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スノードロップな君が読む物語 ~Record the change of the world~  作者: フリーライダー
変 揺さぶられる心
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54.走れリノア

オラコール兵士・騎士達による

勇者救出作戦の準備の時間を稼ぐ為に、

リノアは野原に仕掛けた『奥の手』を

起動させる石を持って、野原へと

ぎこちない走り方で突っ走っていた。


リノア

「ハッハッ!ホッホッ!

全く...もぅ.....ここに来てからぁ、

悠々自適に過ごしすぎたみたいだぁ。

体も鍛えておくべきだったよクソォーー!!

.....ってか徒歩じゃ遠過ぎるだろぉぉぉ!!」


息を切らしながら、

それでも疲労やら弱音を吐き出しながら

手足を一杯に振っていると、



隊長

「「リノアァァァー!!!走れぇーー!!!」


後ろから隊長がかす声が聞こえた。


リノア

「走ってるだろうがぁぁぁ!!

見てわからないのかよーーー!!!」


隊長

「そうじゃなーーーーーい!!!」



「「逃げろぉぉぉーーー!!!!」」




逃げろ?

走って酸欠になっているリノアは、

その言葉の意味がすぐには理解できなかった。

聞き間違いかとさえ思い、聞き返す。


リノア

「ハァ!?何だって....!?



・・・・・・嘘だろぉ」


城壁の方を振り返ってみたところ、

理由はすぐにわかった。



□正門


兵士

「おいおい、どうなってんだ!?」


《カタカタッ!カランゴロン♪

コツンッ!ガラガラカラッ!》


兵士

「骨が動いてる!!」


騎士

「スケルトンは形のある亡霊。

身体を壊しても復活するというのは、

おとぎ話ではなく本当だったのだ!」



《カタッ

カタカタカタカタ!!!

カカカカカ!コキコキコキコキ!!》


拍子抜けする様な軽い音が正門前で響き渡る。

城壁前に大量に積み重なっていた

スケルトン達の残骸が、

独りでに動き出していたのだ。


骨片は徐々に形を整え、骨格を形づくり、

元の亡者の姿へと戻っていく。

その中には骨の馬に乗って一際目立つ

格好の指揮官スケルトンもいた。



《ゴキッ!パキッ♪》

(アゴを手でハメ直す音)


スケルトンリーダー

「アガッ!アゴッ!・・・オノレェ、

随分遅れをとってシマッタ.....ン?

あの向こうにいるのは勇者達!?

総員!本隊に加勢するノダーーー!!」


スケルトン

「カカカカカカカッ!!」


土煙を上げて、800のスケルトンが

一気にリノアの方へ迫ってくる。


リノア

「「ウェェ!ウワアァァァァァーーー!!」」




ーーーーーーーーーーーーーーーーー



□ロービン野原


マンティスリーパー

「ギベェシャァァ!!」


イノス

「23匹目!!」


飛び回る虫族の魔物マンティスリーパー

弓で射る騎士イノス。

前衛のバーグの勢いがオーガ達に押しとどめられた

ことで、敵勢は着実にこちらへと近づいてきていた。


それでも全軍が流れ込んで来ないのは、

フォロアの魔法とイノスの精密な矢の前では

なかなか足が進まず、魔族達は盾やトロール達の

後ろに隠れながら亀のような歩みによる進軍を

余儀なくされていた。


フォロア

「ブロア・ヘル・スチィィーム!!

ファイヤー・ボール・レイン!!


イノス交代!虫を一気に吹き飛ばすから、

頭上に気を付けて地上の敵をやって!」


杖を掲げる魔法使いフォロアに空の敵を任せ、

イノスが弓を構えたまま、矢じりの先に

敵がいないかを見回した時だった。

ふと、離れた所で動くモノが目につく。


イノス

「ん?あれは・・・」



それはアクトによって倒された触手戦士だった。

身体を包んでいた鎧は裂けていたり穴だらけだが、

それでもモゾモゾと赤・紫・ピンクの肉塊が蠢き、

立ち上がろうとしていた。


不気味さと気色の悪さにイノスの視線が

離れようとした刹那、

彼の目の片隅には確かに映った。


肉塊の中に人らしきものが埋もれているのを。



イノス

(今...見たのは...一体?)



イノスは足を止めて再び確認するが、

その頃には触手戦士は歪ながらも、

人型に戻っていた。


フォロア

「イノス!何ボーっとしてんの!」


イノス

「あの気持ち悪い怪物が復活してる!」


フォロアも怪物の動きを確認すると、

険しい表情になる。


フォロア

「ッチ!ア゛ア゛ァ・・・・

防衛線を下げるわ!!

私が高火力でまとめて抑えるから、

イノスはこぼれたのを確実に仕留めてて!!」


イノス

「了解ですっ!!」


腰のポーチから霊薬の瓶を取り出して

飲み干すフォロアの横を通り過ぎ、

イノスは魔法で姿を消しているアクトの

方へと向かうが、少し歩いた先で足を止める。


イノス

「ん?・・・ッ!?


