帰国
ルキウスさんと契約が成立したので、
ケドニア国に帰ることにした。
トムが船の上で、俺に話しかける。
「それにしても、結果オーライで良かったよな。」
多分、トムがルキウスさんに先物取引の話をしてしまったことを
言っているのだろう。
「保証金を売った額の分だけ、取られることになったから、
半分くらいオーライだな。」
「どういうことだ。」
「金貨20万枚分を売るとして、保証金は金貨11万枚と
する取引もあり得たということだよ。」
「?」
「まあ、オーライということで、いいさ。」
難しいよな。
まあ、穀物の価格は3ヶ月後に2倍になる可能性まで考えれば、
同額の保証金は妥当な線だし、まあいいか。
現実社会みたいに、強制手仕舞いは出来ないからね。
「それにしても、ルキウスさんが詐欺師だったら、どうするんだ。」
確かに、ルキウスさんがアリタイ国の宰相だというのは自称であって、
誰からも保証はされていないな。
トムは意外と鋭い。
「一応、卸問屋の責任者を連帯保証人にしておいたから大丈夫だと思う。
ついでに、実際に穀物を扱うのも同じく卸問屋の責任者にしておいた。」
ルキウスさんが大量の穀物を抱えても処分に困るだけだしね。
「ふーん。」
「それより、昨晩の夕食はどうだったんだ?」
トムが嬉しそうな顔をする。
「飯が美味くってなあ。コルネリアも可愛かったし。」
「まあ、宰相の娘では高嶺の花だな。」
「良く分からないんだが、親子ではないみたいなんだ。」
?、親子ではないのか。
確かにお互い遠慮していたかなあ。
船は、風を受けてスピードを上げる。
ケドニア国に着くと、すぐに王都のギルドに向かった。
ギルドでは、メリッサさんが不満げに出迎えてくれた。
「どうだい。調子は?」
「どうもこうもないわよ。アリタイ国に行って来たんですって?」
「ああ、行って来た。」
「なんで私を連れて行ってくれないのよ〜」
メリッサさんは俺たちが遊んで来たと思っているらしい。
そもそも、メリッサさんがいなかったら、ギルドの窓口は誰が担当するんだ?
「それはともかく、冒険者は集まったかい?」
「まあ、集まったわよ。なんと15人!もちろん、全員、実績もあるわよ。」
すると、あと85人か・・・
マテウスさんたちを数に入れれば、82人だな。
なかなかだ。
「ありがとうな。助かったよ。」
「だから、次回アリタイ国に行くときは連れて行ってよね。」
「それまでに、ギルドが人を雇えるくらい儲からないとダメだな。」
「それだったら、私に良い考えがあるわ。」
おお、メリッサさんの良い考えとはなんだろう?




