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開戸の軍歌も『刃(やいば)の下に死ぬべきぞ

 開戸の軍歌も『やいばの下に死ぬべきぞ』と後押しをしてくれる。


 アヌンナキの顔が歪む。


「うぬら!!!! ただでは済まさん!! 我の同胞が怒り狂うぞ!! この星は塵芥ちりあくたじゃ!!」


 神らしくない棄てゼリフだ。最初から選択肢なんてないだろ。殺るか殺られるか!! だとしたら「退くことを我知らず!!」だ。


強化した勢いのまま、刀を押し込み振り下ろす。アヌンナキの巨体は、あっさりと真っ二つになった。巨体が仰向けにひっくり返り、俺も地面に投げ出された。


「カッハッ!!」


 せき込む俺に向かってゼミのみんなが掛けてくる。なんとか、誇らしい俺のゼミ生たちを護れたか……。「護りたい」この思いを原動力に力を引き出すのが軍歌か……。


「先生、あれがアヌンナキ?! ドラゴンより全然強いやん!!」


「ああっ、ヤバかった。龍爪が日本刀に変わったのは、お前たちの持つ加護のおかげだ。俺たちももっと力を付けないとな」


「それにしても、益荒男ますらおなんて大和言葉よく知ってましたね」


「まあ、某大河ドラマを見てたおかげだ。これでも、考古学者だからな」


 根戸や瀬戸の問いに答えながら、起き上がろうとすると、足首に激痛が走り、足元がおぼつない。アヌンナキのバカ力で足首を捻られたから……。


 ふらつく俺を支えてくれたのは開戸兄だった。


「開戸か、お前の軍歌ってすげえよな。力強い歌声に助けられたよ」

「そんなことより、第3チャクラを解放……」


 俺の言葉に、ぶっきらぼうに答えて、中央の祭壇に俺を導いてくれる。歌とは違って相変わらずコミ症だ。


 俺の持っていた日本刀は『抜刀隊』を歌い終わった途端に元のバールに戻っていた。


 すでに祭壇の前には吹戸がスタンバっている。念のため、アヌンナキが出できた竹節を見ると、完全に弾けて原型をとどめていない。


「とりあえず、アヌンナキは退けたか?」

「じゃあ、先生、それを……」


 吹戸に言われて、バールを渡す。龍脈の流れとそれを妨げるクサビの位置が正確に見えるのは吹戸だけだ。俺がバールを渡すと、大祓いの祝詞のりとを上げ、御幣のように左右に振ると、バールを振りかぶり祭壇に向かって振り落とした。


 地球の中心に向かって、バールが伸びていく幻影を見せられる。そして、巨大なクサビの根元にがっちり突き刺さった。


 吹戸が振り返り、俺を開戸の反対側から支えてくれた。分かっている。この足だと今までのように力づくじゃなく、金梃かなてこなんだから、てこの原理を使って引っこ抜く。


 バールの柄の部分を両手でしっかり掴むと、両側の二人の顔を見る。二人は俺に向かって頷いたのだ。


「呼吸を合わせろよ!! せぇーーの!!!!」


 三人で、体重を乗せて一気に沈む。今までの背負い投げと違って足首に負荷があまり掛からない。でも、バールはピクリとも動かない。


「ぬおおおおおっ!!!!!!」


 身体強化を全開だ。開戸も吹戸も軍歌の影響だけでなく手の甲の痣がさらに鮮やかに浮かび上がり、身体強化されている。俺の体を両側から綱引きの要領で腰を鎮める。足首が悲鳴を上げたところで、抵抗がなくなった。3人が後方に飛び尻もちをついたのだ。


 ぶっこ抜いたはずの楔はどこにもない。しかし、感じる楔が刺さっていた場所には巨大な穴が開き、その穴の中に禍々しいもやのようなものが吸い込まれていく。さらに、二重らせんとなって、神々しい光が収束し、金龍となって、目の前に現れた。


「皆のもの、大儀であった。我も力を戻しつつある」


「それは僥倖ぎょうこう。ところで、今日見た巨人がアヌンナキで間違いないのか?」


「ああっ、そうだ。奴らも竹のゲートを使って地球にやってくるなど、相当焦っておるぞ」


「普通ならゲートを移動手段にはしない?」


「そうじゃな。ゲートはそれなりに危険じゃ。次元との繋がりが弱く途中で途切れる可能性もある。今までは、あやつらのペットのトカゲ野郎ぐらいじゃったな。何匹も帰ってこないんで焦って自分たちで様子を見にきたんであろう」


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