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第二十二話

穏やかなまま変わることのないアストラヴェルの空は、ゆっくりと意識の彼方へと薄れていった。


代わりに広がったのは、静かな部屋を満たす淡い温もりだった。そこでは、誰かの呼吸が再び人らしい穏やかなリズムを取り戻している。


室内では薄いカーテンがそよりと揺れ、午後の光が柔らかな筋となって木の床へと落ちていた。


マリアーネは目を覚ました。


まぶたがゆっくりと開く。


一瞬だけ呼吸が止まり、やがて静かに吐き出された。その様子は、理解しきれない夢からようやく抜け出したばかりのようだった。


「……アステリア……ずいぶん長いわね……」


掠れた声はほとんど独り言に近く、身体に残る疲労の名残がまだ完全には消えていない。


すぐには起き上がらなかった。


ゆっくりと身を動かし、ベッドの縁に腰掛ける。


無意識のうちに指先がシーツへ触れた。動き始めた思考を落ち着かせる何かを探すように。


「少し連れていくだけって言ってたのに……」


小さく続けながら、眉をわずかに寄せる。


「あの子……普段なら外にいても、こんなに遅くならないのに……」


静かに息を吐く。


だが、その吐息は期待したような安堵を運んではくれなかった。


胸の奥に何かが引っかかっている。


形のない不安。


それでも確かに存在し、本来より少しだけ胸を重くさせる感覚だった。


「……私が考えすぎてるだけ、かしら」


自分に言い聞かせるように呟く。


しかし、その瞳に浮かぶ色は決して確信に満ちたものではなかった。


しばらくの静寂が流れる。


そして、ようやく立ち上がることを決める。


「……私が探しに行ったほうがいいわね」


身を前へ傾け、足先が冷たい床に触れる。


ゆっくりと立ち上がった――その直後だった。


足が止まる。


すぐには歩き出さない。


マリアーネはそっと目を閉じた。


深く息を吸い込む。


そして静寂に包まれたその一瞬の中で、何かが動き始めた。


身体の下から淡いエネルギーの流れが湧き上がる。


目には見えない風のように緩やかに渦を巻きながら上昇し、その身を優しく包み込んでいく。


長いスカートがふわりと揺れ、背中まで届く髪も流れに合わせて静かになびく。


数本の髪が頬をかすめても、その穏やかな表情を乱すことはなかった。


周囲には淡い光が脈打つ。


強い輝きではない。


人目を引くようなものでもない。


それでも、それがただの風ではないことを示すには十分だった。


意識的に制御された力。


整然と身体を巡り、まだ残る疲労を押さえ込み、本来なら出産によって失われたままの体力を少しずつ回復させていく。


表情は穏やかなままだった。


閉じられたまぶた。


力みのない眉。


静かに結ばれた唇。


まるで身体そのものが、考えるまでもなく何をすべきか知っているかのように。


数秒が過ぎる。


呼吸が変わった。


より安定し、


より深く。


そして再び目を開いた時、その瞳には先ほどまでなかった澄んだ光が宿っていた。


確かな準備が整った証のように。


「……これで十分ね」


小さく呟く。


エネルギーの流れはゆっくりと収まり、音もなく消えていった。


残されたのは先ほどと同じ静寂。


だが身体は驚くほど軽くなっている。


今度こそ歩き出した。


部屋の扉を静かに開け、人気のない廊下へ出る。


足取りは軽いが慎重さは失っていない。


そのまま階段へ向かい、ためらうことなく下り始めた。


一段、また一段と足を進めていたその途中――


上がってきた使用人とすれ違う。


その手には、まだ湯気の立つコーヒーカップを載せたトレーがあった。


女性の長い金褐色の髪は背中に美しく流れ、差し込む光を受けて淡く輝いている。


頭上の尖った耳はわずかに動き、その表面には注意して見なければ分からないほど薄い暗色の模様が刻まれていた。


足取りは素早い。


それでいて礼節を欠かさない。


やがてマリアーネの存在に気づくと、その場で立ち止まった。


「マリアーネ様」


軽く頭を下げながら声を掛ける。


マリアーネは小さく頷き、歩調を少し緩めた。


「カエラ、アステリアを見なかった?」


前置きもなく尋ねるが、その声色は変わらず柔らかい。


カエラは一度瞬きをし、それから素早く頷いた。


「あっ……はい、奥様。先ほど外でお見かけしました……エアリン様とご一緒に」


マリアーネはわずかに首を傾げる。


「エアリン? 前庭に?」


「はい……あちらに」


答えながら、少しだけ言葉を切った。


何かに気づいたような、それでいて自分でも何なのか分かっていないような表情だった。


マリアーネは静かに息を吐く。


「そう……まだこの辺りにいたのね」


肩の力が少し抜ける。


「てっきり村まで遊びに行ってるのかと思ったわ。だからこんなに遅いのかと……」


