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スノードロップな君が読む物語 ~Record the change of the world~  作者: フリーライダー
結 崩れ去る平穏
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48.打ちひしがれる心



城壁で見守る兵士達に衝撃が走る。


住民

「ゆ、勇者がやられたァァァァ!!」


「この街もおしめぇだぁーーー!!」


未だ気になって眺め続けていた人々も

血相を変えてその場から逃げ惑い、

混乱を拡散させていく。


その有様を眺めながら笑みを浮かべる

不謹慎な者がいた。



ーーーーーーーーーー


□ ロービン野原を望める丘上


老紳士

「良いねぇ〜♪これぞパニックだよ

ホラホラ、見たまえ。

力無き市民が命欲しさに理性を棚に上げ、

生存本能に身を任せてしまえば、

秩序などあっという間に崩れ去る。

まさに、ここからが見ものだよ」



相変わらず饒舌に言葉を連ねる老紳士。

先程と違う点は、いない相手にではなく

"何か"に話しかけていたことだ。


《ガチャッ》


皮が余りシワの寄った手で、

鉄製のカバンーーー

穂波の生まれた世界でいうところの

『アタッシュケース』を開けると、

中から麻布で大事に包まれた"丸い物"を

取り出し、

まるで赤子のように大事そうにひざの上に抱える。


老紳士

「今回は久々に、良い結果が得られそうだ。

この子が生まれ落ち、立ち上がり、


全ての汚れを糧として繁栄するに


ふさわしい世界かどうか、


すぐに分かるだろう」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



アクト

「イギィィッ!!!

ウグアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」



勇者の足が地面から離れ、ピンッと伸びた つま先が

体重を掛けられる場所を求めて虚しくもがく。


傷口と共にアクトの口も痛みで大きくこじ開けられる。

突き刺さった爪が持ち上げられるが、

重力で身体は下がり、ノコギリの様な棘が

メリメリと肉に食い込む。

肩の付け根ごと引き裂かれるような激痛が

アクトを襲う。



アクト

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!

ハァッ!ハァ!ハッ!ハッ・・・

ングィッ!!!」


今まで様々な修行や試練を潜り抜けて

来た勇者アクトだが、

外から斬りつけられたことはあっても、

内側から肉を抉られるなど

味わったことのない未知の激痛。

歯を食いしばって痛みに耐えるも、

尋常ではない量の冷や汗がダラダラと

流れ、顔色も見るからに青ざめていく。



アクト

「ィィイッ!・・・クゥ・・・ゥゥァ・・・・・・」



理性を保ち、(あらが)おうと険しかった顔も、

耐える事さえ億劫おっくうになり、

力ない呻き声を漏らしながら…




意識が遠のいていくーーーーーー





???

「・・・サラバダ」


トドメを刺そうとマンティスリーパーの口が、

アクトの首筋に噛み付こうとしたーーーー




ヒューーーーーー!!


《プチュンンッ!》



そこへ、1本の矢がスライムに刺さる。


イノス

「フォロアァーーー!!」


フォロア

「弾けよ散らせ!!スプラッシュ!!!」




.* .゜・*.《ブシャアァァー!!》.*・゜ .゜




スライムが内部から四散し、力なく拘束

から解放された勇者が地面に倒れ落ちる。


フォロア

「私が行くわ!!この場をお願い!!」


イノス

「了解です!!」


バーグ

「イノスも行け!!ここは俺1人で...」


血相を変えながらも冷静に。

倍の早口で各々がアクトを助けようとするが、



ヴォルフ

「我ガイルコトヲ忘レルナァァァァァァ!!」


何十年もこらえてきたたかぶりは

戦いが始まって尚も治まる気配はなく、

ヴォルフは背を向けた敵に貪欲に喰らいつく。



バーグ

「すっ込んでろォォォ!!!」


イノス

「っ!!いい加減にィィ!!」


2人の怒りは頂点に達していた。

しつこく邪魔をする敵を始末してしまおうと、

一斉に仕掛ける。


バーグ

「ヒィィートォー!!スラーーッシュ!!」


イノス

「風・烈・「斬」!!」


バーグのオレンジに発熱する大剣と、

イノスの風を斬る程の素早い剣が

ヴォルフに迫る!!


