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スノードロップな君が読む物語 ~Record the change of the world~  作者: フリーライダー
転 各々の思い
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32.集う悪意


□オラコールの酒場にて


バーグ

「ングッ!ングッ!・・・プハァッ!

やっぱし戦いの後と食後の酒は格別だなぁ♪」


街の男達が1日の終わりに晩酌を楽しむ

宿屋の下の階の酒場で、

勇者アクトと戦士バーグは

夕食後のひと時を過ごしていた。


森での戦いの後だけあって、

男2人のテーブルには大量の皿が

積み重ねられている。

バーグは満足そうに腑抜けた顔で

ジョッキのエールを喉に流し込んでいるが、

一方のアクトは満腹ではあっても、

ご機嫌ではなかった。


アクト

「フォロアは何で仲良く出来ないのかなぁ!

揉め事になる事の方が、僕にとっては苦痛なのに。

あぁ、もぅ・・・あんな大勢の前で...」


バーグ

「まぁまぁ、そういつまでも起きちまった事を

悔やむなって!」


珍しく不満を口にしてふさぎ込むアクトに、

バーグはいつもの調子で語りかける。


バーグ

「アイツの性格と態度のキツさはマジで問題だよな、

うん。


・・・でもまぁ、なんて言うか…

確かにフォロアは感情的な女だけどよ、

アイツも根はしっかりしてる大人だ。

明日には頭を冷やして謝ってくるさ。

アイツはお前の事だけは本当に大切に

思ってるんだからな」


アクト

「・・・」


アクトはぼんやりとした瞳で

ガラスのコップの中を見つめる。

少しだけ残った琥珀色の液体は、

ハチミツ漬けの果物でつくられたお酒だ。

アクトは今までチビチビ飲んでいた

それを、一気に口に含んだ。


口の中に甘みと酸味が広がる。

しかし、後からお酒独特の苦味がくる事を

知っているアクトは、すぐに飲み込んだ。


久々の戦闘と揉め事に疲れた体に、

アルコールが心地良く染み込んでくるのを

アクトは感じる。



アクト

「フゥーッ・・・充分わかってるさ。

僕だって、彼女がいたからこそ、

ここまで来れたと思ってる・・・し・・・」


愚痴をこぼしながらも、急な眠気に逆らえずに、

アクトはテーブルの上で片腕を枕にして

ゆっくりと瞳を閉じた。


バーグはそんな彼をただ眺めていた。


バーグ

「いつもより多いっていっても、

たった2杯だぞアクト〜、ハハハ♪

・・・あの頃の俺もそうだったけど、

周りがどう思ってても、お前も女の事で

悩む普通の男なんだよなぁ」


バーグが1人しみじみと物思いにふけっていると、



イノス

「あっ、やっぱりここでしたか。

遅くなってしまい・・・って、アクト?」


フォロアを探しに行っていたイノスが現れ、

アクトの隣りのイスに座るが、

彼が寝ていることに気づくと頭に手を当てる。



イノス

「もぉーー!!

励まして下さいとは言いましたが、

泥酔させてどうするんですかぁー!

明日は大事な儀式の日なんですよ?」


バーグ

「たった2杯だけだって。

それに、アクトが神経質なのは

お前もよく知ってるだろ。

今日みたいな日は、悩む暇を与えずに

こうやって酒の力で一気に眠らせて

やった方がいいんだよ。

それよりフォロアは見つかったのか?」



イノス

「ええ、会いましたよ。

ただ、今日は別の宿屋で泊まるらしいです。

まったく・・・」


イノスは冷静を装ってはいるが、

不満を抱いているのはバーグにはすぐ分かった。


バーグ

「今はそっとしておいてやれ。

俺達はこれから長い旅を共にするんだ。

いつまでも痴話喧嘩でイジけてられないのは

アイツだって理解出来てるはずさ。


気難しい奴だけどよ、世界を救う冒険は

フォロアみたいな芯の強い女性じゃなきゃ

務まらないからな。俺からも頃合いをみて

ちゃんと話しておくから任せろ」


穏やかな口調で厄介事を引き受けようとする

バーグに対して、イノスはわがままを言って

しまったようで何だか申し訳なく思う。


バーグ

「それよりほら、お前も飯まだだろ?

