炎に消えたフェルア
ソフィア王国へ戻ったゼロ、アスナ、ソフィア。
3人は事情をみんなに伝える。エリーゼが言う。
「そんな状況になってるの?私ら」
「そうだ。俺たちは死んだことになっている。
このソフィア王国は一旦フェルアに吸収されるが、落ち着いたらまた戻る。豪邸や森林も一緒に」
するとソフィアは言う。
「ゼロ、思ったんだけど私たちはチャイナックに逃げてエリーたちはフェルアに残った方がいいんじゃないの? 私貴方に行ったはずよ。いずれは彼女たちを解放してと」
「ソフィ。エリー達も狙われる可能性がある。
俺らから離れたらなお危ない」
「でも、こんな状況で彼女たちを巻き込みたくないわ!私はもう誰かが死ぬのを見たくないわ!」
するとエリーゼは言う。
「ソフィ! そんなこと話してたの!
私たちはそんなの望んでないよ!
私たちが今までいたのは巻き込まれたからじゃない!あなたのためなのよ!」
「エリー……でも、私はあなたになんかあって欲しくないわ!」
「そんなの今更だよ!あなたのために死んでった者たちのことも考えてよ!
恐らくみんなあなたのために動くわ。
ゼロ、アスナ転送を!」
「わかったよエリーゼ。またウルスラを説得しないとな」
ソフィはエリーゼの覚悟をここで知る。おそらくほかの人たちも同じ気持ちだと思い止めなかった。
一方フェルアにて現状についてディアナは
国民や他の国々に対して演説を始めた。
アインやマイクはディアナのそばにいて周辺の警備をしていた。
「皆さん。モンスティオの女王リディアの反乱についてですがこれはリディア女王の誤解によるものです。犯人は何者かが勇者に変装しリディアに襲わせるようにしたのです。勇者に恋をしたリディアは
友を勇者に殺されだと思いそしてあのような行動に出たのです。勇者がリディアに肩を持ったのは前からの信頼だからこそ。それはこのフェルアを守りたいという考えと同じと思われます」
しかしそこで民のひとりが言う。
「違う! あいつは裏切り者だ! 魔物共と共にフェルアを滅ぼそうとしてるのだ!」
「そうよ! 女王であるあなたまで!」
民はディアナを批判する。しかしアインが庇う。
「みんな! 我々は騙されている!これは魔王になろうとしている悪魔によるものだ!」
するとそこにある男が現れる。
「おやおや、そんなことを言っていいのですか?」
そこに現れたのはハイテコンという国の首相エリックである。
「エリック!」
ディアナは思わず呼び捨てで言う。
「ほほう。私に呼び捨てとは相変わらずですな」
民たちがいる中2人は言い合う。
「何しに来たのかしら?エリック様」
「警告をしに来たのですよ。あなたは勇者を庇っている。彼はモンスティオの女王と通じてたもの。
彼を庇うのはこの世界に対しての反逆ですよ!」
「勇者は死んだわ。私の妹が殺し、そしてその妹も反逆の罪で自ら処刑を選んだわ。彼らはもういない。私には彼らを庇うことはできないわ!」
「ほんとですかね?」
ディアナはエリックの問いに動じなかった。
エリックは言う。
「あなたがたと勇者はかなりの仲と見受ける。
そのようなものが果たして……」
「女王を疑うお前も反逆者だぞ! エリック!」
アインは怒る。するとエリックはひとまず去ることにした。
「確かにそうだなウルマリアの王よ。いやウルマリアはもうなかったな。侵略されたからな」
そういいエリックは去っていった。民たちも引き返すことにした。
ディアナ達は民や他の国に対して勇者や妹が反逆者として捉えられてることに納得はいなかった。
たとえ表向きでは彼らが死んでたとしても。
筋肉美少年隊の一人、マイクはいう。
「女王、王。俺の予感じゃあんたらの命が危ない。ここにいない方がいい。」
「いいえ、ここは私の国。私はこの国を守るためここにいます。たとえ民が私を嫌いになっても」
するとアインは言う。
「ディアナ、民は全てが君を嫌いになったわけではない。これを見てくれ」
