2022年5月28日 20時00分
今さっき起きた事を部屋に帰って整理する。
会社と政府は雷獣を殲滅する計画を立てていて、それに反対する「雷愛会」という組織が、雷獣殲滅計画絡みの要人を暗殺している。
工藤常務の護衛はざっと見て20人。尋常じゃない護衛の量だった。相当な警戒体制を敷いているのだろう。
背後でバタンという音がして、人が入ってくる。
「うぇーい。お待たせ優人!」
頬を赤らめた美由が部屋に戻ってくる。
手には地ビールの缶を持ち、相当出来上がってるようだ。
「ええー!これからご飯なのに!相当出来上がってるじゃん。」
「佳奈がねぇ。工藤常務から差し入れでもらったんだってぇ。仕事で呑めないからって、貰ったんだぁ。」
美由はベロベロだった。
「優人ぉ!チュッチュしようぜぇ。佳奈が言ってたよ。旅館で男女2人、する事はひとつだって!あと25歳で未経験はヤバいってマウントとられてぇ。」
美由って酔っ払うとこうなるんだ。
少し引きながら、どうやってこの場を収めようと考える。
もうすぐ部屋に料理が来しまう。女将にこの姿を見られたら大変だ。
突然電気がフワッと消えて暗くなる。
「えっ?なに?停電?」
「事故...?」
突然の視界ゼロ。美由と俺は少しの間固まっていた。
「とりあえず懐中電灯を。備え付けのがあったはずだ。」
「さすが電気屋さん。頼りになるね。」
手探りで部屋の中を這い、鏡台の横にある筒形の物体に手を触れる。
「あった!」
スイッチを入れると、薄明かりながら部屋の中が照らし出される。
どうやら電気が消えているのは、この部屋だけじゃないらしい。外の街灯も遠くに見える街の明かりも消えている。広域停電だ。外も騒がしい。
「大丈夫。すぐに復旧するさ。」
西日本電力の配電線は一定時間後に再送電がかかることは俺が知っていた。
予想通り街には明かりが灯もったが、軽井沢荘はいつまで経っても明かりがつくことはなかった。
「おかしいな。ここのSOGで切れたのかな。」
「SOG?なにそれ?」
「まあ、簡単に言うとこの旅館に電気を送っている大きなスイッチだな。ショートとか起こすと切れるようになってるんだ。」
こんなところで、会社の知識が役に立つなんて思ってなかった。
「優人詳しいなら見に行ってあげたほうが良いんじゃない?」
「そうだね。ちょっと外に出てみようか。」
俺と美由は着替えてから恐る恐る扉を開けて、外に出た。
≫エスオージー【SOG】
SOGとは「Storage Over Current Ground」の略称で、高圧の電気契約に施設される保護継電器装置である。
高圧契約は6600V受電、低圧契約は100/200V受電。