なんか頼めよ!おーい、お嬢さーん!」


イノスをねぎらい、バーグは歩いているお店の娘を呼ぶ。

お客が戦士バーグと騎士イノスだと気づくと、

娘はエプロンをバタつかせて駆け足で

やって来た。


ウェイトレス

「はい!ご注文はいかがしましょう?」


元気よく笑顔で注文を伺われ、

イノスは慌ててメニューを見る。


イノス

「ちょっ、バーグ!まだ何も決めてないのに!

・・・えぇーと・・・よし。

じゃあサラダとソラマメのスープ。

蒸し鶏と臓物煮込みと麦パン。

クリーム乗せベリィタルトとカットフルーツを」


バーグはイノスの注文の多さに目を丸くする。


「はい!あと、当店オススメの塩漬け豚と

エールのセットはいかがでしょうか?

絶品ですよ♪」


娘は悪気なく勧めるが、

イノスの生真面目を知っているバーグは

気を遣いながら口を挟む。


バーグ

「あー悪いけど、コイツは騎士だから

酒はあんまり...」


イノス

「いや、折角オススメして頂いたんです、

それも是非お願いします」


イノスの言葉に娘は陽気に返事をして去った後、

バーグは意外過ぎるといった様子でイノスを

眉が下げて不安そうに見つめる。



イノス

「なんですかバーグ。

別に怒ってヤケになってる訳じゃないですよ。

寧ろ愚痴を聞かせてしまってすいません。

明日から本格的に忙しくなるでしょうし、

今日ぐらい息抜きをしようと思って、

だからなんというか・・・

もうちょっと素直になろうかなって♪」



完全に心を開いてくれるイノスの笑みに、

バーグは安堵と嬉しさが込み上げてくる。


バーグ

「そ、そうか・・・なんだぁ、ハハハ!

いいねぇ!飲もうぜ飲もうぜ!!

明日アクトが勇者になっても、

最初のうちは大した戦闘もないだろうしよ!!」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「「シネェェェェェェェェ!!!!」」


「「クタバレェェェェェ!!!」」



《ガンッ!! 》《ドガッ!!》


《キィーン!》


《キン!! ガキキッ! 》


.*・゜ .゜・*.ザシュ!!.*・゜ .゜・*.




青白い月明かりの下、

森に囲まれたオラコールへと続く洞窟前の

岩地では暴力的な音が飛び交い、

エルフと異形の兵士達が死闘を繰り広げていた。


エルフは自分達とは対照的な外見の

オークを相手に、一切の慈悲なく果敢に戦い、

特にエルフの隊長であるユルグの戦いは

凄まじいものだった。


最初は至近距離でも慌てることなく、

次々に矢をオークの顔に、胸に、足へと撃ち込む。

だが矢の消費も早く、背中の矢筒に

手を伸ばすも掴める物がなくなると、

筋肉質な上半身をさらしたオークが

ここぞとばかりに剣を掲げて突っ込んで来る。


オーク

「ガァァァァ!!」


だがユルグは自分から足を踏み出して、

弓の鋭い端でオークの頭をぶん殴った。

そしてすぐに弓を背中に収めて両腿から短剣を抜き、

よろめくオークの利き腕から脇腹へと

両手で辿(たど)るように順に突き刺していく。


オーク

「ギェ!?ギヤァ!ガガガァッ!!」


汚い歯と舌を剥き出しにして断末魔を上げる

オークを、ユルグは無言で蹴り倒す。


次々と襲い掛かるオーク達を相手に、

ユルグは条件反射の如く攻撃をさばき、

カウンターで相手の腕や足を滅多刺しにてから、

トドメの一撃を確実に決めていく。



親方

「オリャア!!これはソルドの分!

こりゃあチェハン!!ウリャァア!!