カエラはわずかに眉を上げた。


「何かあったのですか、奥様?」


マリアーネは薄く微笑む。


その笑みは穏やかだったが、どこかにまだ疲労の名残が滲んでいた。


「別に何かあったわけじゃないの。ただ……」


そう言って少しだけ外へ視線を向ける。


「やっぱり、あの子は生まれたばかりでしょう? だからかしら……近くにいないと、どうしても心配になってしまうのよ」


カエラはしばし黙り込んだ。


そして無意識のうちに、口元がわずかに尖る。


「そうですか……アステリアは幸せですね」


ぽつりと漏れたその声は、ほとんど独り言のようだった。


「ケイル様を抱っこできるなんて……」


マリアーネは瞬きを一つすると、小さく笑った。


「あら? あなたも抱っこしたいの?」


からかうような軽い口調。


目元には柔らかな笑みが浮かんでいる。


カエラはびくりと肩を震わせた。


反射的に肩が上がり、手に持ったトレーが危うく傾きかける。


慌てて持ち直した。


「あ、いえ、そういう意味では――その……」


早口で否定する。


いつも落ち着いている彼女らしくない慌ただしさだった。


一度視線を逸らし、唇をきゅっと閉じる。


何かを飲み込むような仕草のあと、ためらいがちに口を開いた。


「ただ……その……」


短く息を吐く。


そして観念したように続けた。


「とても……その……格好いいので……」


頬がほんのり赤く染まる。


気づかぬうちに重心を片側へ寄せ、今さら自覚した気恥ずかしさを隠そうとしていた。


それを見たマリアーネから、今度ははっきりとした笑い声が漏れる。


肩が小さく揺れるほど、本当に可笑しかったらしい。


「まったく、あなたたちは……」


呆れたように言いながらも、その声はどこまでも優しい。


視線を外へ向ける。


「まだ生まれたばかりなのに、もうこんなに人気者なのね」


冗談だけではない。


自然と滲み出る誇らしさがそこにはあった。


母親としての喜びを隠しきれない、そんな声音だった。


会話は穏やかに続いていた。


だが――


気づかないうちに、何かが変わり始めていた。


音はない。


警告もない。


ただ、足元の床から空気そのものが少しずつ変質していく。


冷たい。


それでいて静かに。


じわじわと広がるように。


カエラはすぐには気づかなかった。


トレーを落とさないよう丁寧に支えていた、その時だった。


ほとんど認識できないほど短い一瞬のうちに――


コーヒーカップから立ち上っていた湯気が消えた。


そして。


凍りつく。


液面は瞬く間に硬化し、薄い氷の膜が縁まで広がっていった。


「……え?」


手がわずかに震える。


目を見開き、信じられないものを見るようにカップを見つめた。


「マリアーネ様……? どうして急にコーヒーが……」


声が少し上ずる。


戸惑いの中に、じわりと不安が混ざり始めていた。


だが、マリアーネは答えない。


その冷気を感じ取った時には、すでに沈黙していた。


先ほどまでの柔らかな眼差しは消えている。


目を細め、その視線は前方へ向けられていた。


カエラでもない。


カップでもない。


他の誰にも見えていない何かを見据えるように。


呼吸が止まる。


「……これは……」


掠れるような呟き。


息を呑んだその一瞬、瞳が鋭くなる。


分からないからではない。


むしろ――分かってしまったからだ。


マリアーネは即座に階段を下り始めた。


迷いなどなかった。


「奥様――? どうされたのですか?」


カエラがはっとする。


反射的にトレーを握る手へ力が入り、その上のカップがかたんと小さく揺れた。


「外で何かが起きているの」


マリアーネは振り返らない。


歩みも緩めない。


「確かめなければ」


「えっ、ま、待ってください。それはどういう――」


言葉は最後まで続かなかった。


問いをやめたわけではない。


その頃にはもう、マリアーネの姿が遠ざかっていたからだ。


足取りは速く、迷いなく。


長いスカートが、次第に切迫感を増していく歩調に合わせて揺れていた。


ほんの数秒後には、その足音も廊下の奥へと消えていった。


カエラはその場に立ち尽くす。


眉をひそめ、耳をわずかに動かしながら、自分には見えない何かを探るように意識を巡らせた。


「……外で……?」


ぽつりと漏れた呟きは、誰かに向けたものではなく、自分自身への問いに近かった。


ふと手を下ろし――そこで再びトレーの上のカップに目が留まる。


湯気はもうない。


その表面は――凍りついていた。


「……え?」


目を見開き、身体が硬直する。


薄い氷に覆われた液面を見つめるが、当然そこから答えが返ってくることはない。


「……わ、私……氷なんて入れてませんよね……?」


困惑した声で呟きながら、確かめるように顔を近づける。


指先がわずかに震えていた。