ピタッ!

ヴォルフは急に脚を止め、

2足歩行で身構える。


ヴォルフ

「貴様ラニ教エテヤロウ...」



バーグ「(入った!!)」

イノス「(捉えた!!)」



ここぞとばかり、2人は挟み撃ちで

剣を振るった。


ヴォルフ

「己ノ牙と爪をヲ砕カレ、奪ワレル...

絶望ヲォォ!!」


ヴォルフはバーグの方を向き、

左腕の鉄爪をかざして、右腕を引く。


《ガギギギギギギィッ!!!》


受け止めたバーグの大剣が左腕を押し下げて

ヴォルフの肩にめり込み、

右のイノスの剣はヴォルフの首を狩る

寸前ーーーーーー




ヴォルフ

「ウアアーグゥッ!!!」




《バギィーーーーーン!!》



耳をつんざく金属音。

イノスの剣は鋼鉄の顎に噛み砕かれ、

ヴォルフの右腕が彼の腹部にめり込み、


イノス

「ブハァッ!!!」


騎士を殴り飛ばした右腕は、

勢いそのままにバーグの大剣へ爪をかける。


ヴォルフ

「グルルルゥゥガアアアアーーー!!!」



《ウィィンッ!!バギャアーーン!!》



得体のしれない音と共にグワッと開いた

右腕の義手の鉤爪がバーグの大剣を挟み、

バキバキに押し曲げた!!


バーグ

「コ!コンノォォ!?」


ヴォルフ

「フンッ!!」


《ガンッ!!》


硬い頭突きに頭を弾かれ、

バーグは後ろに倒れていく。


バーグ

「ッッゥ!!」



戦士が瞑ってしまった瞼を開くと、

獣は鋼鉄の顎で食らいつこうとしていた。

バーグは倒れざまにその鋼鉄の顔を

蹴り上げる。


ヴォルフ

「ンゴッ!!」


鏡み合わせのように2人は同じく倒れた。

バーグの顔は腫れ、血も少し滲む。


バーグ

「また・・・顔をやりやがってぇぇ・・・

いづづ!イノスゥー!!」


腹部を押さえて、立ち上がるイノス。


イノス

「ァア・・・ゴホッゴホッ・・・

なんとか内臓は大丈夫そうです」


息苦しそうに咳き込む。

痛みはまだ残っているようで、

若干身体がふらついている。


バーグは使い物にならなくなった大剣を

手放し、ハンマーを構える。


バーグ

「・・・今のが、アイツの本気ってわけか」


ヴォルフ

「エェイッ・・・戻るぞシュラム!!」


バーグ・イノス「!?」


ヴォルフの呼び掛けに反応したのは、

先ほど弾けたスライムだった。

イノスが射抜き、フォロアが魔法で

破裂させたスライムはいつの間にか

融合して復活していた。

野原を這い回ってヴォルフの身体に

付着するとーーーーーー


ダッダッダ!!


本陣へと帰って行った。

その先にはアームド・シュラムの装甲が

抜け殻の様に置かれていた。

ヴォルフが戻ると、スライムがその中に入り込む。



バーグ

「あのバケモン、スライムだったなんて・・・」


イノス

「目玉があるのは最上位種の証ですが、

スライムにあんな戦い方をさせるなんて

・・・やっぱり連中、相当危険ですね」




ーーーーーーーーーーーー



隊長

「し・・・信じられん。

こんなことがあっていいのか・・・

悪夢をみているようだ!」


騎士達も隊長でさえ、

取り乱さずにはいられない。


穂波

「凄い悲鳴でしたけど、アクトさん

大丈夫でしょうか!?

何処をやられたんですか!?」


望遠鏡から目を離したリノアに尋ねると、

覗き込んだ彼の顔色は優れない。


リノア

「右胸と肩の境かと・・・貫通してました。

あんな傷でも治癒出来るのか......

