遺跡荒らしと妖精のいたずら
崩れた石壁に座って話していたら空が段々と明るくなってきた。
明るくなってきてウパラの姿が良く見えるようになった。髪は肩までの長さで白く光を反射してキラキラと輝いていた。
肌は青みがかった灰褐色。目は切れ長で瞳はオパールが嵌め込まれたような色をしていた。
服はアンバーとは異なる形だったが、民族服のようだった。これも『神子の服』というらしい。本体となる石によって神子の服のデザインが変わるみたいだ。
気になっていたことがあったので聞いてみた。
「ウパラってどこから来たの?」
「僕?森を抜けた先にある小さな町から来たよお」
曰く、わたしが儀式の間の手前にある水たまりで出会った少年が仲間達と共に大急ぎで町まで戻って来たことによってわたしの存在を知ったのだという。
「遺跡の中に人がいたって大騒ぎになってたから騒ぎを鎮めてから見に来たんだよねえ。結果、ただの人じゃなくてアンバーだったんだけどね」
「盗掘騒ぎだったかな?それの巡回中だったみたいね」
「そうそう。そういう情報が身内にも回ってたからあの町に寄ってたんだあ」
ウパラとの共鳴によって断片的に入って来た情報の足りない部分を補足してもらった。
「実際に盗掘があった遺跡もあれば妖精がいたずらしただけの遺跡もあるから現地で確認しないとわからないんだよねえ。同族同士みたいにある程度離れていても確認できたら楽なんだけど、そうもいかないからなあ」
「妖精のいたずらって?」
「単に彼らの遊び場になってるだけのことだよ。置いてある物の位置が変わってたり供物が食べられてたり部屋の隅にお花が植えられていたり。ただそれだけで何も害は無いよお」
外に出る前に出会った妖精さんが各地の遺跡にも居るらしく、その生活の痕跡が『妖精のいたずら』と呼ばれているそうな。
「盗掘と全然違うじゃない」
「そうなんだけど、実際遺跡を荒らしてる人間がいるからああやって見回りが必要なんだよお。やめてほしいよねえ」
ウパラは欠伸をしながら石板を操作している。
「妖精のいたずらが発生している場所は盗掘の心配は無いんだけど、妖精のいたずらが発生しなくなった場所が危ないんだよねえ。あいつら人間を見かけるとしばらく境界に引き篭もるから盗掘かどうかは前後に動きが静かになってるかどうかで大体わかるんだあ」
「じゃあこの遺跡はしばらく大丈夫そうね」
「そだねえ」
ウパラは退屈そうに話していた。




