イスルギはなぜ裏切ったのか
ヒカリは心配だった。あの後ウォレミナがどうなったのか。ゼロは言う。
「ウォレミナの心配はするな。あいつはお前やつむぎのお陰で格闘家として目が覚めランファの暗殺を辞めたんだ。あいつは必ずつむぎを倒しに俺たちの元へくる」
ゼロには確証がなかった。この願いは叶わないであろう。ウォレミナはすでにカロリーナに殺されたのだから。
それを知らないながらもヒカリはゼロの言葉に安堵する。そこにランファが知らせに来る。
「いいニュースよ。イスルギの場所がわかったわ」
「本当か!」
ゼロは食いつく。チャイナックの密偵からの話ではヒノモトという国にいるとの事。
ヒノモトの大名、ヒデヨシのそばにいたのを見つけたという。ソフィアはそれを聞きこう考えた。
「ヒノモト、確かお姉様が言ってたわ。
文化は独特で面白いけど大名が好きじゃないと」
「私もよ。あいつは前から好きじゃないわ」
ランファがこういう。ランファは提案する。
「そういえば貴方外交官みたいなことしてたんでしょ? そしたらヒノモトに行けないかしら?」
「なんで私が! しかもヒノモトと国交結ぶの?」
「国交は既に結んでるわ。でも今回の目的はあなたたちに関係すること。そう、イスルギをとり戻すこと。話によるとイスルギはヒデヨシと寝てたそうよ」
「えっ?」
ソフィアは驚いた。するとアスナが言う。
「私は反対だ。裏切り者を今更こちらに戻すなど
頭がおかしい。あいつは裏切ったのだ。もうこの世にいないと……」
「うるせぇ!アスナ! お前に先生の何がわかる!」
アスナは話の途中でゼロに怒られた。
「先生にはなにかわけがあるんだ。先生にはなにかわけが!」
大声を出すゼロにランファは呆れる。
「そんな大声出さなくたっていいじゃない。
そしたらゼロ、あなたが行くべきね。
ソフィアはやたらと外出れないし。そちらの魔王さんは何するかわからないし」
ゼロは最初からひとりでいくつもりだった。
ソフィアは心配していた。
「ゼロ、大丈夫なの?」
「ソフィ、悪いが君は足手まといになる」
「そんな! 私はならないわ!」
「君は1度死んだことになってる。たとえソフィアとして生きてても狙われたら大変だぞ」
ソフィアは言い返せなかった。
こうしてゼロはひとりでヒノモトへ向かうのであった。
そんな中くのいちのクイナが幻影者となり現れゼロに助言する。
「ゼロ様、ヒノモトのヒデヨシは私の里でも対立していた者。不思議なことに私の里の跡地はあいつの領土になってるのです。
もしかしたらあやつもゼブブと関係してるのではと私は思うのです。どうかお気をつけください」
「ありがとうクイナ」
クイナに感謝したゼロはそのまま向かう。
ゼロとイスルギ二人の関係は魔王を倒す前に遡る。
ヒカリと共に村を出たゼロは修行をイスルギの元でしていた。
「甘い! そんなことで魔王を倒せると思ったのか!」
厳しい訓練をするイスルギ。ゼロとヒカリは
彼女にタッチするという修行をしていた。
彼女にタッチすることは難しかった。
イスルギは盲目ながらもかなり強かったからである。
ふたりはヘロヘロになっていた。
「もう無理のようだな。少し休め」
ゼロは油断したイスルギに飛びつこうとする。
するとイスルギは飛びつこうとしたゼロの顔面に蹴りを入れる。
「そんなんで私に触れることができるか!」
イスルギに対してタッチできずイライラしていたゼロ。するとイスルギが言う。
「お前はなぜそうでもして魔王を倒したいのだ」
「俺だってやりたくないただ成り行きでそうなっただけだ」
「だったらやめればいいだろう。人に流されて生きるのはあまり良くないことだぞ」
「だがそれだけじゃないんだ。俺はなにか超えなければならない。この旅にはその答えがあると思うんだ」
「超えなければいけないもの……悪くないな。
だがその腕ではいずれお前はモンスターに殺される。私にかなわ……」
話の途中で止めたイスルギ。ゼロはイスルギの胸をつかんでいた。
「なんて大きくて柔らかいんだ。これがおとなのおっぱ……」
「このドスケべ! 変態! こんなことで私をからかうな!」
イスルギは怒ってどこかに行ってしまった。
ヒカリは嫌な目で見ていた。
「ゼロ、サイテーだね。前から知ってたけど」
「うるせぇ!」
その次の日ゼロはイスルギから旅の許可を得る。
「私に触れることはできた。だが、この先お前は仲間がいないと間違いなく死ぬ。
生きて帰ってきたらまた続きをしよう」
こうしてゼロは魔王を倒す旅にでた。
そしてそれから現在にもどる。
イスルギは眠りから冷めた。
「あの夢を見てしまった。だけども今の私は……」
イスルギは目が見えないがゼロとの修行の感覚は今でも覚えていた。その感覚による思い出が夢となっていた。
そこにヒデヨシが現れた。
「イスルギ。お前は私が送り込んだスパイだ。
あやつらはもう仲間ではない。情報が欲しかったのだ。それとお前の体も……」
ヒデヨシはイスルギの肌に自分の顔を近づけた。
イスルギは抵抗しなかった。
「イスルギ、お前は目が見えるようになりたいはずだ。目が見えるようになりゼロがどんな姿かみたいはずだ。お前はあの勇者に恋をしている。
師匠であるお前が!」
イスルギは抵抗しようとしたが出来なかった。
「無駄じゃ。お前はウタコの魔の唄で力が出せなくなっている。ミラクルボイスを使えるのはお前の仲間だけじゃない。わしのウタコもじゃ」
イスルギが裏切ったのは元々ヒデヨシのスパイだったからだ。そしてその動機は目が見えるようになりゼロがどんな姿か見たかった。ただそれだけだった。しかしそんな彼女の心は揺らいでいた。
(私が愛するのはヒデヨシではない。お前だゼロ……)