従者の彼女の実力を信じるしかありません」


穂波

「アクトさん、フォロアさん・・・

頑張って下さい!どうか!どうかご無事で...」


ハチクは懸命に祈る穂波を健気に思いながら、

その視線は正門付近の兵士達に向けられていた。


ハチク

「ここまでされて、まだ動く気配がないとは...」


ハチクの瞳は冷たく、眉間のしわで憤りを表す。


動揺して恐れ慌てるのは仕方がないが、

街を守るべき兵士までもが同じ有様では

頼りにもならない。


渋々ではあるが、穂波と共に触れ合って

きたこの世界の人間達に対する印象が、

今までの経験も踏まえ、ハチクの中では

醜く濁った存在へとまとまっていく。




ーーーーーー



その頃フォロアは、

アクトに回復魔法をほどこしていた。


アクト

「・・・・・ンッ・・・ァ」



苦悶に顔を歪め、うなされている。

左胸を赤く染めて野原に倒れていた

アクトの悲痛な姿に、

涙が込み上げそうになるのをこらえて、

フォロアは治癒魔法に専念していた。

ただ、予想以上に傷の治りは早い。


フォロア

「(・・・焦ったぁぁ。

本来なら治癒術師じゃなきゃ

厳しい大怪我だけど、出血量も少ない

上に傷口も早く塞がった・・・

やっぱりアクトの身体は加護のおかげか、

常人とは比べものにならないほどに

丈夫になってる。これならまだ希望はある)


厳しい戦況ではあるが、

微かに頼れる希望を見つけられたのは

唯一の救いだった。




アクト

「・・・・・・ウワァァ!!

ハァハァ!ハァーーーーッ!!」


いきなり目覚めて上体を起こすアクト。

顔色は良くはないが、急に体を動かして

も何ともなさそうな様子を見ると

傷は無事に完治したようだ。


フォロア

「アクト!良かった!もう大丈夫よ!

加護の力はまだ充分働いてるわ。

まだ、貴方は『戦える』わよ!!」



アクト

(ドキッ!)


それは良い報告のはずだった。

でも何故か心が動揺する。身体が強ばる。


フォロア

「バーグ!イノス!一旦集まって!!

連携を立て直さないと!」


バーグ

「ああ・・・わかった!」


仲間が集まる間、アクトは左胸の傷口を

指先で恐る恐る触ってみる。

確かに中も外も特に痛みは感じなかった。



それなのに


それなのになぜ、

こんなに苦しくて、手が震えるんだろう?



フォロア

「アクトの怪我は、加護の力で

すぐに治癒できたわ。

目の謎は気になるけど、今のアクトなら

そう...//,/簡単に././,/.は//\/\/\/\\\\/.\\^\\^\\^




((ハァーーイ♪具合はどぉぉ?))



また、あの雑音が頭に入ってきた。



ミデュラ

「(フフフ。ワタシの言ってたことが

やっとわかったかしら♪

強い勇者くんがどんな覚悟を持っていようが、

どんだけ身体が丈夫になろうがネェ、

痛みは感じるのよ。

でもいくら痛くても辛くても、

逃げられないし、死ねない。

だってアンタは勇者なんだから!)」


言われっぱなしはマズいと思いながら、

この意地の悪い女魔族に対して、

自信を持って言い返す言葉が見つからない。


塞がったはずの傷口から、

全身を突き抜けたあの強烈な苦痛が

思い出されてしまう。



ミデュラ

「(そーんな可哀想な勇者様に提案なんだけどぉ♪

もしこれから先、無抵抗でいてくれたら、

私達は勇者くんを痛めつけたりしないわ。

捕虜として丁重に向かい入れて上げる♪

その後は、私の同胞のサキュバスちゃん達に

ゆっくりじっくり勇者くんの力を

吸収して貰って、普通の人間に戻して

帰してあげる♪

どう?悪くないでしょう?」


到底信用できる話ではなかった。

だが、悪魔の囁きは続いた。


ミデュラ

「でももし、勇者くんがまた私達に

歯向かうっていうならぁ・・・・・・」


アクト

「(な・・・なにを...)」


ミデュラ

「仲間も〜アンタも〜♪

この世に生まれてきたことを後悔する

ほど凄惨で残酷な仕打ちを受けて貰うワァ!!!

