↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神葬戦争  作者: 水煮込み
10/15

三軍合同演習、開催決定!

 

 午前六時四十分。

 ジャポネ無宗教軍、第七駐屯基地。


「……おい、ラフ」

「ラフバだ」

「起きろ」

「起きてる」

「じゃあ何で目ぇ閉じてんだよ」

「寝てるからだ」

「起きてねぇじゃん!!」


 朝の宿舎に、黒瀬迅の声が響いた。

 二段ベッドの下段。

 ラフバ・エラーは毛布にくるまり、微動だにしない。

 迅はその毛布を掴んだ。


「おら、起きろ!」

「うるせぇ!」

「朝練だぞ!」

「あと五分!」

「お前、昨日『明日は俺が先に起きる』って言ってたじゃん!」

「明日の俺に期待しすぎた!」

「最低だな、お前!」


 二人が騒いでいると、扉が開いた。

「……おはようございます」


 アギ・ハワーだった。

 既に軍服を着込み、髪も整えている。

 その手には、一枚の紙。


「二人とも、起きてください」


 迅は振り返った。

「お、アギ!」


 ラフバは毛布から顔を出した。

「何だよ、朝っぱらから」


 アギは紙を掲げた。

「正式な通達が来ました」

「……通達?」

「はい」


 アギは一呼吸置いた。


 そして。


「三軍合同演習の開催が、正式に決定しました」


 沈黙。

 一秒。二秒。


「…………」


 迅とラフバは顔を見合わせた。


 そして。


「「よっしゃぁぁぁぁ!!」」


 ラフバがベッドから飛び起きた。

 勢い余って上段に頭をぶつける。


 ゴンッ!


