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04、何よりもメシである

 いきなり料金滞納で首が回らず困ってしまう事態になるかと思いきや、予想外にも資金を獲得できた。

 いやあ、やはり、持つべきものは親である。

 銀行に通帳をおそるおそる記帳しに行き、残高を確認してみたら何と五万円くらい増えてた。母親が振込んでくれたらしい。甘やかしてくれる母ちゃん大好き。

 こういうのが父親に知れたら、母が「良近を甘やかすな」と後で怒られるのだろうけど、ばれないように頑張って甘やかしてくれって感じだぜ。

 そうしてウキウキした足取りで家に帰ったら、なぜか郵便受けにパンクせんばかりに便りが溜まっているではないか。

「おっと、これは、どうしたことだ」

 突然大人気になってしまった俺の郵便受け、ごっそりと両手に抱えねばならないほどの郵便物をもって部屋の鍵を開けて中に入る。

 畳の上に胡坐をかいて座り、一通りチェックしてみたところ、どうやら全部請求書のようだ。

「ど、どうしたことだ……これは……」

 電気料金、インターネット使用料、国民年金、ガス代。なんだかそれぞれ二通とか三通ずつあるのは、どうしてだい。どうしてなんだい、おい。

 しかし、どうしたどうしたと郵便物たちに話しかけてみたところで、そいつらは答えちゃくれなかった。

 せっかくお金を振込んでもらっても、これらの支払いだけで全部とんでしまって、食うに困ってしまうじゃないか。われわれ生物は、メシを食わねば死んでしまう不完全な生き物だ。優先すべきは、何よりもメシ、メシ、メシである。空っぽの冷蔵庫を何とかすることと、滞納した料金をどうにかすることを天秤にかけて、俺はまず冷蔵庫の空腹を満たしてやることにして、近所のスーパーへと向かった。

 そりゃ罪悪感は無くは無い。しかしながら、腹が減っては戦ができぬと言うではないか。かくなる上は、久々のから揚げ弁当で体力を補充し、冷蔵庫を充実させてから金を稼ぎに出るべきだ。

 というわけで、弁当や保存のきくカロリー高くて安い棒状の栄養補助食品やらを買い込んで部屋に戻り、弁当を平らげた後、スーパー入り口付近のラックに置いてあったアルバイト情報誌を広げてみる。

「なんか、楽で給料高いバイト無いかなぁ」

 どれもきつそうだった。その上、給料が安かった。不景気だから仕方ないかもしれない。

 料金滞納という状況に置かれないためには、やはり働くしかないと思うのだが、そもそも二十三歳無職を雇ってくれる場所があるだろうか。なんだか不安になってきたぞ。というか、絶対に無理な気がしてきたぞ。

 無理だ。できない。認められない気がする。ダメだ。

 かといって、つらかったり汚かったりする仕事は嫌だ。

 楽して稼ぎたい。

 どうすりゃいいんだか。

 俺はアルバイト情報誌を閉じた。



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