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ウパラ

お化けは出ません。

 真っ暗だ。


 夜になった。夜は一部の動物や幽霊と言われるような霊体の活動が活発になる……と本に書かれていた。

 霊体とは?

 実体の無い存在と書かれていたけどなぜ実体が無いのに活動するのかわからない。


 そんなことを考えながら拾った枝を振り回しながら歩いていたら何かにぶつかった。

 音はしない。なのでまたぶつかった場所を中心に振り回したら手応えがあった。


 でも、何もいない。

 不思議に思い、力いっぱい枝を叩きつけた。パキッという音と共に「痛いよお〜」と声が聞こえた。


 その声の主は軽く手を上げながら空間を歪ませて姿を現した。

「久しぶりに同族が目覚めたって聞いたから遊びに来たらさあ、同族じゃ無い上に思いっきり叩かれるんだもん。びっくりしたよお」

「同族……?」

「ああ、もしかして情報が入ってない感じかな?なんて言えばいいのかなー。君の持ってる本に琥珀みたいな石が埋め込まれてるでしょ?それが君の本体で同族の証。僕はオパールっていう石が本体なの。でもうちらを作った存在はほぼ一緒だから……うーん、まあ親戚みたいな感じ?」

「親戚?」

「うん、親戚だと思う。特徴は違うけど親が一緒だからね。君らは本を持ってるけどうちらはこれが君らでいう本みたいな感じ」


 そう言うと空中から現れた相手は胸元から淡い光を伴って薄い半透明の石板を取り出した。


 「ほら、これこれ。君のは旧式みたいだけど僕のはこんな感じで手をかざすと大体の情報が読めるんだよね……。ああ、名乗るのを忘れていたよ。僕はウパラ。男性名も女性名もウパラで統一されてるんだー」

「そう……なのね。わたしはアンバー。よろしく」

「よろしくー!アンブルの女性体を見るのは本当に久しぶりだよお。あっ、待ってね……これでよし!」


 ウパラは石板をしまってから両手でわたしの手を握ってぶんぶんと上下に振り回した。


「これは握手!友好的に接したいって意思表示って先輩のウパラから習った!改めてよろしくねえ」

「あ、え、よ……よろしく……」


 ウパラの手はひんやりとしていて、まるで先程飲んだ水の中に手を沈めたような感触だった。

「僕ねえ、普段は霊体化して過ごしてるんだけど、生まれて初めて実体化してない状態で誰かに叩かれて驚いたけど少し感動したよお」

「そうなんだ」

「そうなんだあ。枝を振り回してるのも驚いたけどそのまま何度も叩いてきたのがさらに面白くて。僕、しばらく君について行こうかと思ってるんだあ」


 そう言いながらウパラはふわふわとわたしの周りを一周漂った。


「ちょっと本出して。僕の真似をして」

「うん」


 ウパラはわたしの目の前に石板をかざした。

「この石板の裏にある石にアンバーの本についてる石を近付けてみて」


 言われた通りに石を近付けると石同士が共鳴するように光り始め、琥珀の森の儀式の間に続く螺旋階段を登っていたときのような不思議な感覚に包まれた。


 しばらくすると共鳴も収まり、少しだけ頭がすっきりとした気がした。


「うちらはこんな感じで情報を共有したり……えーっと、仲間?として登録したりするんだよお。同族らしき個体を見つけたらこうやって石を共鳴させるのが挨拶なんだあ。石持ちは同族じゃなくても同じことができるから見つけ次第挨拶しておいた方がこれからがラクだよお」

「へえ〜。と言うことはこれで『ミッション・仲間に会おう!』が達成されることになるのかな」

「ミッション?なにそれ?」

「へ?」

「ん?」


 聞くと他の個体にはそんなふざけたものは表示されない上に存在しないらしい。ウパラに大笑いされた。


「あはは!アンバーって変わった子だと思ってたけど君の本もだいぶ面白いことになってるんだね」

「失礼な。わたしは真面目に動いてたのに……」

「個体差ってどうしても生まれるものだからそんなこともあるよねえ」

「これって読み取ることはできなかったの?」

「情報は流れて来なかったねえ」


 本を開いて確認したところ、『ミッション・仲間に会おう!』と『ミッション・友達を作ろう!』の所に丸い文字で『ミッションコンプリート!』と書かれていた。


 もしかして遊ばれている?



ウパラの種族は『浮遊』『透過』『消音』が合わさった『霊体化』という固有能力を持っています。

基本的に霊体化している状態だと触れることができません。

ウパラは人間に紛れて暮らしてます。世話を焼くのが好きです。

ウパラの持ってるデバイスはタブレットのようなイメージです。裏に木の枝が変化したオパールが埋め込まれてます。

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