「いってぇ!!」


 迅は腹を抱えて笑った。

「はははっ! 何やってんだよ!」

「うるせぇ!!」


 アギはため息をついた。

「……朝から元気ですね」


 迅は笑った。

「で、いつ!?」

「二週間後です」

「どこ!?」

「ジャポネです」


 ラフバが首を傾げた。

「……ジャポネ?」

「はい」


 迅も不思議そうな顔をした。

「……何で?」


 アギは紙を見た。

「それについては、本日の全体説明で発表されるそうです」


 ラフバは拳を握った。

「まあ、どこでもいい!」


 迅も笑った。

「強ぇ奴と戦えりゃな!」


 アギは二人を見た。


 そして。


「……先に言っておきますが」

「ん?」

「何だ?」

「合同演習は、喧嘩大会ではありません」


 迅とラフバは黙った。

「…………」

「…………」


 そして。

「……え?」

「……違うのか?」


 アギは頭を抱えた。

「……そこから説明しないといけないんですね」



 午前九時。

 第七駐屯基地、中央講堂。


 数百人の兵士が整列していた。

 前方には、榊原宗一郎大佐。

 その背後には巨大な立体地図が投影されている。


「諸君」


 榊原の声が響いた。


「本日、三軍合同演習の正式開催が決定した」


 講堂がざわついた。

「参加するのは、キリスト教軍、仏教軍、そして我々無宗教軍だ」


 迅は小声で呟いた。

「……おお」


 ラフバも笑った。

「……ついに来たな」


 アギが二人を睨んだ。

「静かに」

「「はい」」


 榊原は説明を続けた。

「開催地は、ジャポネ東部に位置する旧戦場地帯。正式名称は、東部広域共同訓練区域だ」


 立体地図が切り替わった。

 巨大な大陸。

 海峡。

 複雑に入り組んだ国境線。


 そして、ジャポネ。


 榊原は地図の一点を指差した。

「なぜジャポネなのか。理由は三つある」


 一つ目。

「まず、地理的条件だ」


 地図に、三本の光の線が現れた。

 キリスト教軍の東方補給港。

 仏教軍の北方輸送拠点。

 ジャポネ無宗教軍の軍用港。


 それらが、ジャポネ東部を中心に結ばれている。

「この地域は三軍の輸送網が比較的近接している。大規模部隊を移動させる際、他の候補地より補給経路を確保しやすい」


 迅は地図を見つめた。

「……世界って、広ぇな」


 アギは小さく頷いた。

「ええ。今回参加するのは、各軍の一部だけですから」


 二つ目。

「政治的条件だ」


 榊原は続けた。

「キリスト教軍と仏教軍は、アリス教軍を警戒する立場では一致している。しかし、互いの軍事施設に大部隊を招くことには慎重だ」


 講堂が静かになった。

「そこで、両軍との交流実績がある我々の訓練区域を使用する」


 ラフバが小声で言った。

「……つまり、うちが真ん中ってことか」


 アギは頷いた。

「大まかには、そうですね」

「ただし」


 榊原の声が強くなった。

「開催地だからといって、我々が演習全体を指揮するわけではない。三軍が共同で運営する」


 三つ目。

「そして、訓練環境だ」


 立体地図が拡大される。

 廃墟となった都市。

 地下交通網。

 崩壊した高架道路。

 広大な平原。


「この区域は、第一次世界大戦で激戦地となった場所だ。戦後、危険区域の一部を整備し、軍事演習に使用している」


 榊原は続けた。


「都市戦、救援活動、輸送、部隊間通信。複数の訓練を同時に実施できる」


 迅は少しだけ目を細めた。

「……へぇ」


 榊原は立体地図を閉じた。

「だが、問題もある」


 その声に、兵士たちが顔を上げた。

「我々には金がない」


 沈黙。

「…………」


 迅が呟いた。

「……知ってる」


 ラフバも頷いた。

「……めちゃくちゃ知ってる」


 アギが二人の脇腹を小突いた。


 榊原は構わず続けた。

「訓練設備の修復費用、宿営施設の増設、輸送車両の整備。全てを我々だけで賄うことは不可能だ」


 講堂がざわついた。

「そのため、キリスト教軍が大型輸送設備を、仏教軍が医療・通信設備を中心に提供することとなった」


 迅は首を傾げた。

「……つまり?」


 アギが小声で答えた。

「三軍で費用と設備を分担するんです」

「……なるほど」


 ラフバが笑った。

「いいじゃねぇか!」


 榊原は兵士たちを見渡した。

「諸君。この演習は、ただの訓練ではない」


 一呼吸。


「互いに異なる信仰と思想を持つ者たちが、協力できるかを試す場でもある」


