向かいます。

 あっと、ついついスキップしちゃいました。


 いけません。メイドたるもの、いかなる時も平然とすべしなのです。


 火を止めて、次の下準備をします。

 水気を切って、調味料を絡めます。今日はお姉さま方が早めに帰ってくるようなので、こういうことは今のうちに終わらせます。


「……ふぅ」


 一息つきます。

 せっかくの暇な時間なので、昨日の分の日記を書いてしまいましょう。


 何を書きましょうか。

 机に向かって悩んでいると、ルイザの足元からぬっと影が現れました。


「きゃっ……!?……あ、なんだぁ、パンダちゃんですか。もう、驚かさないでくださいってばぁ」

「きゅう、きゅう」


「パンダちゃん」こと、ネッテヴァンダです。


 お魚の形をした不思議な植物です。

 命名はキツネお姉さまです。

 パンダというのは、とある竹林に住むとても可愛らしい熊さんだそうです。

 やっぱりそう仰るくらいですし、目が大きくて、体が赤ちゃんくらいの小動物でしょうか。


 こうやって突然地面から頭を出すので最初の頃は近づくのも怖かったですが、もう今は慣れっこです。


 落ち着くのか、よくルイザのメイドドレスの中に入ってこようとします。

 ちょっとくすぐったいです。


「あ、そうですね。昨日のことと言えばあれですね。……それを書きましょっか」


 ルイザはパンダちゃんの頭(鼻先?)をなでなでしました。


 そうでした。昨日はオオゴトがあったのです。

 そう―――ちょうど、お姉さまがたがお家にいない時のことでした。



 《―――〇〇日―――》


 もう、そろそろ夏ですね。


 《―――お姉さまがたが学園にいたお昼頃のことでした。お野菜をいつの間に使い切っていたのでルイザは買い物に出かけました―――》


 買ったばかりなのに、もうほとんど無かったのです。

 パンダちゃん、つまみ食いはいけませんよ?


 ともかく、出かけるルイザです。


 《―――市場でいやな視線を感じたので、怖くて早めに帰って来たらパンダちゃんが『びっくり箱』の前でお出迎えしてくれました―――》


 あ、そうそう。


 この館―――ダンジョンの跡地の上に立っているらしいのですが―――の名前がこの間、決まりました。


 キツネお姉さまの御父様が管理なさっているダンジョンに名前がついているのを聞いて、火がついたらしいです。


 名前はズバリ、「びっくり箱」。


 由来は、知りません。


 《―――中に入って見ると、あちこちに変な血みたいな汁が飛び散っていました。パンダちゃんに聞いて見ると、大きな虫が湧いたそうなのです―――》


 ルイザは虫が苦手です。

 だからこれを聞いたときはほんとに生きた心地がしませんでした。


 《―――虫のお肉は、パンダちゃんが美味しくいただきました―――》


 結局どんな虫なのか分からなかったんですよね。

 パンダちゃんに訊いても、美味しそうに鳴くだけですし。


「……よし。終わりました」


 さて、そろそろでしょうか。


 ルイザが日記本を閉じたタイミングで、ちょうど窓越しにお姉さまがたの笑い声が聞こえてきました。


 今日は早めに学校が終わるので、これから晩御飯を軽く食べて、三人で夜の市場にお出かけするんです。


 お姉さまがたと一緒にいると、人と関わることへの怖さも減りました。


 もっともっと、いろんな子とお話ししてみたくなりました。


「妹ができた気分」とキツネお姉さまが仰っていました。

 本当にその通りです。

 まるで、本当に血が繋がった姉妹になったような感覚がします。


 キツネお姉さまはしっかりしていて、けどメルティお姉さまのこととか、植物のことになるとどこか抜けています。

 メルティお姉さまは、メルティお姉さまって感じです。

 それから僭越ながら大事にしてもらってます、ルイザが(ルイザ)です。


 そんなルイザは今日も一日、とても幸せです。



 とにかく、パンダちゃんと二人でお出迎えに行ってきますね。


 おしまい。





平和ですねー。


次回は本編に戻りまーす。

更新は9/5(木)でーす。お楽しみにー。

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