アインは大量の手紙を渡す。それは民がディアナを励ましてる内容だった。
そして王女ジュリアとして死んだジャンヌに対しても花を手向ける者たちもいた。
ディアナは疲れているのか眠りについた。
アインとマイクはガードのため寝ずの番をしていた。
マイクが言う。
「あのエリックという男はなんなのだ?」
「あの男はハイテコンという国の首相だ。
ハイテコンは徹底エリートの主義。エリート以外は人間ではないという考えを持つ国だ。
サイバニアほどでは無いが様々なことが進んでおり、国民からの支持も高い。だが進歩が早いため国だけでは資源がまかいきれなくなったようだ。
そのためフェルアの資源を狙いディアナに色々と言うがディアナは断り続けている。
ウルマリアの方から資源を提供することで話はついたが、あの男こんな状況で!」
「なるほどな」
マイクは納得する。そして言う。
「人間というのは恋に落ちると何をするか分からんもんだな。お前があの姫を庇うこととか」
「そうかい?君にも言えると思うがマイク君」
「俺が?」
「ああ、君はソフィアに恋してる。
君の主アスモデウスに逆らうほどに。
正直君のことは全て信頼してないがソフィアへの愛は本物と思ってるよ」
「俺はただアスモデウス様のためにあんたらを利用してるだけだ。ゼブブという悪魔はお前たちの仲間のアスタロトですら敵わないやつらしい。
そんな奴を倒すために聖女の力を今利用してるのさ」
「聖女か……ソフィアから話は聞いたがそんな力があるために犠牲になった少女たちが可哀想だ。
私はそんな悪魔達が憎い」
「アイン。アスモデウス様に立ち向かうのならその時は敵だ。だが今はお前のことを友として歓迎している。この騒動が終わったら貴様にプロテインたっぷりのカクテルで酒をかわそうではないか」
「いいじゃないか。そのプロテインとやらは知らんが俺もそうしたいと思ってたよ」
アインとマイクはお互いの立場を理解しつつ友情が芽生えていた。
そんな夜に悲劇は起きる。一部の国民が他の国民を殺害した騒動が起きる。
「モンスターを庇う国になんかいれるか!
俺たちの友達や家族を殺したあのモンスターに情を持つやつなどに!」
するとそこにエリックが現れる。
「よく、やりました。これであなたはハイテコンの民です。」
エリックはフェルアを逆賊の国と捉え、その民を殺したりすることを条件に自身の国への国民権をフェルアの民にあげていた。人を殺した国民が言う。
「なーに、こんな誰かも知らん人殺すの簡単ですよ」
こうしてフェルアで殺し合いが起き、殺したものはハイテコンの国民権を得た。またフェルアに対して忠義があった者も自らが殺されたくないという理由でハイテコンに寝返る人が多くなった。
一番平和で安定していたフェルアが一瞬にしてかつてのウルマリア以上に治安が悪くなったのである。
そんな中ディアナは侍女に起こされる。
「ディアナ様起きてください!」
「どうしたんですアニタ」
「外では殺し合いが始まってるみたいです。
早く逃げましょう」
ディアナはそれを聞いて信じられなかった。
城から見える外の風景は地獄絵図だった。
フェルアを見限りハイテコンの国民権が欲しいと
人殺しをする者たち。そしてフェルアを裏切るつもりがなくても殺されたくないからハイテコンに寝返るものたちがいた。
ディアナは必死に止めようと外に出ようとする。
すると侍女のアニタがナイフで向かってきた。
「アニタなにするの!」
「私も私の家族も死にたくない! 陛下あなたには悪いけど!」
ディアナを刺そうとするアニタの腕はその時マイクに掴まれた。
「それ以上やるとお前の腕は二度と使えなくなるぞ!」
「離してよ!」
「無理に動くな!筋肉フォールドでお前の動きは封じている。」
そこでアインも現れこう言う。
「アニタ! 君は騙されている。エリックはそんな簡単に国民権を渡すわけがない!
エリートしか人間と認めない彼らのとこにいて何がある?きっとこの地獄絵図をしたいがための罠だ!
