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第九十四話

ニアの背後から、金色の光が絶え間なく噴き出していた。


彼女が空を疾走するたび、その遥か下ではアストラヴェルの建物群が次々と後方へ流れていく。


背中に装着されたスパローが小さく駆動音を響かせる。身体の進行方向が変わるたびに機械パネルが連動して移動し、左右に取り付けられた二基のプロパルション・ユニットが不意に回転した。


カチッ。


二つのモジュールの前面が開く。


内部の構造が伸長し、身体の左右に浮かぶ二本の砲身へと変形した。


ロータリーキャノン。


それぞれ六本の砲身が、ゆっくりと回転を始める。


まだ、発砲はしない。


ニアはわずかに顎を上げた。


視界の中に、半透明のインターフェースが展開される。


眼鏡のような形をしているわけではない。


ただそこに存在し、彼女の視界に直接重なっている。


細い金色のラインが空中を走り、その後を小さなシンボルやマーカーが追うように移動していく。彼女の身体の位置が変わるたび、それらもまた細かく位置を変えていた。


ニアは遥か下を走る通りへ視線を向ける。


「多いな」


アストラヴェルの兵士たちは、崩壊した建物の間で押し込まれていた。


トルーパーが絶え間なくライフルを撃ち続けている。


右側からグレイブマウが突っ込んでくると、シールドベアラーたちは必死に陣形を維持する。


シックスレンダーは六本の脚を使い、瓦礫の間を縫うように駆け回っていた。一方、最前列を進むボーンハイドは、その硬い外皮によって兵士たちの攻撃をいくつか弾き返している。


その中で、アインの率いるディソナントの部隊がさらに圧力をかけ続けていた。


トルーパー。


ヘビー。


スピアマン。


シールドベアラー。


そしてガンナーとアーティレリストがさらに後方に位置し、瓦礫の陰から援護を続けている。


ニアの視線が移る。


金色のインターフェースの中に、小さな円がいくつも浮かび上がった。


一つ。


二つ。


五つ。


八つ。


「ターゲットロック」


二基のロータリーキャノンがわずかに動く。


回転していた砲身が止まった。


次の瞬間、二つの砲身が再び回転を始め、瞬く間に最高速へと達する。


ガガガガガガガッ――!


金色の光弾が、一斉に下方へ降り注いだ。


大きな爆発ではない。


一発一発の高密度プラズマ弾は指一本分ほどの大きさにすぎない。それでも、その速度はあまりにも速く、無数の光の線が空間を埋め尽くしていく。


最初のグレイブマウが側面から撃ち抜かれた。


一つ。


二つ。


四つ。


数秒もしないうちに、その巨体には光を放つ傷跡が無数に刻まれ、やがて道路の真ん中へと崩れ落ちた。


別のシックスレンダーが跳躍を試みる。


次の弾幕が下方から薙ぎ払った。


一本の脚を撃ち抜く。


続いて、もう一本。


跳躍の途中で身体のバランスを失い、そのまま瓦礫へ激突した。


ボーンハイドはなおも前進を続ける。


金色の弾丸が、その身体へ降り注いだ。


硬い外皮が最初の数発を受け止める。


だが、無傷でいられるわけではない。


続く弾幕が同じ一点を何度も撃ち抜いた。


外層に亀裂が走る。


露出した隙間から、灼熱の光が染み出した。


ボーンハイドの足が止まる。


巨体が膝をつき、そのまま道路へ崩れ落ちた。


「硬いやつも倒れるか」


ニアはすぐに身体を傾けた。


下方から飛来した一発の弾丸が、彼女のすぐ脇を通り過ぎる。


それを確認する必要すらなかった。


すでに身体は進行方向を変えている。


エーテル・プロパルション・パックが背後から金色の推力を噴き出した。


ニアは左へと急加速し、塔の脇をすり抜ける。そのまま開けた空間へと再び飛び出した。


下では、二体のディソナント・ガンナーが砲身を向け、彼女を追おうとする。


二人の頭上に、金色の円が浮かび上がった。


ニアは一瞥しただけだった。


二基のロータリーキャノンが即座に動く。


ガガガガガガッ――!