今のはイーソンの分だぁぁ!!」


洞窟で働いていた鉱夫達の親方だった男もまた、

亡き仲間の仇をとろうと、エルフの剣と

オークからぶんどった斧を手に戦っていた。

味方のエルフ達もなんとか優勢を保っている。



「グオォボォド!!」


「イケェェェ!!コロセェェー!!」


洞窟からは未だにぞろぞろと魔族の兵士達が

地の底から這い出ていたが

これに対しても、エルフ達は手は打っていた。



エルフの魔術師達

「「ザハドゥ・イシュ・ブレェ!!!」」



ローブを纏ったエルフの魔術師達が

手の平を洞窟へ向けると巨大な魔法陣が

浮かび上がる。

そして、そこから巨大な光の矢が放たれた。


《シュゴオォォォ!!》


オーク達は眩い矢が頭上を飛びうろたえるが、

光の矢は弧を描いて洞窟の上の岩肌に当たり、

輝く飛沫となって消滅した。





「「・・・ガハハハハハ!!」」




オーク達は外れたのを見て嘲り笑う。

しかし、エルフの魔術は失敗ではなかった。



《ガラガラガラガラガラガラ!!!》


突然なんの前触れもなく岩山がえぐれ、

大きい岩石が崩れ落ちていく。



「グオオオオオォーー!?」

「ギィィェェェーーーー!?」



慌てふためき逃げ惑うオーク達。



《ドガガガガラガラガラ!!》



崩れ落ちてきた岩石は多数のオークを下敷きにし、

敵の湧き出る出入り口は完全にふさがれた。



エルフ

「「オオオオオ!!」」


親方

「ざまぁぁぁみやがれぇ!!」


敵の増援が絶たれ、倒す敵の数に終わり

が見えてくると、エルフ達は勝利を確信した。



ユルグ

「油断するなーー!!

(あの親玉らしき鋼鉄の魔物さえ注意すれば、

充分勝機はある)このまま一気に...」




《ドゴォォォォォン!!》



ユルグ

「!?」




背後で轟音が響き、

目の前のエルフ達の顔が強ばっている。

ユルグが振り返ると、岩で塞がれた洞窟の

両隣りの岩壁が吹き飛び、2つの大穴が空いた。

飛び散る石や砂埃に紛れて出て来たのは、

鎧で全身を覆った2体のトロールだった。

トロールが邪魔な岩をどけて道を開くと、

2つの穴から赤い旗を持ったオークを先頭に

大量の軍勢が溢れて出てきた。

そして、一番最初に名乗りをあげられるはず

だった言葉を、彼らの名を高らかに叫ぶ。




「「アイアン!!

サングレイダァァァーーズ!!!」」




「「ウオオオオオオオオォ!!!」」



赤い舌先を揺らす黒い蛇のように。

魔族の長い隊列は、次々にエルフ達へと

喰らいついていく。


親方

「おいおいどんだけ出てくんだ!?

こりゃあ、アンタらでも流石に分が悪い

んじゃないかぁ!?」



ユルグ「・・・」



スカルソルジャー、オーク、昆虫型の魔物。

種族はバラバラだが、魔族はみな鎧を身につけ、

様々な剣や盾などの武器を装備していた。


幾ら長い年月を生き、五感も優れているエルフの戦士

といえども、その攻撃の幅広さと勢いを

止める事は出来ず、


虫の魔物

「キェェェェ!!」


エルフ

「ハア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーー!!」


オーク

「グラァァァァアアー!!」


エルフ

「ヒギィィェエ!?」



魔族達の咆哮の後に聞こえるのは

甲高くも情けないエルフ達の断末魔。


200騎いた兵は半数にまで減り、

次第にエルフ達は森の方へと追いやられていた。


ユルグは挟撃を恐れ、

背後に敵がいないかを確認すると、

先程まで果敢に戦っていたはずの親方が

なぜか1人で突っ立っていた。



ユルグ

「おい、なにをし・・」



バタッ!


ユルグ「!」


ユルグの呼び掛けに答えること無く、

仲間達から親方と呼ばれていた男は息絶えていたのだ。

彼の衣服はズタズタに裂け、血塗れの凄惨な

姿には、流石のユルグも憐れみを感じ、

彼をこんな有様にした相手を睨む。



ギア・ヴォルフ

「グルルルルゥ・・・」


そこにいたのは、北の僻地で惨劇を

繰り広げた狼属の魔物。

鋼の防具と義手を備えたギア・ヴォルフと、

頭に羊のような角をもつ妖艶な女魔族

ミデュラだった。


彼女はユルグを見るなり、

妖しく不気味な笑みを浮かべる。

ユルグは2人がただ者ではないことを悟る。



女魔族ミデュラ

「アラァ?エルフの殿方が

折角のパーティを途中退場だなんて、

やっぱり野郎だらけじゃウンザリだったかしら?