死を懇願する位にねぇえ!!

アナタは精霊様のお陰で特に長く

楽しめるでしょうネェェェ!!!

(アハハハハハハハハッハッハッハ!!!)」



アクト

「(・・・・・・・・・・・・)」



五体満足。

身体も動く。傷は治せる。


まだ戦う体力は充分に残っている。




《ズキィンッ》




ーーーーーーそれでも、

あの時の痛みや苦しみ。

先の見えない戦い。

仲間を失う恐怖を考えてしまったら.....





ドタッ!!






バーグ

「ーーーそんじゃあ、一旦街からの

援護が届く所まで交代してから・・・

って、アクトォ?」



戻って3人で話していたバーグが、

フォロアの肩越しにアクトを見る。


その場へたり込むアクトの姿をみて、

バーグはただただ驚いてしまう。


バーグ

「どうしたんだ!?さっきの傷が痛むのか!?」


フォロア

「そ、そんな!確かに治療した筈よ!」


イノス

「アクト!」


心配して駆け寄る従者達。

突然のことに、バーグもオロオロと

しながらアクトの身体に手を添えると、


申し訳無さそうに。

恥ずかしくも、我慢出来ずに。

普段とはまるで違う、か細く震えた声で答えた。






アクト

「・・・・・・・ゴメン。

戦わなくっちゃいけないのは・・・

分かってるんだ!

傷も治って大丈夫なはずなのに・・・

けどぉ...ハハッ・・・お、おかしいんだ」



バーグは今まで見た事のないアクトの

弱々しい姿、声に目を丸くした。

過呼吸になり、触れているバーグの手に身体の小刻な震えが伝わる。



アクト

「手、手が・・・身体が重くて、震えてぇ

・・・力が.....入らないんだ。

ぼ、ぼ、僕は・・・勇者だから.....

やらなきゃ....だけど!・・・

頭で分かってても・・・それでも

動けないんだよぉ....」




早くから精霊に選ばれたから。



周りが持ち上げ、頼り、すがってきたから。



皆より力を持っているから。



他に道はなかった。


一方的に植え付けられた自信と、

義務という強者へのハンデ。

優しさ故に、

背負い込んだ責任感が

彼を騙し騙しここまで連れてきた。

そうやって取りつくろってきた心は、

初めての敗北と度重なる逆境に打ちのめされ、


完全に折れてしまっていたのだ。



従者達は初めて見る彼の弱々しい姿に

愕然(がくぜん)としていた。

特に年長者のバーグは自分自身に

腹が立っていた。


バーグ

「(目の前戦いだけに気を取られて、

何やってんだよ俺は!!)」


周りに気を遣い、我慢してしまう性格は

よく分かっていたはずなのに、

ここまで追い詰められているアクトに

気づけなかった自分自身に対して。




ギィッと歯を噛み締め、数秒考え込んでから声を掛ける。



バーグ

「・・・お前なぁ…」



アクト

「ッ!」



ぁぁーーー失望されてしまっただろうか。


恥を承知で、我慢できずに弱音を吐いて

しまったと、

仲間の反応にすら怯えるアクトに、



ポンッ


バーグは手でアクトの頭をクシャクシャ

と撫でた。



バーグ

「バァーカ!のっけから飛ばし過ぎなんだよ」



アクト

「えっ...」


バーグ

「慣れない力に張り切っちまって、

あんな連中相手に1人で頑張ったから、

ドッと疲れが出てきたんだって!

