債権発行の準備
王様から許可を得たので
討伐に向けた債権発行の準備にかかる。
「総額は金貨10万枚で良いですね?」
「それは最低額です。債権としては金貨20万枚分、用意しておいてください。」
「はあ、大丈夫なんですよね?」
俺は会計係と打ち合わせをしていた。
会計係の人は、金額が大きいのを気にしているようだったが、
ちょっと考えがあったのだ。
「それと準備ができたら、私も売り込みに行きますので、よろしくお願いします。」
「はあ。少し時間をくださいね。」
「どのくらいかかりますか?」
「まあ、4、5日は・・・。なにしろ、会計補助がいないもので・・・。」
メリッサさんのことか・・・
今、金貨1300枚あるから、人を雇って
メリッサさんには本来の会計の補助の仕事に
戻ってもらおうか?
メランさんは、色々あったと言っていたが・・・
多分、近衛兵長と色々あったんだろうが、
近衛兵長はそんなに悪い人ではないし、
大丈夫だと思うんだが・・・
メランさんに、相談してみるか。
「絶対ムリだわ。」
「ええ、そんなに?」
「ええ、ムリ。」
メランさんは、俺の顔を真っ直ぐ見て、
そう断言した。
そうですか・・・
という訳で、メリッサさんの職場異動の件は、
諦め、お城を出た。
外ではトムが待っていてくれた。
王様に会えたせいか、顔が上気している。
「ユーキ、なんか凄かったな。」
「おお、トムもありがとうな。そう言えば、賞金狩りの調子はどうだ?」
「それが全然。なんか先輩冒険者たちまで最近、賞金狩りを始めてしまって。」
「競争が激しくなっているのか?」
「まあ、そういうこと。」
ああ、そうか。
まだ普通の依頼は窓口を通さないものが多いから、
手っ取り早く、窓口利用の実績を積むには賞金狩りしかない。
そうすればトムみたいな駆け出しの冒険者たちが、
競争から脱落してしまう。
そこまで考えていなかった。
とりあえず、トムは雇ってしまおうか?
専属のメッセンジャーが欲しかったしな。
「トム、それなら賞金稼ぎを辞めて、俺に雇われないか?」
「ああ、いいぜ。」
相変わらず、軽いなあ。仕事の内容も聞かないのか。
面倒臭がるトムに、給料や待遇の話をして、
給料は週給金貨50枚、基本的に休みは不定とした。
「じゃあ、よろしくな、トム。」
「ああ、よろしく、ユーキ。」
労使は対等というが、ここまで対等なのも珍しいな。
「まず、何をすれば良いんだ?」と聞くトムに、
俺は言う。
「まずは、隣国のアリタイに行くぞ。」




