第12話:レナの選択──「わたし、ちゃんと好きだった」
ここからは、翔矢と7人それぞれの“最後の対話”を描いていきます。
トップバッターはツンデレ代表・レナ。
強がってばかりだった彼女が、最後に見せた素直な言葉──
それは、最初に声を上げた彼女だからこそ言えた「好きでした」の真実でした。
「じゃあ、最初は……私が行く」
静まり返った空間の中、レナが一歩前に出る。
その背筋はピンと伸びていて、でも手は少しだけ震えていた。
「翔矢。
……正直、ずっとムカついてた。
誰にでも優しくしてさ、“選べない”とか言ってさ、
こっちは真剣に好きなのに、あんたはいつも“逃げてる”ように見えた」
「……ごめん」
「でもね」
レナは、ぐっと拳を握った。
「そんなあんたが、全員の気持ちをちゃんと見て、泣いたり笑ったりしてるの見て──
“ずるいくらい、かっこいいな”って思っちゃったんだよ……!」
涙がぽろぽろこぼれる。
「私は、選ばれたいよ。
一番になりたいよ。
でも……もし誰かを選んで、それであんたが後悔するくらいなら──
私は、選ばれなくても、ちゃんと“好きだった”って言いたかっただけ……」
翔矢は、ただ黙って聞いていた。
レナが初めて、自分の中の“弱さ”を言葉にしたその瞬間。
ツンでもデレでもない、真っ直ぐな言葉だった。
翔矢は、そっとレナの頬に手を添えた。
「レナ。俺は、ちゃんと聞いた。
その気持ち、絶対に……消えたりなんかしない」
「……バカ。でも、ありがと」
笑ったレナの顔は、今までで一番素直だった。
一筋の光が、レナの足元に降り注ぐ。
それは、“存在の証明”。
選ばれなかったとしても、その想いが“本物”だった証。
静かに、次の誰かが歩み出す。
お読みいただきありがとうございました!
レナの涙は、ツンでもデレでもない、ただの“まっすぐな心”でした。
最初に翔矢と向き合い、最初に傷つく覚悟を決めたその勇気に、心を打たれました。
次回はミカ。愛しすぎるがゆえに壊れそうになっていた、
一番危うくて一番まっすぐな少女との対話です。