ワタシがお相手してあげましょうか?」


青と黒を基調とした、ピッタリとした艶の

ある服に包まれた身体に手を這わせ、

誘うように指を小指から順に折り曲げるミデュラ。


その姿は、人間の男なら例え敵でも

唾を飲んでしまいそうなほどの色気だが、

ユルグは冷めた目付きで答える。


ユルグ

「生憎だが先約があってな。

それに女性には困っていない。魔族なら尚更だ」


攻撃的な態度のユルグを

ミデュラは鼻で笑う。


ミデュラ

「ハッ!何勘違いしてるのかしら?

あんたらエルフの見下したようなすまし顔を

見てると虫唾が走るわ!

だからグチャグチャにしてあげる

って言ってんのよ!!」


ミデュラの表情は女性とは思えないほど、

憎悪に満ちていた。

そして、タトゥーの入った右腕を振るって

呪文を叫ぶ。


「裂き開けぇ!デスクロウ!!」


ミデュラが空を爪で引っ掻くと、

爪痕が赤と黒の波動となって向かってくる。


エルフ兵

「ユルグ様!お下がりを!!」


魔術師

「「ホーリィーライト!!」」


兵士や魔術師達が青白い円状の防御魔法を

張って、ユルグを守ろうとする。

だが、赤い波動は魔法の盾を切り開き、

魔術師達の身体を斬りつけた。


叫びを上げ魔術師達が倒れると、

ギア・ヴォルフが瞬時にエルフ達目掛けて

飛びかかり、その鋭く強靭な義手を

使って次々とエルフをねじ伏せていく。


ギア・ヴォルフ

「グルアアァァァー!!」


前から後ろから、

周りで殺されていく同胞の叫びに、

ユルグは大事な使命を諦め、苦渋の決断を下す。



ユルグ

「クッ!エスケークェ!!(退却!!)

エスケークェ!!」


エルフ兵

「ユルグ様!よろしいのですか!?

『ブレェイエル』との面会は..」


ユルグ

「これほどの騒ぎが起これば、

オラコールの連中も気付くであろう!!

勇者もいる。先手は打てるはずだ!

我々は生きて援軍を呼ばねばならない!!

行けぇー!!」


隊長の命令に従い、森へと退却を始めるエルフ達。


ユルグ

「森へ逃げ込めぇ!!森へー!!」


《ワアアアア!!》



魔術師達が魔法による攻撃で敵を

怯ませている間に、

エルフ兵達は矢を放ちながら森へと

必死に走り出す。



オーク

「ヤツラ 尻尾ヲマイテ逃ゲテイキマス!

アームド・シュラム様!!」


アームド・シュラムと呼ばれた鋼鉄の魔物は、

再び何かを射出し、鉄球を飛ばし、

エルフ達を容赦なく追撃する。


《プシュン!プシュン!プシュン!》


「グフッ」「アガァ!!」

「ヌァア!!」



同胞の叫び声から遠ざかりながら、

ユルグは心に誓う。


ユルグ

(・・・この借りは必ず返す!)