二本の射線が交差するように降り注いだ。


片方のガンナーは、複数の光弾に身体を貫かれ、その勢いのまま後方へ吹き飛ばされる。


もう一体はシールドベアラーの陰へ身を隠した。


ニアは即座に進行方向を変える。


片方のキャノンは下方へ。


もう片方は前方へ向けたまま。


最初の弾幕がシールドベアラーを直撃する。


巨大な盾が激しく震えた。


だが、次の射撃は同じ場所で止まらなかった。


攻撃の角度がずれる。


いくつかの光弾が側面を撃ち抜いた。


その後ろにいたガンナーが倒れる。


ニアはそのまま彼らの横を駆け抜けた。


「まだ足りない」


身体の側面に展開されていた武装モジュールが、再び形を変える。


二基のロータリーキャノンが後方へ折り畳まれる。


二つのモジュール中央部が回転した。


そこから新たに四本の砲身が現れる。


先ほどよりも短い形状だった。


射撃室の内部に金色のエネルギーが集まり始める。


「コンデンスド・シェル」


四発の小さなカプセル状の弾体が下方へ放たれた。


シュッ。


爆発することなく、そのまま落下していく。


そのうちの一発が、魔物の群れの真ん中へと道路へ突き刺さった。


着弾点から金色の亀裂が走る。


そして――


ズンッ!