援軍.....ではなさそうだね」



街の方からこちらに駆けてくる灰色と白の集団。

目の利くイノスにはすぐにスケルトンの

部隊だとわかった。


イノス

「(フォロアには言えないな。

これ以上彼女に負担はかけられない)」


弓を背中に回し、剣を抜く。

騎士はたった1人で、800体のスケルトンを

迎え撃つ覚悟だった。


イノス

(試合での騎士百人抜きはあるけど、

スケルトン相手ならどれぐらい通用するか)


彼もまた実力のある騎士だ。

しかし、本人はしっかり自覚していた。


自分は魔法使いフォロアや戦士バーグ

とは違う…と。


弱気にはならない程度の自信と、

それを過信しない冷静さと慎重さで、


騎士イノスは全員を斬り伏せる

つもりで待ち構えるーーーー





「「バースト・ストライクッ!!」」


後ろから細い亀裂が地面を走り、

スケルトン達の方に蛇行しながら伸びていくが、

それは届くことなく手前の地面から砂煙が吹き上がった。


突然の事ではあったが、見覚えのある技に

イノスはすぐ振り返った。


イノス

「アクトッ!?なんで姿を現してるんだ!」


後ろには剣を地面に突き刺したアクトが、

しんどそうに柄に寄りかかって立っていた。


アクト

「クゥ...ハァ...もう充分休んだから、

いい加減自分も戦わないとって....

思ったんだけど、中々集中出来なくて。

・・・アァ...もぉ...」



ダダダダダダダダ!!!



一時は止んだ足音と影が迫ってくる。



土煙に隠れた敵を今かと凝視するイノス。



すると最初に現れたのはーーーーー





モワッ!!




リノア

「ゼェハァハァ!!!モォォーー!!!

死ぬかと思ったァァァーーー!!!」



オラコールの自称魔道士リノアだった。

思いも寄らぬ者の登場にイノスとアクトも、

驚いていた。



イノス

「何故彼がこんな所に?」


アクト

「さぁ...でもなんであれ、

助けてあげないとあのままじゃ...」



リノア

「「助けに来たのに殺す気かーーー!!

今そっちにいくから、フォロアに伝えてーーー!!

防護魔法を張っておいてくれぇぇってぇーーー!!」」


これまた意外な事を言ってきたリノアに

半信半疑ではあったが、

こんな戦場まで来て必死に大声で伝えてきた彼を

無視することなど出来ようか。


イノス

「「・・・フォロアーーー!!!

ブックスが来て、防護魔法を張ってくれと

言ってますーーー!!」」


フォロア

「「アァ!?リノア・ブックスゥーーー!?

アイツこんな所まで来て何するつもりなのぉぉ!?」」



リノアは走りながら、

紋章の刻まれたレンガに手をかざす。


リノア

「「一発逆転の一手があるんだーーー!!

とにかくいくぞぉぉぉーーーー!!!

でないと僕が死ぬぅぅーーーーー!!」」



イノス

「「何かいい策があるみたいです!!」」



フォロア

「ハア!?ったく!」


敵に注意しながら大声で叫ぶのに疲れ、

フォロアは意思疎通の為の魔法を唱える。


フォロア

「声なき言葉を響き伝えよ!

《エコー・ボイス!》


《全員こっちに集まりなさいっ!!》」


リノアも含め、勇者一行全員の頭に直接伝えると、

すぐに結界を張る準備の詠唱を唱え始める。


フォロア

「フォロア・ピュアートの名において、

聖なる子等に懇願する!!

我が身を覆う空の壁、我が敵を祓う風の壁...」




ーーーーーーーーーーーーーー

□一方、前線では



バーグ

「ンッシャアァァァーーーー!!」


地面に落ちている『ただの鋼のヘルム』が

バーグによって蹴り上げられた瞬間、


《バキャッ!!》


それは砲弾と化した。

オーガの顔をビリヤードの玉のように弾き飛ばし、

100キロは有にある筋肉ダルマな巨体が、

顔面を襲った衝撃に押され、仰け反り倒れていく。



オーガ

「ブバァァァア!!」


ドサァァーーーンッ!



バーグ

「ふぅぅーーー!

