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異世界でギルド経営  作者: materialism
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王様の真意

討伐に向けた債権、討伐債を発行するためには

王様の許可が要るということだが、

なんとかなるような気がしてきた。


「その辺は私に任せてはもらえないでしょうか?」

「なんとか・・・なるのか?」

「おそらく・・・」

「分かった。任せてみよう。では、陛下に会いに行くか・・・。」

「準備がありますので。できれば2時間後にしてもらえませんか?」

「?、それくらいはお安い御用だが?」

「それではお願い致します。」


お城を出て、トムを探す。

あいつはいつでも五月蝿いので、すぐ見つかると思うんだが、

こういうときには見つからない。

ただ、五月蝿いだけあって目撃情報が多く、

なんとか捕まえることが出来た。


トムに金貨1枚渡し、頼みごとを1つする。


これで準備完了だ。

運命の女神様が俺に微笑むかどうかだな。


急いで、お城に戻るとメリッサさんが俺を探していた。

「ユーキ、近衛兵長が探していたわよ。」

「ああ、分かった。ありがとう、それからもう少ししたら

トムという少年がお城を訪ねてくるので、入れて上げてほしい。」

「また、何か企んでいるのね?」


メリッサさんが上目遣いにこちらを睨んできたが、

それには笑顔で返す。


それからは、またも王様との謁見だった。

もう何回目だろうか・・・


今回もまた、現実社会で培ったプレゼン能力を駆使し、

街道を使えることによるメリットを強調して、

説得を開始した。

その後、討伐債、つまり討伐の資金を集めるために、

王都の住民から広くカネを集めること、

討伐が完了してから利子を付けて住民に返して行くこと、

などを説明した。


案の定、王様は黙ったままだが、

臣下たちが騒がしくなった。

「街道の安全を保つのは警備兵の仕事ではないのか。」

「討伐のカネを広く集めるなど、陛下の御威光に傷がつく。」

「そもそも、討伐を勇者失格になるような人間に任せて失敗したらどうするのだ?」


今回はカネが絡む話なので、皆が興奮気味なのは分かるが、

この人たちは反対するのが仕事なのだろうか・・・


あまりに五月蝿いので、我慢できなくなり、

逐一反論をし始める

「警備兵の数が少なってしまっているのは、皆さん御存知でしょう。」

「街道沿いの盗賊団を野放しにしておく方が、陛下の御威光に傷がつくのでは?」

「討伐債は、討伐完了後から償還を開始します。

よって失敗したら返還義務はありません。」


中から、1人の臣下が王様に歩み寄り、

「騙されてはなりません。この者の口車に乗り隣国の使者を追い返したりしなければ、

隣国からの援軍を期待をすることも出来たのですぞ。」


うーん、痛い所を突いてくるなあ。


それから後も、近衛兵長も一緒になって、

会議は踊る。されど進まずといった風情になってきた。


皆の意見が尽きかけたころ、メランさんがトムを連れてきてくれた。


「なんじゃ、その者は?」王様が初めて口を開いた。


「この者のことよりも、この者が持ってきたラーメンという食べ物をご覧ください。」


王様がじっくりラーメンを見つめる。

「うむ。いい匂いじゃ。食べて良いかの?」


すかさず臣下たちが止めに入る。

「なりません。毒が入っているやもしれませんぞ。」


「一口じゃ、一口。一口なら死なんじゃろ。」

と言って、臣下たちが止めるのも聞かず、

王様は一口ラーメンを食べた。


「ふーむ、これは美味い。」


よし、ここで畳み掛ける。

「ラーメン2杯がたったの金貨1枚でございます。

農業都市ネテアとの街道が使えないにも関わらず、

この値段で商売が出来ております。

この値段であれば、王都立学校の生徒でさえ、

お小遣いをためて食べられます。


この値段のために、陛下、隣国から食料を

輸入なさって安く市井に卸していらっしゃいますね?」


王様は黙っている。五月蝿かった臣下たちも黙ったままだ。


「陛下のお心遣い、私のようなものが

推察しきれるものではございませんが、

それでも、何事にも限界というものが

ございましょう。」


王様の皺が深くなる。


「このままではジリ貧。ここは、街道の盗賊ども掃討し、

農業都市ネテアとの交通を安全に保つのが、何よりも重要だと考えます。

そして、陛下、その役目、私にお任せください。」


「うむ・・・盗賊どもを討ち払ってみせよ。」

「承知いたしました。」


どうやら、女神様は微笑んでくれたようだった。

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