債権
近衛兵長の依頼を断る気が無くなった俺は、
お城に出向き、近衛兵長に依頼を受けることを伝えた。
近衛兵長は相当喜んでくれた。
前回と同じ様に、近衛兵長が調べておいた盗賊団の情報を貰う。
詳細な地図もあった。
それらを見終えてから、俺は付け加えた。
「ただし、条件があります。」
「なんだね、条件とは?」
「今回の件、近衛兵長からの依頼ではなく王様からの依頼としてください。」
「ふーむ。そのくらいなら大丈夫だろう。」
「それと、もう1つ、王様の名前で、寄付を募集することを許してください。」
「・・・。」
俺はこう考えた。
王都と農業都市ネテアとの間の街道を使えなくて、
困っているのは何も王様だけではないのではないか?
ならば、街道が使えるようになれば、
そのメリットは、王都の人たち全員のものだ。
そうであれば、そのコストもある程度は進んで
負担してくれるのではないだろうか?
暫くの沈黙の後、近衛兵長が話し出した。
「なるほど。なるほど。どうする気かと思ったが、なるほど。」
じっと、近衛兵長を見守る。
近衛兵長は更に続ける。
「王様が寄付を募るか・・・。」
あ、マズかったかな・・・
「なんというか、応援する気持ちをおカネでということです。」
近衛兵長は俺の話を受けて更に続ける。
「ならば債権を発行する方が良いだろうな。」
債権か・・・
ただ、それだと償還するときの財源の目処が立たないが・・・
「王都と農業都市ネテアとの街道が使えるようになれば税収も安定する。
その安定した税収をもとに償還を始めれば良かろう。」
近衛俺の心を見透かしたように近衛兵長が指摘する。
「もしカネが集まれば、支払う額を上げていただけるということでしょうか?」
「まあ、そうなるな。」
よし、これでカネの面での問題はクリアかな。
「それと最後のお願いがありまして・・・」
「まだ、あるのか。」
「今回、人を集めていますが、その纏め役として近衛兵を
3人ほど貸していただけませんか?」
「マテウス、ユンゲルス、ユンガーか?」
「はい。」
「まあ、それは良かろう。しかし、債権、とりあえず討伐債とでも呼ぼうか。
討伐債を発行して良いかどうかは、王様の判断を仰がなくてはならんな・・・」
ああ、そうか・・・
あの五月蝿い臣下たちが、大人しくしているとは思えないなあ。