中心から円形の衝撃波が膨れ上がった。


瓦礫や石、さらには周囲にいた魔物の身体までもが、一瞬だけ着弾点へ引き寄せられる。


その直後、蓄積されたエネルギーが一気に外へと炸裂した。


グレイブマウが吹き飛ぶ。


シックスレンダーが瓦礫の間を転がる。


何体かのディソナント・トルーパーが体勢を崩した。


ニアはその間を旋回するようにすり抜ける。


続く三発のカプセルが、それぞれ別の地点へ落下した。


再び衝撃波が広がる。


ディソナントの部隊陣形が大きく崩れた。


「これでも食らえ」


ニアはわずかに身体を低くする。


下方からアーティレリストの砲弾が飛来した。


彼女は即座に身体をひねる。


エーテル・プロパルション・パックが片側から推力を噴き出し、小さな身体を鋭く右へと押し流した。


砲弾は空を切る。


続けて、別の一発が飛んでくる。


ニアは急降下した。


建物の隙間を縫うように身体を滑り込ませ、そのまま再び上昇して開けた空へと抜けていく。


スパローは、まるでニアの身体にほとんど重さが存在しないかのように、その一挙一動に追従していた。


二基のロータリーキャノンが再び身体の両側へ展開される。


「まだ終わってない」


金色の光弾が、再び下方へ降り注ぐ。


今度は道路に沿って横薙ぎに掃射した。


前進していたトルーパーが側面から撃ち抜かれ、その場に倒れる。


スピアマンはシールドベアラーの後ろへ身を隠そうとするが、いくつもの光弾が盾と盾の隙間を貫いた。


ヘビーが斧を振り上げる。


次の射撃がその膝を撃ち抜いた。


装甲に覆われた身体がよろめき、そのまま崩れ落ちる。


その一方で、インシネレーターが背中の装置を空へ向けようとした。


ニアはそれを見逃さない。


「私に触れられると思ってるの?」


彼女は急降下した。


二者の距離が一気に縮まる。


射程へ入る寸前、ニアは再び身体を引き上げた。


二基のキャノンが、それぞれ異なる角度から同時に火を噴く。


金色のプラズマ弾が、インシネレーターの下方と側面を同時に叩きつけた。


その身体が後方へ吹き飛ぶ。


すでにニアは別方向へと旋回していた。


相手に軌道を読ませるだけの時間を、決して与えない。


時には真っ直ぐ飛びながら撃つ。


時には建物の間を急降下しながら。


時には身体をほんの数度傾けるだけで、武装そのものを動かし、側面から射撃させる。


スパローは、その僅かな変化の一つ一つに追従した。


やがてニアは、移動の制御を引いた。


背後から噴き出していた金色の推力が消える。


小さな身体が、空中で停止した。


静かに。


スパローの左右両側が、大きく開いた。


機械パネルが外側へ展開し、翼のように大きく広がった。


ニアは視線を落とす。


上空から見下ろせば、眼下の戦場がはっきりと見渡せた。


道路の一部は魔物で埋め尽くされている。


その後方では、ディソナントの部隊が隊列を組んで集結していた。


そして、さらに多くの敵が建物の隙間から次々と姿を現してくる。


「四十……」


視界に浮かぶ金色のインターフェースが変化する。


「四十三」


ニアが視線を滑らせる。


グレイブマウの身体に、金色の円が一つ浮かび上がった。


ロック。


続いて、シックスレンダーにも二つ目の円が現れる。


ロック。


三つ目はボーンハイド。


ロック。


トルーパー。


ガンナー。


ヘビー。


シールドベアラー。


スピアマン。


アーティレリスト。


インシネレーター。


カスター。


一体、また一体と、金色の円が出現していく。


互いに近い位置にいる標的は、一つのグループとしてまとまる。


離れた位置にいる標的には、それぞれ個別のマーカーが付与された。


ロック。


ロック。


ロック。


その数はさらに増えていく。


四十三。


四十五。


四十八。


ニアは目の前に展開された金色のインターフェース越しに、戦場全体を見渡していた。


「クラスター・ボンバードメント」


スパローの左右が、さらに大きく開く。


エーテル・プロパルション・パックから十八基の小型ユニットが切り離された。


左に九基。


右に九基。


それぞれが、金色の光を内包したクラスター・ミサイルへと変形する。


それらはニアの背後に浮かんだまま、


静かに。


ただ待機している。


ニアが片手を上げる。


「エンゲージ……」


手が振り下ろされた。


十八発のミサイルが一斉に飛び出す。


金色の光跡を引きながら空を切り裂き、空中でそれぞれの方向へ散開していく。


いくつかは集団化された標的へ向かって急降下し、残りは各所に分散したマーカーへと進路を変えた。


一つ。


二つ。


五つ。


十。


十八の光点が戦場へ落下していく。


そして――


ドゴォンッ!


眼下の大地が一気に爆ぜた。


一つ目の爆発に続き、二つ目。


そして三つ目。


四つ目。


五つ目。


ニアによってロックされた敵の隊列の中で、次々と爆発が巻き起こる。


金色の光がそれぞれ独立した地点で花開き、魔物とディソナントの部隊をまとめて吹き飛ばし、その陣形を大きく崩していく。


衝撃波が周囲の建物まで薙ぎ払った。


砂埃、瓦礫、そして魔物の身体の破片が空中へと舞い上がる。


一つの爆発が、さらに次の爆発を誘発する。


ドン! ドン! ドン! ドン!


金色の粒子の嵐が高々と立ち昇り、濃い煙となって戦場の大部分を覆い尽くした。


上空から見れば、眼下の道路は煙の向こう側で明滅し続ける金色の光に沈んでいるようだった。


ニアはその上空に留まったまま、


遠くから爆撃の結果を見つめる。


「まあまあかな」


最後の爆発がまだ地上で轟いている中、ニアは顔を上げた。


濃い煙が、なおも道路から立ち上っている。


損壊した建物の間を、エネルギー粒子が飛び散っていた。


その時――


一本の赤い光線が走った。


あまりにも速い。


ニアの身体は、思考より先に反応した。


彼女は咄嗟に頭を傾ける。


シュッ!