 迅は静かに聞いていた。

「アリス教軍との緊張は、今も続いている」


 榊原は続けた。

「もし、いずれ三軍が共に戦わねばならない日が来たとき」


 立体地図に、三つの軍の紋章が並んだ。

「その場で初めて顔を合わせるようでは、遅い」


 講堂が静まり返った。


 榊原は最後に言った。

「だからこそ、今のうちに互いを知る」


 そして。


「……以上だ」

 説明が終わった。


 迅は腕を組んだ。

「……なるほどね」


 ラフバも頷いた。

「……要するに」


 アギが振り返る。

「……はい?」


 ラフバは笑った。

「強ぇ奴らと仲良くなって、一緒に強くなるってことだろ!」


 アギは少し黙った。


 そして。


「……まあ、間違ってはいませんね」


 迅が笑った。

「じゃあ、勝負しねぇとな!」

「……そこは違います!!」



 同日。

 キリスト教軍、東方補給港。

 巨大な港湾都市、セント・ヴェイル。

 白い石造りの大聖堂と、空を貫く超高層建築が並び立つ都市だった。


 海上には、数百隻の輸送船。

 上空には、大型軍用輸送機が行き交っている。

 街の中心には、巨大な鐘楼。

 正午になると、その鐘の音が都市全体に響き渡る。


 そして。


 その鐘の音に合わせるように、軍の輸送部隊が動き始めていた。

「……おい、そっちの荷物は違う!」

「医療用品は別便だ!」

「演習用の機材を優先しろ!」


 港では、兵士たちが忙しく働いていた。


 その一角。


 一人の青年が、輸送船を見上げていた。

 金髪。

 青い瞳。

 白い軍服。


 キリスト教軍所属の若い兵士、エリオット・グレイ。


「……ジャポネ、か」

 彼は小さく呟いた。


 隣の兵士が声をかけた。

「楽しみか?」


 エリオットは頷いた。

「……少しな」

「何が?」

「他の軍の兵士を見るのは、初めてだから」


 隣の兵士は笑った。

「無宗教軍なんて、装備も古いらしいぞ」


 エリオットは静かに答えた。

「……装備だけで、強さは決まらないだろ」


 兵士は肩をすくめた。

「まあな」


 エリオットは端末を開いた。

 そこには、ある戦闘記録が映し出されている。

 黒髪の少年。

 赤髪の青年。

 刀を持つ少女。


「……第十三混成班」

 エリオットは静かに呟いた。


「……面白そうだ」


 そのとき。

 遠くから声が響いた。


「エリオット!」

 振り返ると、上官が立っていた。

「乗船準備だ!」


 エリオットは端末を閉じた。

「了解しました!」


 彼は輸送船へ向かって歩き出した。

 その背後では、巨大な鐘が鳴り響いていた。


 ゴォォォン……。


 都市全体に広がる鐘の音。

 その音を聞きながら、エリオットは思った。


 世界は広い。


 そして、自分の知らない強者は、きっとまだ大勢いる。

「……楽しみだな」


 彼は小さく笑った。



 同日。

 仏教軍、北方輸送拠点。

 山岳都市、蓮華京。

 巨大な山々の斜面に、幾重にも建築物が連なる都市だった。


 山頂には、金色の巨大な仏塔。

 その周囲には、無数の寺院。

 しかし、古い建物ばかりではない。

 山の斜面を貫く高速鉄道。

 空中に架けられた透明な歩道。

 谷を越える巨大な輸送橋。

 伝統と近未来技術が混在する、美しい都市だった。


 その中心部。

 仏教軍の輸送施設では、演習の準備が進められていた。


「医療班、出発準備完了!」

「通信設備、積載完了!」

「輸送列車、発車まで十分!」


 その一角。

 一人の少女が、端末を見つめていた。

 黒髪を後ろで束ねた、落ち着いた雰囲気の少女。

 仏教軍所属、ミナ・レン。


「……アギ・ハワー」

 端末には、アギの経歴が表示されていた。

 ミナは小さく笑った。


「……久しぶりだね」


 隣の兵士が首を傾げた。

「知り合いか?」


 ミナは頷いた。

「昔、同じ訓練施設にいたんです」

「……へぇ」

「その頃から、すごく強かったですよ」


 ミナは少しだけ目を細めた。

「……でも」

「ん?」

「今は、もっと強くなっている気がします」


 兵士は笑った。

「じゃあ、演習で会えるといいな」


 ミナは頷いた。

「……はい」


 そのとき。


 遠くから、寺院の鐘が響いた。


 ゴォォォン……。


 ミナは窓の外を見た。

 山の斜面には、無数の家々。

 市場。学校。小さな寺院。


 人々が、それぞれの日常を送っている。