(戻れってぇ?しゃーねぇなぁ。

さっさと戻るか...)」


散々オーガ相手に暴れまくったバーグは

大人しくその場から退こうとしていた。

伸びきった10体のオーガが地ベタに

顔を伏しているのだから、

他にヘタに手を出してくる奴はいないだろうと、



オーガ

「「ニガスカァァ!!」」


高を括っていたのだ。

いつの間にか起き上がっていたオーガの拳が、

バーグの脇腹にめり込む。


バーグ

「グッ!」


一瞬よろめくバーグ。

歯茎が剥き出してニヤリと口を開く。


オーガ

「ガハハハ!!クタバレ...」


バーグ

「なにすんだゴラァァァァ!!」


《ブオォォォンッ!》


間髪入れずに出しゃばったオーガの顎に

アッパーが入り、その口を強引に閉じた。

膝から崩れ落ちるオーガの姿は、

周りの魔族達の戦意を削いでいく。

その隙にバーグはダッシュで戻っていく。



ーーーーーーーーーーーー



フォロア

「エル・ドーム・アウト!!」


草の上に小さな魔法陣を描くと、

近かったイノスとアクトは一足先に輪の中に入る。

リノアも必死にフォロア目掛けて突っ走りながら、

呪文を唱えていた。



スケルトンリーダー

「勇者達はもう目の前ダァーーー!!

行ケーーー!!」



リノア

「レ・ハ!キタ・マ・ラチョール!ダーサ・ガマ・ム・

ニ・チシェ!・レヨン・ミ・チ!!ラフティー!

パー・ケーノ・ティケーノ・ガル・サウザ!!

全てを結び連ねて発動させよ!!

リンクゥーーー!!コネクトォォーー!!」


2人の呪文を唱える叫声と、

彼らの行動は明らかに何かが起きそうな

雰囲気を醸し出していた。




======ダダダダダダダダダダダダッ!!


バーグ

「待たせた!ってか何をおっぱじめるつもりだ!?」


度重なる激戦の後とは思えない軽快な走りで

帰ってきたバーグが尋ねると、

フォロアは詠唱し終える前に指を差して答える。


フォロア

「こっちが聞きたいわよ!どんな名案なのかは、

あの男に直接聞きなさい!!」


言った先には、大勢のスケルトンを引き連れて

飛び込んできたリノアの顔があった。


リノア

「トォォォォォーーー!!」


もう少しで陣の中に入りそうだった。


フォロア

「我が身を、己が灯火で守らせ給え!!!」


ところが、最後の詠唱を唱え終えると、

《シュン》っとフォロアを中心に、

エメラルドグリーンの小さいドームが現れ、



《バンッ!!》


リノア

「グヘェッ!」


ギリギリの所でリノアの侵入を妨げた。

顔からぶつかって、地面に落ちるリノア。



フォロア

「ホラッ!」


グイ!!


すぐさまフォロアが手を伸ばして引き込み、

ぽつんとドームの中にこもる4人。

それを囲むように魔王軍がじわじわと囲み近づく。



ゴブリン

「・・・グルゥゥ」

……



オーク

「・・・アァ?」

........



マンティスリーパー・トロール

「?」





…何も起こらない。



アームド・シュラム

「・・・」


ヴォルフ

「奴ラ.....何ヲシタ?」


ミデュラ

「魔法使いはともかく・・・あのメガネ・・・

意味の分からない呪文を唱えてたけど、

あんなの何の意味もないわよw」


魔術参謀ミデュラが言うのだから間違いないだろうと、

身構えていた魔族達は肩の力を抜く。


魔族

「「・・・ガハハハハハハ!!

キャキャキャキャキャキャ!!」」



嘲り笑う魔族達の声がアクト達を包む。


バーグ

「・・・おい、笑われてんぞ」


味方であるはずのバーグも、

拍子抜けな結果にガッカリしていた。


フォロアにいたっては、言わずもがなである。



フォロア

「アンタねぇ・・・

さっきのヘンテコな呪文は何よ!!

ここまでさせておいて

どうすんのよ!この状況ーーー!!」


リノア

「い、いやいやいや!おかしいなぁぁ?

一つも発動しないなんてぇぇ...」


こんな筈ではないのにと焦りを隠せず、

取り返しのつかない事態に涙目に

なるリノアだったが....




《・・・フォン!》



リノア

「お」



突如リノアの手にするレンガの紋章から、

小さい魔法陣が浮かび上がる。

すると途端に、



《フォン!フォン!

フォンフォンフォフォフォフォーーーーー》



小さい魔法陣が幾重にも重なって発光していく。



フォロア

「!?何よそれ...」




《ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!》



スケルトンリーダー

「ジェネラル様!!

遅くなりマシタァーーー!!

今こそ我らの活躍ヲォォーーー!!」


遂にスケルトンまでもが後方から合流し、

袋のネズミになってしまう。




((《ボガァァーーーン!!!》))



はずだった。



ミデュラ

「ナニィ!?」


《ビチャビチャビチャーーー!!》

《バチバチバチビリビリ!!バチーーン!!》



突如起こったのは天変地異。

地が火を吹き、鉄砲水が噴出し、

雲ひとつない青空から雷が落ちて

スケルトン達をまたバラバラに四散させていく。


《バラバラガラガラガラガラ!!》


スケルトンリーダー

「ケイツィィーーーイッ!!」


異変はそれだけでは収まらない。

勇者達もオラコールの兵士達も、魔王軍ですら

驚愕させてしまう魔法。

リノアがロービン野原に仕掛けたモノが、

その全貌を現していく。

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