目を覚ませ!」
アニタはこの言葉に対して、ディアナを殺す気がなくなった。マイクも腕を離した。
「ディアナ様申し訳ありません。私が間違っていました!」
するとアニタはナイフで自害しようとした。
それをディアナは止める。ディアナはナイフの刃を掴んでた。
「ディアナ様!」
ディアナの血まみれの手を見たアニタは思わずナイフを落とす。
アインは急いでハンカチで止血する。
「アニタあなたの命が無事なら手がダメになっても安いものよ。私は大事なサビエラやジャンヌを失った。でも新しい命のこの子それにかけがえのない妹がいる。私は生きる。だからあなたも」
「ディアナ様……やはりあのジュリア様はジャンヌ副隊長だったのですね。申し訳ありませんでした!私は!私は!」
後悔するアニタにマイクは言う。
「娘! 今はそんなことをしてる場合でない。
詫びるのであればお姫さんと一緒に逃げるのだ!」
「わかりました!」
するとアニタは何かを感じたかのように咄嗟にディアナの前に出る。
「ディアナ様! 危ない!」
アニタの胸に斧が刺さった。
「アニタ!」
アニタは既に死んでいた。アインとマイクは警戒する。
「誰だ!」
「フフフ!バカな子だ。大人しく女王を殺してれば良かったものを!」
そこには青髪ポニーテールのナイスバディな女性がいた。アマゾネスのような格好をした彼女は手斧をふたつ持っていた。
「アタシの名前はバーバラ。あんたらを殺しに来た。いや目当ては女王のあんただけどね!」
斧をブーメランのように投げディアナを襲おうとするバーバラ。アインは剣で防ぐ。
「逃げろ!マイク!ディアナ!」
「アインあなたを置いてけないわ!」
「ここに君がいてはかえって邪魔だ!
マイク、ディアナを頼んだぞ!」
「死ぬなよ。アイン! お前を倒すのはこの俺だからな!」
そういいディアナを姫抱っこしマイクは行く。
ディアナはアインが心配だった。しかし自らには民と自らの子を守らなきゃ行けない使命があった。
お腹の子を痛めないようにと配慮するマイクにも感謝していた。
「ありがとうマイク!」
「例には及ばない姫。その代わりソフィアは俺がいただく!」
「まぁ! 私は別にいいけどゼロが許さないわよ!」
「その時はゼロから奪うまでだ。それよりもあんたにはやるべきことがある。俺が今から筋肉モニターを使いあなたのお姿を国中に出す。それからはわかるな!」
「ええ!」
ディアナを安全な場所に移動させたマイク。
そして筋肉モニターという筋術を使いディアナのホログラム映像を国全体に流すことに成功する。
「皆さまこんばんは。私ですディアナです。
皆さんは今自分がどうしてるのかどの立ち位置なのか分からず混乱しているでしょう。
今、フェルアは反逆のレッテルを貼られています。そして皆さんは巻き込まれずと他の国に移住しようとしているでしょう。
でも、それでいいのですか?私は止めません。
だけれでも人を殺したら移住権をあげるというのはあってはならないことです!
あなた方は人を殺し欲しいものを得る。ほんとにそれでいいのでしょうか?
その先にあるものは果たして幸せでしょうか?
私はそうは思いません。私は多くの家族がいます。私の妹とその仲間たち、騎士隊のみんな。そして民であるあなた方なのです。
私はこれ以上家族を傷つけたくありません。」
この演説に動きが止まる民もいた。しかし止まらぬ者もいた。
「関係ない! 俺は死にたくない! 反逆者と思われたくない!」
そういい他の民を襲うものもいた。しかし
それを止めるものもいた。
「やめろ! 俺たちは俺たち自身で故郷をダメにしてるんだよ!
ジュリア様やその一行が悪いことなんてするわけない! なにかの誤解なんだ!」
止める者が現れる中完全に騒動はおさまってなかった。ディアナはある提案をする。
「私は自らこの体をみんなの所へと赴きます。
マイクさん、飛行手段を出すことはできますか?」
「筋肉絨毯というものでフライトは可能だ。
だが銃撃されたら危ないぞ!」
「構いません。私の命でたみが救われるなら」
「その命はあんただけの命じゃないんだ!
そのお腹の子はどうなる?」
「もちろんそれは考えてます。早くしなさい!マイク!」
マイクは渋々絨毯に変形しディアナを乗せて飛んだ。
(俺はアスモデウス様の部下なんだよな?)