光線が頬のすぐ脇を通り過ぎた。


その熱に煽られ、アイボリー色の髪の先が大きくなびく。


ほんの一瞬、すべての動きが遅くなったように感じられた。


赤い光線は顔から数センチしか離れていない場所を通過し、そのまま遥か後方へ消えていく。


ニアが瞬きをする。


「ん?」


身体を空中で反転させる。


遠く離れた場所で、濃い煙の中を一体のドレッドウィングが浮遊していた。


その口はまだ大きく開かれている。


そして再び、その口腔の奥へ赤い光が集まり始めた。


ニアは目を細める。


「ああ、お前か」


シュッ!


二発目のレーザーが放たれた。


ニアはわずかに身を沈める。


その光線が頭上を通り過ぎる。


エーテル・プロパルション・パックが即座に進行方向を修正し、ニアの身体を再び上空へと押し上げた。


ドレッドウィングが追ってくる。


「けっこう速いな」


再び赤い光が灯る。


ニアは身体を横へ捻った。


一発目のレーザーが、ついさっきまで彼女がいた軌道を貫く。


反対側から、別の光線が迫る。


身を屈める。


赤い光が髪を掠めるように通り過ぎた。


さらにもう一本が下方から現れる。


ニアは身体を右へ滑らせ、そのまま加速を続けた。


やがて、別の影が空を埋め始める。


一体。


三体。


五体。


十数体ものドレッドウィングが、煙と高くそびえる建物の陰から姿を現した。


それぞれが口を開く。


赤い光が一斉に灯った。


「マジで?」


数十本ものレーザーが飛び出す。


ニアは鋭く急降下した。


三本の光線が背後から追いすがる。


身体を傾け、一筋を肩のすぐ脇へ通す。その後ろでは、残る二本が数メートル先で交差した。


ニアはそのまま一気に上昇する。


上空からレーザーが降り注ぎ、彼女の軌道を追ってくる。


身体を一回転させる。


光線が足元を通り過ぎた。


「まだいける」


背中のエーテル・プロパルション・パックが短く推力を噴き出す。


ニアが前方へと一気に加速する。


左から二本のレーザーが斜めに迫る。


右へ動く。


反対側から別の光線が軌道を横切る。


ニアは再び進路を変えた。


下からの攻撃に押し上げられるように上昇すると、今度は上空から二本の赤い光線が降ってくる。


すぐさま急降下する。


四本の光線が背後から追いかけてくる。


ニアはその間を縫うように旋回した。


小さな身体が、通り抜けるには狭すぎるように見える赤い光線の隙間をすり抜けていく。


アイボリー色の髪が、激しい気流に煽られて乱れた。


エーテル・プロパルション・パックは一瞬ごとに推力の方向を変え、彼女の身体がわずかに動くたび、その動きに合わせて軌道を修正していく。


周囲のドレッドウィングは、さらに数を増していった。


彼らは空中で円陣を組むように散開し、ゆっくりとニアの周囲すべての逃げ道を塞いでいく。


赤いレーザーが、彼女の周囲の空間を埋め尽くす。


それでも、そのすべての軌道が塞がれているように見える中で――


必ず、一つの隙間がある。


そしてニアは、必ずそれを見つける。


二本の光線の間を突き抜ける。


身体を傾ける。


進行方向を反転させる。


下降する。


そして再び上昇する。


一本のレーザーが、身体のすぐ下を通過した。


別の一本が頭上を薙ぎ払う。


ニアはその二本の間へ滑り込んだ。


「面白い」


口元に小さな笑みが浮かぶ。


「君たち、なかなかやるじゃん」


再び一本の光線が彼女を追う。


今度は、ニアは前方へ加速するのをやめた。


身体が落ちていく。


制御を失ったわけではない。


自ら急降下しているのだ。


背後から一体のドレッドウィングが追随する。


ニアはさらに降下する。


より速く。


より鋭く。


アストラヴェルの建物群が、みるみるうちに近づいてくる。


その真下には、広い道路が開けていた。


両足が道路へ叩きつけられる。


身体がそのまま低く沈み込む。


片手が地面に触れた。


着地点を起点に亀裂が走る。