 子供たちが走り回り、商人たちが声を張り上げる。


 ミナは小さく呟いた。

「……行ってきます」


 そして、輸送列車へ向かった。



 午後一時。

 第七駐屯基地、食堂。


「……なあ、アギ」

 迅が口を開いた。

「何ですか?」

「キリスト教軍って、どんな街に住んでんの?」


 アギは少し考えた。

「……地域によりますね」

「……地域?」

「はい」


 アギは端末を操作した。

 画面に、巨大な都市の映像が映し出される。


 セント・ヴェイル。

 白い大聖堂。

 巨大な港。

 空を行き交う輸送機。


 迅の目が輝いた。

「……うおっ!」


 ラフバも身を乗り出した。

「でっけぇ!」


 アギは頷いた。

「キリスト教軍の東方補給港がある都市です」


 迅は画面を見つめた。

「……すげぇな」


 アギは次の映像を表示した。

 山岳都市、蓮華京。

 金色の仏塔。

 巨大な山々。

 空中を走る鉄道。


 迅は目を丸くした。

「……何これ!?」

「仏教圏の都市です」


 ラフバも笑った。

「ははっ! すげぇ!」


 アギは続けた。

「世界には、こういう都市がいくつもあります」


 迅は少し黙った。


 そして。


「……なあ」

 アギが顔を上げる。

「何ですか?」


 迅は笑った。

「……いつか、行ってみてぇな」


 アギは少し驚いた。

「……世界中を、ですか?」


 迅は頷いた。

「おう」


 ラフバも笑った。

「いいな! 俺も行く!」


 迅はラフバを見た。

「……お前、絶対現地で喧嘩するだろ」

「お前もだろ!」

「俺はしねぇよ!」

「嘘つけ!」


 アギは苦笑した。

「……二人とも、観光旅行ではありませんからね」


 迅は笑った。

「分かってるって!」


 そして。


 画面を見つめた。

 巨大な都市。見たことのない建物。知らない文化。知らない人々。


 迅は小さく呟いた。

「……世界って、面白そうだな」


 アギは静かに頷いた。

「……ええ」


 ラフバも笑った。

「……全部見てぇな!」


 三人は、しばらく画面を眺めていた。



 午後四時。

 旧研究施設跡。


「……師匠!」

 迅が声をかけた。


 ロージャは将棋盤の前に座っていた。

「……何じゃ?」


 迅は笑った。

「合同演習、決まったぞ!」


 ロージャは顔を上げた。

「……ほう」

「キリスト教軍と仏教軍が、ジャポネに来るんだって!」

「……そうか」


 ロージャは静かに頷いた。

 迅は隣に座った。

「……なあ、師匠」

「何じゃ?」

「世界って、広いんだな」


 ロージャは少しだけ目を細めた。

「……そうじゃの」


 迅は笑った。

「俺、まだジャポネしか知らねぇんだよ」

「……うむ」

「いつか、世界中回ってみてぇな」


 ロージャは静かに聞いていた。

 迅は続けた。

「いろんな街見て、いろんな奴と会って」

「…………」

「強ぇ奴とも戦って」

「……ふむ」

「うまいもん食って」


 ロージャは小さく笑った。

「……最後が一番大事そうじゃの」


 迅も笑った。

「ははっ! バレた?」


 ロージャは頷いた。

「……うむ」


 迅は少しだけ真面目な顔になった。

「……でもさ」

「何じゃ?」

「……世界中、面白い奴らがいるんだろ?」


 ロージャは静かに答えた。

「……そうじゃの」


 迅は笑った。

「……だったら、会ってみてぇじゃん」


 ロージャは少し黙った。


 そして。


「……よいことじゃ」

 小さく頷いた。

「世界を知ることは、大切じゃからの」


 迅は顔を上げた。

「……師匠も、いろんなとこ行ったことあんの?」


 ロージャは少し考えた。

「……まあ、多少はの」


 迅は目を輝かせた。

「マジ!?」

「うむ」

「どこ!?」


 ロージャは将棋盤を指差した。

「……まずは、目の前の一局に集中せよ」


 迅は顔をしかめた。

「……話そらしたな!」


 ロージャは小さく笑った。

「……ふふ」


 迅は盤面を見た。


 そして。


「……よっしゃ」


 駒を動かす。


 ぱちん。


「……これでどうだ!」

 ロージャは静かに駒を動かした。


 ぱちん。


「……王手じゃ」

 迅は固まった。

「…………」


 そして。


「……待った!!」

「駄目じゃ」

「話してる間に負けたんだけど!!」

「将棋とは、そういうものじゃ」

「絶対違うだろ!!」


