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そうか、金龍神さえ、なぜ、あの軍歌にバフとデバフの力が

(そうか、金龍神さえ、なぜ、あの軍歌にバフとデバフの力があるのかは分からないのか)


 そんなことを考えている間に空間が歪み、元の場所、逆さ岩がひっくり返っているのが目に入った。


 俺の両側の開戸兄と吹戸はもちろん、周りを見回すと瀬戸も開戸妹も根戸も戻ってきている。


「後二か所、次はわいの故郷やな」

「その前に、形代先生の治療やな」


 奈良出身の吹戸と兵庫出身の根戸が次のチャクラの場所を口にする。確かに心はやるところだけど……。


「俺の体のことを気にかけてくれるんだ?」


「そら、そうやろ、うちら仲間やん!!(ゼミの金で帰省なんて最高やん)」

「分かった根戸、速攻で怪我を治すぞ!! 早く平凡な日々に戻そうな」


 俺には副音声は聞こえない。根戸に言葉に感動して、思わず涙ぐんでしまう。


 これから起こることは何一つ分からない。ただ俺たちが折れれば、全人類の絶滅が完結する。ここから見える瓦礫の山に変わった仙台の景色と亡くなった人の思いを胸に刻んで、俺たちは函館に帰っていった。


 ◇ ◇ ◇


 仙台から帰ってきて一週間が経った。


 いまだに仙台と盛岡では、壊滅した街の復旧工事が続いていて、自動車道だけじゃなく新幹線も止まっている状態だ。


 死者五万人、ケガ人は数えきれず、そして被害損額は一兆円以上と報道されている。俺たちの奈良や兵庫に行く予定が立たないのはそれだけじゃなく、俺の足にも原因があった。結論から言うと、俺の足首は骨折していた。そういうわけで大学病院に入院しているのだ。


 もっとも、医者に言わせると奇跡らしい。蹴りを止められ捻られた右足は複雑骨折、生涯松葉杖の世話になると言われた。だけど、数日前に撮ったレントゲンでは、骨がきれいにひっついていたので、学会事案だと大騒ぎされた。


 これは金龍神の神通力のおかげだな。


 そういうわけで俺の怪我は、後一週間ほどで退院と、順調に治っているのだが……。

 俺たちの足が奈良や兵庫からさらに遠のく事件が、世界中で起こっていた。


 世界各地に、直径1メートル以上の巨大な竹が生えてきたのだ。


 日ノ本では、首都東京を始め、大阪、名古屋など十数の都市で竹節から各属性を持ったドラゴンが飛び出してきたのだ。


 一つの巨大な竹から一〇に近いドラゴンが飛び出し、都市に向かってブレスを吐く。暴力的な炎や水、風そして岩が降り注ぎ、高層ビルは半ばから折れ、あちこちから火の手が上がり、街は瓦礫の山に変わり果てている。その瓦礫の間を逃げまどう人たち。


 ドラゴンの襲来は天災と同義語だ。ただ、天災は人を喰らわない。ドラゴンは瓦礫から何とか抜け出した人々に襲い掛かり、生きたまま丸呑みする。悲鳴を上げた女性に、空からドラゴンが襲い掛かり、女性を咥えて空へ飛び上がる。


 そんな残酷な情景があちらこちらで見られるのだ。


 ドラゴンは人を喰らえば喰らうほど、その体格は巨大で強靭になっていく。最初は体長五メートルほどだったドラゴンも数百人も貪り食えば、その体長は一五メートルを超える。

 そんなドラゴンの餌場と化した世界中の大都市、各国の軍隊がドラゴンを迎撃すべく軍事基地から緊急発進していった。


 日ノ本では自衛隊が戦闘機やヘリコブターが出撃した。空対空ミサイルがドラゴンに向かって発射され、食事に夢中になっているドラゴンたちに命中する。ウロコや肉片を爆散させながらも、空中に飛び上がり、ホバリングして迎撃態勢をとった。


 縦に細められた鋭い目がギョロギョロと動き、己を傷つけた無機質な機体を補足する。


 ギャーーーーーーーーッ!!!!!!!


 鋭い鳴き声とともに、放たれたブレスはそれから逃れようとする戦闘機やヘリコブターを追尾したのだ。鬼法の真似事もできる完璧超生物だ。そんなブレスを機体の限界を超えた機動で躱した機体もあったが、半数以上は直撃を喰らい、空中分解したり、片翼を失いダッチロールしながら墜落していく。


 そんな中、各駐屯地から出撃した地対空誘導弾や銃機関銃を搭載した高機動車が現場に急行してきた。


 ドラゴンに向かって弾丸を浴びせる。ドラゴンは獲物を見つけたように、そんな高機動車に向かって、旋回しながらブレスを吐き散らしてくるのだ。


 これは、ドラゴンと自衛隊による集団戦を切り取った一場面。お互いの命を刈り取る全身全霊を掛けた戦いであった。何とかドラゴンの生命を削り取り、粒子に変えた時には、ミサイルは打ち尽くし、数百億円の装備を失い、満身創痍の自衛隊が残っただけだった。


 そんな状態が昼夜を問わず続いて、自衛隊は消耗戦を強いられていた。しかも、ドラゴンは神出鬼没なうえ、ある程度腹が満たされれば竹のゲートを使い元の場所に戻っていく。

 この状況は日ノ本特有で、病室のテレビで放映されている他国の状況とは大きく違っている。

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