冷たい。


それは間違いなく本物だった。


そしてなぜだろう。


ただ冷たいだけではない。


どこか異様だった。


だが、その疑問に答える者はいない。


なぜなら――すでに何かが、本来越えてはならない境界の外へと動き出していたからだ。


屋敷の正面扉がゆっくりと開く。


先ほどまで暖かかった午後の空気は、マリアーネが外へ出た瞬間、まるで別物のように感じられた。


刺すような寒さではない。


肌を撫でるように静かに這い寄る冷気。


見えない何かが周囲の空間そのものを無言で圧迫しているような感覚だった。


敷居を越えたところで、足が止まる。


視線がすぐに前方へ向けられた。


庭の開けた場所。


少し離れた先に、エアリンとアステリアが並んで立っている。


だが、その姿勢は普段とは違っていた。


エアリンはわずかに前傾し、足を開いている。


明らかに警戒態勢だった。


その隣に立つアステリアも身体を強張らせ、肩に力が入っている。


二人の視線は一点に固定されていた。


屋敷ではない。


周囲でもない。


真っ直ぐ前方へ。


マリアーネは眉を寄せた。


「……あそこにいるのね。でも……」


小さく漏れた声。


しかし、その表情はすでに別の違和感を捉えていた。


視界の左側。


庭から少し離れた場所では、村人たちが何人も集まっている。


小さな集団を作り、緊張した顔で同じ方向を見つめていた。


誰も近づこうとはしない。


誰一人として声も発しない。


ただ――見ている。


先ほどまで曖昧だった胸騒ぎが、今度ははっきりと形を持って胸を締めつけた。


静かに。


しかし確実に。


「……アステリア」


決して大きな声ではない。


それでも、空気に張りついていた沈黙を切り裂くには十分だった。


遠くでアステリアの身体がびくりと震える。


勢いよく振り返ったせいで危うく体勢を崩しかけた。


慌てて手を伸ばすが、掴むものはない。


そして屋敷の前に立つマリアーネを見つけた瞬間、そのまま息を呑んだ。


「お、お奥様……!?」


声が裏返る。


思ったように言葉にならなかったらしい。


マリアーネはすでに歩き始めていた。


足取りは速い。


だが決して乱れてはいない。


スカートの裾が、次第に切迫感を帯びる歩調に合わせて揺れる。


「アステリア……あなた、どうして――」


言葉が途中で止まる。


視線がほんの一瞬だけ下へ落ちた。


そこには何もなかった。


アステリアの腕の中にいるはずの存在が。


歩みは止まらない。


だが呼吸が変わる。


先ほどより深く。


そして重く。


「……アステリア?」


声の調子が低くなる。


穏やかなまま。


それなのに、先ほどよりはるかに重い圧力を伴っていた。


アステリアの顔から血の気が引く。


胸の前で両手を強く握りしめる。


何かが崩れ落ちるのを必死に支えているようだった。


「そ、それは――わ、私は――ち、違うんです、さっきほんの少しだけ――!」


言葉が次々と飛び出す。


呼吸と混ざり合い、自分でも整理できていない。


半歩後ずさる。


踵が危うくもつれそうになった。


両手が宙へ上がる。


前を指したかと思えば横を示し、何とか状況を説明しようとしているのだろうが、当の本人ですら何をどう話せばいいのか分かっていないようだった。


「それで――急にグルメルさんが来て――それから、みんなも来て――!」


早口で言葉を重ねる。


呼吸は乱れっぱなしだ。


「わ、私は本当に少しだけで――その、すぐ戻るつもりで――」


そこで言葉が途切れた。


思考が口の動きに追いついていない。


握りしめた拳が無意識に開き、また閉じる。


瞳にはうっすらと涙まで浮かび始めていた。


まるで大きな失敗をしてしまった子供そのものだった。


その隣で、エアリンがようやく振り返る。


動作は終始落ち着いている。


今にも取り乱しそうなアステリアとは対照的だった。


「奥様」


短く呼びかける。


そして静かに頭を下げた。


「申し訳ありません」


マリアーネはすぐには答えなかった。


足を止めることなく前へ進む。


視線がアステリアからエアリンへ移り、再び戻った。


「……説明して」


静かな声。


平坦な響き。


だが、それだけでアステリアの呼吸は再び止まりそうになる。


エアリンは短く息を吸った。


「グルメルが突然、異常な状態で現れました」


エアリンはそう告げた。


声は落ち着いていたが、わずかに強張った顎が、その内側にある緊張を物語っている。


「襲ってきたわけではありません。ですが……何かを探しているような、あるいは何かを感じ取っているような様子でした」


マリアーネは歩みを止めない。


二人の距離は少しずつ縮まっていく。


「その後です」


エアリンは続けた。


「他のカストディアンたちも集まり始めました。一体、また一体と」


