穢れを打ち祓い給え!!!!
「穢れを打ち祓い給え!!!!」
吹戸がバールを楔に向かって振り落とした。バールの先端は地下深くにグングン伸びて行き、地底を流れるエネルギーの本流がせき止められ濁流となって逆流していくクサビの根本に、バールの先端が突き刺さった。
まったく、この空間は想像を超える! バーチャル空間のように俺たちの足元は透明になりマグマの本流まで、全てが見通せるという高次元の存在になったようだ。
俺でさえ認識できるとは……、この痣の力か?!
「後は、任せたで!!」
吹戸がやり切った感を出して、俺の方に戻ってくると俺の肩を叩いた。
何を任されたのやら……、バールができることと言えば、引っこ抜くことだけ。
「もののふ!! ぶっこ抜き!!!!!!」
身体強化をして、バールを掴み、背負い投げの要領で肩を支点に右足で反動をつけて腰をはね上げる。
「ぐああああああああーーーっ!!!!」
まるで、巨木を背負い投げしたようだ。ただ……、ぶっこ抜いたはずの楔はどこにもない。そして、楔が刺さっていた場所には、それは鳴戸の渦ぐらいの巨大な穴が開き、その穴の中に、禍々しい靄のようなものが吸い込まれ、逆に金色の荘厳な光が吐き出される。二重らせんを見るようだ。
そして、渦の中心から現れたのは、荘厳なオーラを纏い金色に輝く巨大な龍だ。体長は100メートルはありそうだ?その圧倒する畏れ多い姿はまさに金龍神。
「スメラギの子、それから大祓の大神の巫女たちよ。よくぞここまで大儀であった。わしの爪も役に立っているようで何よりだ」
頭に荘厳な声が響く。目の前の龍が喋った?!
「汝らは四〇〇〇年前の因果の輪廻を強いられた者たちである。この地は再び大厄災に見舞われんとしておる。今回は前回とは比べ物にならん厄災となろう。
トカゲもどきの魔物だけでなく、異界の者どももこの地にやってくるじゃろうしな。
異界の者どもに積年の恨みを晴らすためには、我を復活させるしかないぞ!」
(えっと……、あなた様は?)
俺の頭の中を読まれたように目の前の金龍は答えた。
「わしは創造神じゃ。天地開闢の後、わしの後に生まれた八百万の神々はわしを畏れ、そいつらの非力さに絶望して、わしはこの地を安定させるための核として、自らを穢れ神として大祓大神に封印させたのじゃ。
この日ノ本の大地に、わしを封印できる唯一の物「竹」を使ってな。
「竹」の下に「龍」で「籠」という字になるじゃろ。誤算は竹は異界との次元ゲートの役割も果たしことじゃな。
封じられた場所には結界用に四方に竹が植えられておってんじゃが、その竹を通じて異界の者が世界中にドラゴンを放ったため、縄文の空は空飛ぶトカゲに席巻された。
我が信者であった縄文人はこのドラゴンを厄災と怖れ、それまで信仰していた龍神とドラゴンがごちゃ混ぜになって、龍神信仰が失われ、わしも力が衰えたんじゃ」
その後も金龍神の独白は続いた。
大祓の大神は当初、金龍神を封印するために、龍体(日ノ本列島)のエネルギーが出入りする七つチャクラのうち、肉体的な意味を持つ五つのチャクラに竹のクサビを打ち込まれて封印されたが、霊的な第6チャクラと第7チャクラをわざと封印しなかったため大厄災を逃れ、辛うじて陰と陽の均衡を保ってきたらしい。
龍神にもチャクラという概念があったとは……。
チャクラとは、サンスクリット語で円や円盤それに渦を意味したはずだ。そして、その場所は生体エネルギーの出入する場所だったはずだ。確か第一チャクラは会陰部、第二チャクラは丹田、第三チャクラは鳩尾、第四チャクラは胸、第五チャクラは喉で第一チャクラから第五チャクラまでは肉体、そして第六チャクラは眉間で精神、第七チャクラは頭の頂点で霊性や宇宙意識を司っている。
なるほど、恵山遺跡は第五環状集落と表現されていた。環状とは円、すなわちチャクラを意味しているんだ。
そして、南下した先の第四チャクラは盛岡、第三チャクラが仙台、第二チャクラが奈良、第一チャクラが六甲となるらしい。確かに日ノ本列島を龍体とみなした場合、大体、その辺の部位になり、形代ゼミ生のゆかりの地ということだ。
ギルガメッシュたちは残念ながら、金龍神=古代蛟龍という発想にはたどり着かなかった。しかし、金龍神の封印場所には文化が花開いており、人々の交流地点となっていた。ギルガメシュたちはそういった場所を巡り、大祓の大神たちと縁を結び、シュメール文明を伝えながら、日ノ本を北から南に移動していった。
それで縄文時代が最も花開いた最盛期を迎えたが、歴代の王が短命の呪いに罹っていて、加えて列島を移住していたこともあって、文明は発展しなかった。




