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私は入る会社を間違えたかもしれない。  作者: オツタロ


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退職後~半年間 ②

忘れていたエピソードがあったので追加しました。

退職後転職サイトに登録した。

登録時に職務経歴書を作成したり学歴を入力したり希望する業界、職種、勤務地、年収を選択した。

転職エージェントという制度があり、転職の求人を斡旋してくれる人がつき私の希望に沿った求人を紹介してくれるという。

ハローワークにもあるような自分で求人を探すシステムもそちらでも探すことにした。

ハローワークにも通ってみたが求人システムが使いづらくあまり利用はしなかった。

公的機関と民間の営利目的の会社の差なので仕方がない。


いくつか気になる求人を見つけて応募をしていると早速担当エージェントからメールが届いた。

定型のビジネスメールの挨拶文が書かれており対面で面談したいという。

私は提示された日程のうち1つを選んで返信した。


面談の日、私は都心の高層ビルに向かっていた。

前にビルも立派だと思っていたがさすが転職紹介企業No.1を謳っているだけの会社はビルも立派だった。

月々の賃料はいくらくらいなのかと考えながら受付を済ませて面談用の小部屋に案内された。


椅子に座って待っているとエージェントが現れた。

「初めまして、転職をサポートさせていただきます。」

彼は席について自己紹介と転職システムの紹介を始めた。

私が登録時に入力しておいた内容を確認しつつ会話を進めていった。

「へー、あの会社にお勤めだったんですね。」

「ご存じなんですか。」

「もちろんです。弊社でもよく案内をさせていただいている会社様になります。

お得意様と言っても過言ではありません。

私自身も案内させていただいたことがあるんですよ。

それでですね、私も気になっていることがありましてこの面談終わりの個人的に会話をさせていただいてもよろしいでしょうか。」

意味深な言い方だなと感じた。

私は構いませんと一言言って、まずは私の転職について話すことにした。


一通りの話が終わった。今後は自身でも探してもいいし、エージェントが紹介する求人を待っているだけでもよいと言われた。

私の場合職種は前職と同じで経験者採用枠、20代ということで転職のハードルは低いということだった。

「ここまでは通常通りの私の仕事なんですが、今からお伺いしたいのはそれから少し脱線した内容になります。

ずばりですね、勤めていた会社の内情を詳しく聞きたいのです。」

狙いが分かったような気がした。

こうやって企業の情報を集めているのか。

最初の説明の中で企業の人事担当者とも直接会話すると言っていたが確かにそれだけでは本当の正しい情報が得られるとは限らない。

人事担当者が現場との意思疎通をしていないこともあるし、自分の会社のダメなところを社外の人に話すとは考えづらい。

私も自分が体験した話を少しでも誰かに聞いてほしいと言う思いもあったのでエージェントと会話することにした。

「気になっているのがですね。この会社さんなんですが従業員数の割には求人の数が多いんです。

通常この規模であれば弊社から1人紹介するとしばらくは求人の要請がなくなるんですね。

数ヶ月から半年くらい経って別の求人の要望が出るんです。

部署によって求めているスキルが異なるので別の求人が出ることは珍しいことではないです。

しかしですね、この会社の場合は人を何人も入社させても同じ求人が出続けているんですよ。

募集部署は違うようで面接のときに具体的に伝えるということなので私たちは細かくは把握できていないですがずっと求人が出るというのはおかしいんですよ。」

私は情報基盤部でのことを思い出してみた。毎月とはいかなくても2か月に1人以上の頻度で中途の人は入社していた。

そして1年経たずに退職していく、周りの人も1年未満で辞めていく人に対しては興味がなかった。

「2年経たないと仲間って認められないよね。」

「2年以内に辞める人はスパイと同じだよ。」

とよく言っていた。

エージェントは続けて話した。

「求人を出す会社というのは弊社だけを利用して中途採用者を取っているわけではないです。

同業他社はたくさんいます。最近もスタートアップ企業で新しい転職サポート会社ができたくらいです。

つまりこの会社から1人採用したということは他からも採用しているということです。

この業界はスピード勝負なところがあるので私たちの社内処理でまごついている間に求人が閉じてしまうと言うケースもあります。

なのにこの会社は何人も入社させても一向に求人が閉じないんです。

これってある意味ホラーです。

私たちが入社させた人たちはどうなっているのか。

そんな話が私のチームや一部の人で話題になっていまして。」

「入れ替わりは激しいです。

私がいた部署では1年経たずに退職する人が多かったです。

私自身もその部署には1年いませんでしたし。

会社全体で見ても3月、9月の退職者が多いですね。

その次が6月、10月ですね。

前者が上期と下期の切り替わりのタイミングで後者がボーナスの月ですね。

ボーナスのタイミングで辞めるときは本当に暴言を目の前で言われることも珍しくないです。

退職者の人は退職のお知らせって文書が社内掲示板に掲示されるんです。

その資料の中にA4サイズを縦にした状態で退職者と空欄行の2行で箇条書きにしているんですが3月、9月だとその資料が2枚に亘っていますね。

一度だけ3枚というのがあって社内でも話題になっていました。」

エージェントは驚いている様子だった。

「やはり普通の会社ではないですね。

今日の面談でもいろいろ話を聞いていく中で普通ではないと感じていましたがそれを遥かに超えていました。

並みのブラック企業ではない、それが私の感想です。」

気を悪くしちゃいましたか?とエージェントは聞いてきたが私は大丈夫です、と答えておいた。

「私たちの紹介で入社した人がその会社を辞めた場合って次の転職でまた私たちを利用することってほとんどないんですよ。

短期離職の場合は特にです。

理由はわかりますよね、ひどい会社を紹介しやがってと思っているんでしょう。

私たちも求人を出している会社さんからお金をもらっている立場ですからお客様である会社さんを悪く言うのは失礼なことと思いつつ、この会社は相当ひどいんだろうなった思いながら紹介していました。」

彼はため息をついてから

「短期離職されると私たちにもクレームと言う形で連絡がきます。

”次はマシなやつを紹介しろ”とか”いい人が足りない”とか言われるんです。

いやいや、原因は社内にありますよって言ってやりたいです。

それを退職された方を悪く言う会社さんって珍しくはないところがこの仕事の嫌なところですね。」

彼はお話ありがとうございました、と言い頭を下げた。

面談が終わり私は部屋を後にした。

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