2022年5月28日 7時40分
天須羅駅は歴史を感じる木造駅舎で、平成26年に建て替え工事が行われたこともあり、比較的綺麗な建物だ。
「おまたせ!優人!」
美由がこちらに手を振りながら歩いてくる。
灰色のシャツに白と黒のスカートでなかなか落ち着いたコーデだ。背中には大きなリュックを背負っている。
「おー美由、早かったね。」
「警備部は時間厳守だからね。20分前行動が当たり前なのだよ。」
思い返せば美由と現場に出るときは、いつも玄関前で出迎えてくれたのを思い出す。
「玄関から護衛してくれるもんね。危ない仕事の時はかなり心強いよ。」
「私なんてまだまだだよ。早く主任とか係長になって線入りの制服着たいなあ!」
西日本電力の制服は青とグレーを基調とした落ち着いたデザインで、一般職員は腕に1本線、班長・主任は2本線、係長は3本線と青線が入っており職級が一目で分かるようになっている。
また所属部門のデザインを模したワッペンが肩に付いているため、どこの部門所属の社員であるのかも分かるようになっている。
「警備2係の白瀬係長はかっこよいよね!美由の命の恩人なんだっけ?」
「そうなの!雷獣災害の時に瓦礫から救い出してくれて!まさか直属の部下になれるなんて思ってなかったよ!」
「再会したときは、私のこと覚えててくれて!あなたと仕事が出来るなんてうれしいわって!キャー!」
美由が興奮してまくし立てる。よっぽど係長のことを慕っているらしい。
「お!そろそろ時間だね。こだま701号東京行き。8時10分発。」
「おっけー!旅行なんて久しぶりだから超楽しみ!」
改札を抜けてホームに出ると、丁度新幹線が入ってきた。
「7号車はここだね。」
「了解です隊長殿!」
乗り込んで席に着くと発車ベルが鳴り、列車は動き出す。
「温泉...楽しみだね。」
美由が大きな目でこちらを見ながら言う。
「今日くらいはいろんなこと忘れて、頭空っぽにして楽しもうね!」
美由は大きくうなずく。
永遠に美由と旅行していたい。俺はそんな思いだった。




