プロローグ5 研究者と、半獣人の名前は
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不審者の一人は苦しむ研究者に向けて、力を込めた右の拳をまったく容赦なく振り抜いてくる。
そうして拳が直撃する瞬間に研究者を掴んでいた手を離した為、不審者の右拳を受けた研究者は派手に吹き飛んでいった。
「……おらぁっ!! ぶっ飛べ、クソじじい!!」
「……ううっ!?」
「へっへっへ……どうだ、じじい? 俺様のパンチはよぉ……?」
「ぬ、ぬぅ……」
自身の拳を受けて吹き飛び、苦しそうにしている研究者に、不審者の一人がニヤニヤしながら近付いてくる。
そんな不審者の一人に目を向けた研究者を、不審者の一人は更に殴ろうとしていった。
「くくく……まだまだ俺様のストレスはあるからよぉ……まだまだ殴らせてもらうぜぇ!」
「ぬぅ……うぐっ!?」
「へへへっ!」
「うぐっ!? ぐうっ!?」
苦しんでいる研究者に、次々と拳を打ち込んでいく不審者の一人。
そうして殴られ続ける研究者の目に、ある光景が入ってきた。
「おらおらぁっ! どうだぁ、じじい!?」
「う、うぅ……う、うん……? あ、あれは……」
「……あん? なんだぁ……?」
「……あ、あの子は……いかん! 来ちゃいかん! すぐに離れ……ぐっ!?」
「黙ってろ、じじい。くくくっ、じじいの次はお前か、ガキ? お前も俺様のストレス発散の相手になってくれるんだな?」
「……」
研究者が目にした光景は、自身が助けた半獣人の子供が、自身達のいる場所に向けて歩いてきている姿だった。
それに気付いた研究者が、子供もこの不審者に殴らないように逃げろと言おうとしたのだが、その注意をする前に不審者に殴られ、注意を止められてしまう。
そうして研究者を黙らせた不審者は、研究者にした時と同じようにニヤニヤしながら半獣人の子供に近付いていった。
「くっくっく……それじゃあいくぜ、ガキ? 歯は食いしばっておけよ?」
「……」
「……あ? なんだぁ?」
半獣人の子供に近付いた不審者は右の拳に力を込めていく。
そうして半獣人の子供を殴ろうとしたのだが、その前に半獣人の子供がなにかをぶつぶつと呟いている事に気付き、殴る事を一旦取り止めにする。
すると次の瞬間、半獣人を子供が不審者に左手を伸ばし、短く声を発していった。
「……狐火!」
「へっ? ……うっ!? うおわぁっ!? 火っ、火が、火がぁっ!?」
半獣人の子供が狐火と言った次の瞬間、不審者の全身が炎に包まれる。
これに驚いた不審者が、消火の為に湖へ飛び込んでいく。
その姿を見た半獣人の子供が、今度は研究者に近付いてくると、研究者の状態を気にしながら自身の名前を話していった。
「……おじいさん、大丈夫ですか?」
「……あ? あ、ああ、まあ……」
「それならよかった……あ、それと、私の名前は、瑠璃と言います」
「……そ、そうか……わ、わしは、堀田だ……」
半獣人の子供、瑠璃から名前を教えてもらった研究者は、瑠璃に堀田だと名乗っていく。
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