アステリアがごくりと唾を飲み込む。


「ほ、本当なんです、奥様……みんな急に来て……私にも、どうしてなのか全然分からなくて……」


声は小さく、今なお震えていた。


エアリンは小さく頷く。


そして――


「それから……」


ほんの一瞬だけ言葉を切る。


その眼差しが鋭くなった。


「あれが現れました」


マリアーネは問い返さない。


だが、その目はわずかに細められる。


「あれは……話しかけてきました」


エアリンは静かに言った。


「直接、私の思考の中へ」


マリアーネの歩みがわずかに鈍る。


「……話しかけた?」


小さな声で繰り返す。


エアリンは頷いた。


「若様を……地面へ下ろせと」


一瞬、沈黙が落ちた。


アステリアは反射的に俯く。


固く握り締めた指先が白くなる。


「わ、私はちゃんと止めようとしたんです……その……どうしたらいいか分からなくて……エアリンがそう言うから、それで私は――」


「もういいわ」


たった一言。


静かな声だった。


それでも、その場にいた全員を黙らせるには十分だった。


アステリアは即座に口を閉ざし、息を呑む。


マリアーネはすでに目の前まで来ていた。


あと数歩。


その時だった。


視線がエアリンの肩越しへ向く。


そして――止まる。


見ていたのは誰かではない。


地面だった。


庭の表面を、細い亀裂が走っている。


白く。


まるで瞬時に凍りついた霜のように。


音もなく広がりながら草を覆い、花の茎を這い上がり、その花弁さえも脆い氷晶へと変えていく。


空気が変わっていた。


ただ冷たいのではない。


圧し潰されるような感覚。


空間そのものが何かに支配されているかのようだった。


マリアーネは動かない。


凍結の痕跡を目で追う。


ゆっくりと。


そしてその先で――見つけた。


白い影を。


それは完成された氷の円環の中心に静かに座していた。


まるで周囲の世界そのものが、その存在に従い、形を変えることを選んだかのように。


風が吹く。


だが暖かさはない。


冷気だけが庭を撫で、舞い上がった土埃さえ細かな氷片へと変えていく。


次の風が通り過ぎた時。


その姿がはっきりと現れた。


狼。


長い白銀の毛並みは荒々しく揺れることなく、どこか不自然な風の流れに従って静かになびいている。


まるで一本一本の毛に意思が宿っているかのようだった。


背筋を伸ばし、前脚を真っ直ぐ揃えて座る。


後脚も美しく折り畳まれている。


それは野生の獣というより――


何か別の存在を思わせるほど整いすぎた姿だった。


動かない。


鳴きもしない。


それなのに。


その存在感だけが、空間の全てを満たしている。


周囲ではなおも氷が広がり続けていた。


ゆっくりと。


確実に。


地面を呑み込み。


花を覆い。


地表へ顔を出していた小さな根さえも白く染め上げる。


やがて一帯は鈍い光を反射する氷原へと変わっていた。


だが、その冷たい侵食は村人たちの手前で止まっている。


あと数歩。


その距離を残して。


まるで境界線が引かれているかのように。


まるで――


殺さないと決めているかのように。


そして、その存在のすぐ前には。


青川蓮司。


小さな身体はその場に横たわったままだった。


泣いていない。


動いてもいない。


ただ整然と作られた冷気の円の中に静かに置かれている。


まるで、その空間そのものが彼のためだけに整えられたかのように。


そして。


蒼い瞳が持ち上がる。


見つめる。


真っ直ぐに。


マリアーネへ向けて。


そこに怒りはない。


殺意もない。


だが、その圧力は明確だった。


冷たく。


深く。


静かでありながら絶対的。


ただ見ているのではない。


見定めている。


測っている。


値踏みしている。


風が再び吹いた。


今度はさらに静かに。


マリアーネの髪を後ろへ流し、スカートの裾を重くなった空気の中でかすかに揺らす。


それでもマリアーネは動かなかった。


後退もしない。


前進もしない。


ただ境界線の前に立ち続ける。


まだ完全には凍りついていない大地の上で。


視線を逸らすことなく見返していた。


呼吸はゆっくりと整っていく。


だが胸の奥に張り詰めた感覚は消えない。


ほんの一瞬たりとも気を緩めることを許さない何かが、そこにはあった。


「……まさか……」


その呟きは冷気に呑まれ、ほとんど掻き消える。


だが瞳は揺るがない。


なぜなら、その一目だけで理解してしまったからだ。


今、自分の前にいるものは――


単なる生き物ではない。


周囲の世界そのものを書き換え、


己の意思に従わせることのできる存在なのだと。

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