不思議に思いながらマイクはディアナを乗せ国の上空にいる。
「皆さんこの状況をもっと見てください。
これが本来のフェルアでしょうか。
もしあなたがたがハイテコンに移住してもこうなったら同じことです。あなたたちは自らの故郷を破壊していいのでしょうか」
この演説に対してディアナに向けて弓矢や銃弾が放たれる。
しかし弾は不思議と当たらなかった。まるでそれらが避けてるかのように。
「私には妹のように特殊な力はありません。
ですがこのように国を思うあなたがたに私を撃つことはできない。もうやめなさい!」
その時ディアナの顔に銃弾がかすれる。
絨毯になったマイクは忠告する
「まずい! これ以上はダメだ! 姫!」
「いいえ! まだ!」
「ダメだといえばダメだ!それにもう必要はないようだ!」
民は武器を置き、やめない人間を殴ってでもとめた。そしてけが人を手当するなどした。
「王女の思いは届いた。民を信じるんだ」
そういいマイクは着地した。着地したところでディアナを思う民が来る。
「すまなかった。貴方様の覚悟を我々は!」
「いいのです、皆さん。大事なのはこれからです。みなさんで力を合わせ頑張りましょう!」
ディアナの言葉に皆は従った。しかしその願いは虚しかった。突然銃弾が民たちを殺した。
それはエリックによるものだった。
「邪魔を良くもしてくれたな女王!」
「あなたは何がしたいんです?」
「何がしたいか? 私はあなたの領土が欲しいだけですよ。ウルマリアとは同盟を組んでなぜ私の国はダメなんです?」
「それはあなたが力づくで何かを手に入れる人だってことが前からわかってたからよ!」
すると発砲した弾がディアナに当たりそうになる。
しかしマイクが防いだ。
「早く逃げろ! 姫!」
「マイク!」
「私には筋肉ガードがある! こんな弾など蚊の痒みに等しい」
ディアナはマイクを見捨てられない気でいたが自分とお腹の子供を守るため逃げた。
「逃がすとはお前らしくないなアスモデウスの使いよ」
「なぜアスモデウス様のことを! ぐはっ!」
血をはくマイク。エリックは言う。
「この弾そんじょそこらの弾ではなくてね。
お前たち人造人には効果があるのさ。あともしかしたら彼女たちの前で力を余計に使ったからでもあるか」
「黙れ!」
マイクがそういうが虚しく。マイクは撃たれ倒れ込む。
(アイン……お前との約束守れなさそうだ……)
マイクはそのまま死んでしまった。エリックは
ディアナを追う。
ディアナは逃げた。隠していたパッドのある別荘に。
しかし別荘は破壊されていた。
「残念だったわね」
そこにはアインと戦ってたバーバラがいた。
「あなたは! アインはどうしたの!」
「とっくに死んだよ。油断してな!」
ディアナに向かって斧を投げるバーバラ
しかし斧はディアナを避けバーバラに返ってくる。
バーバラは戻ってくる方向を計算できず腕を負傷する。
「何!どういうことだ!」
「あなたの攻撃など!」
ディアナは魔法を使いバーバラを殺した。
ディアナは瓦礫になった別荘からチャイナックへ通じるパッドを探そうとする。その時である。
「うっ!」
「残念だったなお姫さん! あんたが予想以上に強いとは思わなかったが」
「な……なんで?」
「あんたの旦那もそんな感じで死んだな。
大変だったよ強くてね。でも死んだ。私は死なない不死身のバーバリアンだからねぇ」
「な!」
そこで銃弾がディアナを貫く。
「これはハイテコンの首相様」
「なかなかですよ、バーバラ。終わりだディアナ!」
ディアナは瀕死のさなかこう思う。
(この子だけは……マルチナだけは……)
ディアナは自分の子供をマルチナと名付けていた。しかしそれからしばらくしてディアナは死んでしまった。
「哀れな女よ。降伏してれば良かったものを
街をやけ!フェルアの首都は炎に包まれる
そして残りの領土は我々がいただく。
ウルマリアやほかの同盟国もな」
こうしてフェルアの王都に火は放たれた。
ハイテコンの首相エリックはフェルアの領土及びその同盟国であるウルマリア、ゴルディア、コーヤーを掌握した。ギラネオン、サイバニア、ジェノンモンスティオに関しても彼の領土となった。
そんな最中フェルアから寝返った民が言う。
「あのう、火を放ったから上等国民にしてくれますよね?」
するとエリックは寝返った国民全てを撃ち殺した。
「あなたがたの行為はエリートに及ばず。
エリートではないあなたがたは死あるのみだ」
こうしてフェルアは炎に消えた。