ニアが顔を上げる。


スパローが動いた。


背中の機械パネルが、さらに大きく開いていく。


プロパルション・ウィングが展開される。


背後の推進ユニットが、一基ずつ点灯していく。


ヴンンン――


金色の光が、さらに強く輝きを増していく。


蓄積されたエネルギーはあまりにも大きく、その周囲の砂埃や砕けた石までもが地面から浮き上がった。


ニアはゆっくりと立ち上がる。


スパローの二つの機械構造が、両腕へ向かって移動する。


機械装甲が両手と両腕を覆い、背中のプロパルション・システムへ直接接続されていく。


手のひらの周囲にある構造が移動し、互いに噛み合うように一体化した。


次の瞬間、ニアの両手のひらが金色の光の刃へと変わった。


その表面に沿って、エネルギーが流れていく。


「**インフィニティ・インタクト**」


ブゥオオオオオム!


スパローからの推力が炸裂する。


ニアの姿が消えた。


その直下の道路が、一直線に砕けていく。


凄まじい加速圧によって、砂埃と砕石が一斉に舞い上がった。


彼女の身体は、建物の間を駆け抜ける金色の閃光へと変わる。


そこには、足音すらなかった。


ただ、一本の光の軌跡だけが残った。


一体のドレッドウィングが、突然頭部を失った。


その閃光が移動する。


二体目のドレッドウィングから、片翼が失われた。


三体目は、身体の向きを変える暇すらなく両断される。


四体目。


五体目。


ドレッドウィングたちは、まだ方向を変えることすらできていなかった。


その間を、ニアの姿が一瞬だけ駆け抜ける。


両手の金色の刃が、目にも留まらぬ速さで振るわれた。


一本。


二本。


三本。


四本。


金色の閃光が、次々と別の場所へ移っていく。


アストラヴェルの空に、電光が弾けた。


一体のドレッドウィングが振り返ろうとする。


だが、遅い。


ニアはすでに、その正面にいた。


身体が一直線に突き進む。


両手の金色の刃が、前方へ向けられる。


一度の加速。


一度の刺突。


ドレッドウィングの身体を、そのまま貫いた。


ニアは止まらず、そのまま通り過ぎる。


貫かれた個体は、何が起きたのか理解できていないかのように、ほんの一瞬だけ空中に浮かんでいた。


そして――


その身体が、二つに分かれた。


黒い血と肉片が空中へ飛び散り、やがて残留するエネルギーとともにゆっくりと崩壊していく。


その後ろにいたドレッドウィングたちも、次々と動きを止めた。


身体に細い傷が浮かび上がる。


一つ。


二つ。


そして、さらに増えていく。


だが、その傷が実際の損傷として現れたのは、ニアが彼らの間を通り抜けた後だった。


身体の一部が、次々と離れていく。


いくつかは空から落下し、残りは刃の残留エネルギーが体内で炸裂したことで、そのまま細かな破片となって砕け散った。


やがて――


動いているドレッドウィングは、一体だけになった。


その個体は前方を見つめる。


その目の前で、ニアが空中に静かに佇んでいる。


両手のひらでは、金色の光の刃がなおも輝いていた。


機械装甲に覆われた両腕を、小さな電光が走っている。


最後のドレッドウィングは動かなかった。


しばしの間、二者の間を風だけが通り抜ける。


そして、魔物の目が大きく見開かれた。


ようやく、その時になって気づいた。


遅すぎる事実に。


ニアは、そもそも目の前で止まってなどいなかった。


すでに通り過ぎていたのだ。


あまりにも速かったため、ドレッドウィングは金色の刃が自分の身体を通り抜けたことすら認識できていなかった。


身体に、細い光の線が一本浮かぶ。


次の瞬間、最後のドレッドウィングの身体が真っ二つに裂けた。


そして、その二つに分かれた身体が空から落ち始めるよりも早く――


ニアはすでに、その背中を向けていた。


戦いは、終わっていた。

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