だからよ、しばらく休んでろ!」


話の意図を察し、

後ろのフォロアとイノスも、


フォロア

「たまには気の利いたこと言うじゃない。

バーグの言う通り、体力まで回復したわけ

じゃないものね。

ちょっと休憩してなさいよアクト。

アタシ達で軽くあしらっておくから!」


アクト

「えっ・・・うっ、でも...」


イノス

「あしらう?そんなんでいいんですか?

僕はそろそろ全力で手柄を挙げるつもりですが」


バーグ

「おぉぉ、流石は騎士様って感じだなぁ。

俺も負けてらんねぇなっ!

そんじゃあ行くぞっ!」


フォロア

「競争するのはいいけど、

調子に乗って私の魔法の前にだけは

出るんじゃないわよ」



その場から立ち去り、

戦場へと赴こうとする3人の背へと

アクトは手を伸ばす。


アクト

「ちょっ・・・ちょっと待っ...」




バーグ

「なぁアクト。

本当に辛い時は頼って、

任せてくれたっていいんだぜ・・・

その為に俺ら従者がいるんだからよ」



普段は友として接しているバーグが

とても頼もしく、また仲間達の優しさが

身に染みて、熱くなる瞳から涙が止まらない。



アクト

「っ・・・・・ごめん・・・本当に

ありがとぅ...みんな」




アクトが泣き止むのを待つことなく、

従者達は敵勢へと進む。


フォロア

「四方を透き通る不可視の壁!

包む者を隔絶せよ!シャット・ホーリーエア!」


フォロアが後ろに杖を払うと、

魔族達からアクトの姿が見えなくなる。

彼の身の安全と、勇者としての尊厳を守る為だ。


魔族達の声に近づいていく。


戦士はハンマーを両手で痛いくらいに

しっかりと、強く握り締める。

騎士は逆に無駄な緊張から脱力し、

魔法使いは片膝をついて詠唱をする。



フォロ

「出来る限りデカく暴れて頂戴。

零れたのを私とイノスで確実に狙っていくわ」


バーグ

「おう。久々に荒れちまうかもしれないな」


イノス

「了解です」


3人は意を決し、アクトを守るように

魔王軍と対峙する。

すると、お決まりのように

女参謀ミデュラがにやけ面で待ち構えていた。


ミデュラ

「アラアラ、勇者くんはどうしたのぉ?

急に座り込んじゃってたけど?

姿が見えないのはもう逃げちゃったのかしら」



わざとらしい挑発の後から、

魔族達の嘲り笑う声が響く。



バーグ

「うちの大将はちょっと疲れちまったから、

休憩するとさ!!

それに、お前ら如きの相手は俺らで

充分だからな!」


フォロア

「・・・・・・」


ただ黙って敵を見据えるフォロア。


ミデュラ

「ふーんじゃあ試してみましょうかネェ?」


ミデュラはそう言ってジェネラムの方を見る。

するとジェネラムは左手を掲げ、

無慈悲な命令を下す。


ジェネラム

「全軍・・・進撃せよ!!

勇者を捕らえた者には限りない褒美と

最高の栄誉を与えよう」



魔族

「「グオオオオオ・キェェェ!!」」


刃物を両手に掲げて突っ走るゴブリン。

腕に剣やゴツゴツした棍棒を振って

駆けるオーク。

奇声を吠え上げて奮い立つオーガ。

一斉に羽ばたき出すマンティスリーパー。


漆黒の波は、我先にと従者達に迫り来る。


イノス

「(ゴクッ)」


バーグ

「上等だぜオラァァァァァァ」


フォロア

「雑魚共が・・・格の違いをみせてやるわよ」



2000余りの軍勢に、

たったの3人が向かっていく光景は、

神話の世界の偉大なる一幕を

目の当たりにしているようで、

兵士や騎士達は、ただただ

その光景に目を釘付けられる。


自分達の役割を忘れてーーーーー




ハチク

「・・・結局、誰も何もしないのか」


穂波

「このままじゃあ...」


このままではいけない。

現実的な危機感を持っていたのは

穂波達とリノア、そして


隊長

「・・・・・・」


真面目な騎士の青年隊長だけだった。

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