多数の兵士が鉄の矢や鉄球。

魔族の射る矢に倒れるながらも、

ユルグ達エルフの残党は森の闇の中へと

消えて行った。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「「サングレイダァァァーーズ!!」」


「「グオオオオオ!!ガアアアアア」」




勝利の雄叫びを上げる魔族達。


今も尚、洞窟から伸びる長い軍勢の列は

絶えることなく続いていた。


笑みを浮かべるミデュラ。


ミデュラ

「場所や狭さを選ばなければ、

魔界から地上へ通じる洞窟なんて

いくらでもあるのよ。

でも軍勢となれば道を開通しても、

かなりの時間は掛かる。

それ以前にまず敵に察知されてろくに

侵攻なんて出来なかった・・・今まではね」




緑色の肌に獣のような牙と爪を生やしたゴブリン。

筋肉質な肉体をもつオーク。

更に2mほどの強靭な身体に獰猛な気性のオーガ。

馬車を軽々投げ飛ばせるほどの巨体をもつトロール。

地を這い、空を舞う昆虫属のマンティスリーパー。

多種多様な魔族の兵士が続々と集結していた。


ゴブリンやオークは斧で、

マンティスリーパーは鋭い鎌で木々を切り倒し、

森を切り開いて炎を燃やし、陣を敷いていた。

その中央で、魔族達の指揮官達は集まる。



ミデュラ

「本隊の護衛、よくやったわシュラム。

これでほぼ作戦は成功したも同然よ!」


シュラム

「・・・」 《パカッ!》



口がきけないらしく、シュラムは

代わりに仮面を笑顔の仮面に変えた。


ミデュラ

「オーク達も、見事な露払いだったわよ♪

指揮官は逃がしたけど、あのウザったい

エルフ共が応援を呼んだところで、

ワタシ達の目的が果たされる頃には

決して間に合わないわ」



ギア・ヴォルフ

「・・・ダガ、コレダケ騒ゲバ、

聖域ノ人間共ニ気付カレナイカ?」


ミデュラ

「安心なさい。前もってこの森には

『ミュート』の結界を張ってあるわ。

ここでは数歩先の音以外ろくに聞き取れない。

その上、他の場所で大量発生していた

『害虫』を放っておいたから、

森に入った者は生きては帰れない。

秘密は守られる。

デスピア!進行状況は?」


ミデュラの問いに、特に醜く獰猛そうな

オークの指揮官が答える。


オークの指揮官デスピア

「オーク500、ゴブリン600、オーガ100、

トロール12、マンティスリーパー500。

スケルトン800ハ明朝ニ到着シマス」


ミデュラ

「2500の兵・・・この数で城壁の前に立ったら、

奴等に笑われるでしょうね。

攻城戦では、敵の倍以上の戦力が必要なのにね

・・・フフッ」


不敵な笑みを浮かべるミデュラ。



ギア・ヴォルフ

「何人ダロウガ構ワン・・・・・・

ヤツ等ハ、コノ我カラ爪ト牙ヲ奪ッタ・・・

今度ハコチラガ奪ウ番ダァァー!!!」


《グオオオ!!》《グワアアア!!》

《キェェェー!!!》


ギア・ヴォルフの叫びに、周りの魔族も奮起する。


ミデュラ

「ハイハイ、アンタ達。

意気込むのはいいけど、

勝手に動いて返り討ちになるのだけは

勘弁してよ」


ミデュラは面倒くさそうに宥める。


ギア・ヴォルフ

「グルルル・・・ワカッテイル。

命令ニハ従ウ」



???

「構わん。思う存分戦ってくるといい」




一同「!!!!」


全員が声の主を見ると、

軍勢の奥からマントに身を包んだ

一際大きい体格の、ただならぬオーラを

放つ魔族の将が現れる。



ミデュラ

「あああ、お待ちしておりましたぁ♪

ジェネラム様!!しかし先ほどの

ご命令、よろしいのですか?」


ミデュラは崇敬の眼差しで

ジェネラムという名の将を迎える。


ジェネラム

「ギア・ヴォルフ・・・久しいな。

その装備を身に付けているとはいえ、

古傷がうずく身体に鞭打って働いたのだ。

明日は好きに暴れよ。

すれば人間もその姿に戦慄せんりつすることだろう」


ギア・ヴォルフ

「オオオ!!・・・・・・アリガタキシアワセ」


ギア・ヴォルフはひざまづいて、

慈悲に感謝を示す。


ミデュラ

「・・・まぁシュラムもいるし、

『新しいオモチャ』も手に入れたから

戦力には困らないでしょうし。

例えオラコールの全兵士・騎士を相手に

したとしても、作戦の成功はほぼ確実です♪」



アームド・シュラム

「・・・」 コクッ


笑顔の仮面を付けて、頷くシュラム。


ある目的の為に地上に来た魔族達は、

既に勝利を確信している様子だった。

しかし、



デスピア

「・・・勇者ハ イカガイタシマス?」


勇者という言葉に、その場の全員がざわめく。

恐ろしい外見の魔族達が、その存在に

恐怖や緊張を感じていた。



ジェネラム

「・・・勇者が噂通りの強者で、

多少でも手こずるようならば・・・・・・・



その時は・・・・・







ワタシ自らが、刻み散らしてくれる」


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