 ロージャは小さく笑った。

「……ふふ」


 迅も笑った。

「……ははっ!」


 二人の笑い声が、廃墟に響いた。



 翌日。

 午前八時。

 第七駐屯基地、整備棟。


「……おい、迅!」


 宮田が叫んだ。

 迅は振り返った。

「ん?」


 宮田は工具箱を抱えていた。

「手伝え!」


 迅は首を傾げた。

「……何を?」


 宮田は巨大な輸送車両を指差した。

「演習準備だ!」


 そこには、古びた装甲輸送車が並んでいた。


 JAT-16軽装甲偵察車。

 旧式の軍用輸送車。

 装甲には傷。塗装は剥がれ。

 一部の部品は、別の車両から流用されていた。


 迅は顔をしかめた。

「……これ、動くの?」


 宮田は即答した。

「動かすんだよ!」

「……無茶言うなぁ」


 ラフバが笑った。

「ははっ! いいじゃねぇか!」


 アギは端末を確認していた。

「……整備班だけでは、人手が足りないようですね」


 宮田は頷いた。

「そういうことだ」


 迅はため息をついた。

「……しょうがねぇな」


 袖をまくる。

「……やるか!」


 ラフバも笑った。

「おう!」


 アギは小さく微笑んだ。

「……では、私も」


 三人は、整備作業に加わった。

 迅は部品を運び。

 ラフバは重い装甲板を持ち上げ。

 アギは整備記録を整理する。


 その途中。

「……おい、ラフ!」

 迅が叫んだ。


「何だ!」

「それ、逆!」


 ラフバは首を傾げた。

「……あ?」


 宮田が振り返る。

「……おい」


 そして。


「……何やってんだぁぁぁ!!」

 整備棟に、宮田の怒号が響いた。

 アギは額を押さえた。


「……本当に、もう」


 迅は笑った。

「ははっ!」


 ラフバも笑った。

「はははっ!」


 しかし。


 作業は、少しずつ進んでいった。

 古い車両が整備され。

 通信設備が点検され。

 宿営施設が準備される。

 無宗教軍の小さな基地が、世界中からやって来る兵士たちを迎える準備を始めていた。



 夜。

 第七駐屯基地、宿舎。


 迅はベッドに寝転がっていた。

 手には、小さな端末。

 画面には、セント・ヴェイルの夜景が映っている。

 巨大な大聖堂。

 無数の光。

 海上を走る船。


「……すげぇな」


 迅は小さく呟いた。

 隣のベッドから、ラフバの声がした。

「……何見てんだ?」

「世界の街」

「……へぇ」


 ラフバは身を乗り出した。

「見せろよ」


 迅は端末を渡した。

 ラフバは画面を見た。

「……おお!」


 そして。


「……でっけぇな!」


 迅は笑った。

「だろ?」


 ラフバは次の画像を表示した。

 蓮華京。

 巨大な山岳都市。

「……こっちもすげぇ!」


 迅は笑った。

「……行ってみてぇな」


 ラフバも笑った。

「……ああ」


 しばらく、二人は画面を眺めていた。


 そして。


 迅が口を開いた。

「……なあ、ラフ」

「ラフバだ」

「……俺ら、いつか世界中回ろうぜ」


 ラフバは笑った。

「……いいな!」


 迅も笑った。

「……だろ?」


 ラフバは拳を握った。

「その時は、世界中の強ぇ奴と戦う!」


 迅は笑った。

「……俺は、うまいもん食いてぇ」

「戦えよ!」

「食ってからな!」


 二人は笑った。

 その声を聞いて、隣室のアギが壁を叩いた。


 ドンッ!


「……静かにしてください!!」


 迅とラフバは顔を見合わせた。


 そして。


「……ははっ!」

「……はははっ!」


 笑った。


 世界は広い。

 まだ見ぬ都市。

 まだ知らぬ人々。

 まだ出会っていない強敵。

 その全てが、三人を待っている。


 そして、二週間後。

 三軍合同演習。

 世界中から集まる兵士たちが、ジャポネの地で顔を合わせる。

 その出会いが、三人の運命を少しずつ変えていくことになる。


次回予告


三軍合同演習に向けて、各国の輸送部隊がジャポネへ到着し始める。


セント・ヴェイルから来たキリスト教軍の青年エリオット。


蓮華京から来た仏教軍の少女ミナ。


そして、世界各地から集まる個性豊かな兵士たち。


迅とラフバは早速、他軍の兵士たちと騒動を起こす。


一方、アギは久しぶりの知人との再会を果たす。


異なる信仰を持つ者たちが、初めて同じ食卓を囲む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。