表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/18

《琥珀の森・儀式の間》遭遇!妖精

妖精さんが齧られている描写があります。


次の部屋も前の部屋と同じで遺跡のような雰囲気でした。壁画の内容が少し変わっていましたが、それ以外に変化はありません。壁画の内容だけ確認して次の部屋へ、次の部屋へとひょいひょい移動していました。たまに小さな生き物の反応が確認できたので挨拶をして次の部屋へ……ずんずんと進んでいますが《琥珀の森》という名前のくせに森要素が垂れ下がる木の根とたまに見かける生き物しか無いじゃないですか!ここは本当に森……?そう思っていたら階段を発見しました。


本を確認するとこの階段は《琥珀の森・最深部》から《琥珀の森・儀式の間》に移動する階段のようです。何も考えずに次の部屋へ次の部屋へとウロウロしているうちに地図のモヤがかかっていた場所が全部無くなっていました。丸っこい字体で[マップコンプリート!]と書いていますが意味がわかりません。とりあえず階段を登ることにしました。


・◇・◇・◇・◇・◇・◇・◇・◇・◇・◇・


階段は螺旋階段でした。登っていくうちに頭と本に情報が流れてくる気がします。わたしはアンバー。[アンバー]女性体はアンバー。男性体はアンブル。あなたはアンバー。預言書を携えし御使い。創造神■■■■の手足となりて世の歪みを整えし者。あなたは■■■■。この世界を創りし我が主。新たな肉体を手にしてあなたの創造せし世界を旅する者。新たな肉体を手にして―――


◇記憶の同化を完了しました。


ノイズのかかった声が頭の中に響きました。頭が割れそうな程痛い。たくさんの情報とわたしが……いや、この身体が生成され、何故あの場所に居たのかがわかりました。

この子は依代。今から遠い昔に作られたうちの一つ。その中でも不具合が起こりやすい個体だったようです。創造神……いやわたしたちはそれを気に入り、わたしたちの肉体として使おうとしていました。しかし、同化プロセスが半分くらい進んだところで予期せぬ……いや、予想していたと言うべきか。エラーが起こり半神半人となってしまったようです。他の個体はわたしたちの欠片を馴染ませ手となり足となり、目となり耳となり、時には口になり世界に散らばって行きました。……その半数以上はわたしが目覚めた場所のような遺跡の最深部に眠っているようです。目覚めて活動している個体もいるみたいです。


わたしはただの泥人形では無く半分神様になっていたせいで[念話]などが使えたそうです。他の個体達は本の特異性を使えても同族同士でしか[念話]など精神に作用するものは使えないそうです。つまり、わたしは創造神のお気に入りで特別製らしいです。何も嬉しくない。なんとなく不満に思いながら長い長い階段を登り切ると本に《琥珀の森・儀式の間》と表示されました。


・◇・◇・◇・◇・◇・◇・◇・◇・◇・◇・


階段から儀式の間へ繋がる廊下には黒いモヤがかかっていました。これは最深部を無闇に荒らされないようにするための幻惑だそうです。廊下から儀式の間を見たときはただの通路だったのに儀式の間から自分が出てきた場所を見ると壁になっていました。触れても壁。ここを通せと念じると手が壁をすり抜けました。少し離れて場所を知りたいと念じると廊下に繋がる壁が気持ち揺らいで見えました。なるほど。これで隠し部屋などが判別できると。ちなみにこれは[念視]というらしいです。わたし以外の同族も当たり前に使えるようです。何なら常に念視状態のようでそれが当たり前みたいです。本にはそう書いていました。


それはさておき、儀式の間はとても広いです。壁画もなんだか気合いが入ってる気がします。アーチ状の天井にも壁画と同じタッチで絵が描かれています。本によると創造神による世界創造の絵のようです。わたしが知ってる創造神は複数人いたような気がしますが最深部と違い儀式の間の壁画では皆同一人物として描かれていました。動物たち以外にも定期的に人が入っているようで儀式の間の祭壇にはお供え物のようなものが置いてありました。ほとんどは動物たちのご飯になっているようですが……。

丸い果実を見つけて興味が湧いたので全部本に入れてみました。本には[リンゴ]と表示され、食べれる果実だと書かれていました。齧ってみると酸味が強いですがとてもおいしい。瑞々しく採れたてのような感じがしました。リンゴをむしゃむしゃしていると手のひらサイズの白い虫の羽とうさぎ耳の生えた人間の子供のような生き物がトコトコト寄ってきました。

「主さま!こんにちは!」

主さまとはわたしのことでしょうか?ムカデちゃんも言っていたけどわたしは創造神ではありません。多分この子の主さまでも無いと思います。

「はじめまして、わたしはアンバー。主さまではありませんよ。ところであなたは誰ですか?」

「主さまじゃないの?でも主さまと同じ紙の束を持ってるよ。あっ、ぼくは妖精って言われてる!名前はありません!」

名前が無いと言うことでとりあえず本をかざしてみました。白いページがジワジワと染まり、この子の情報が浮かび上がりました。


[歓喜の蛾の妖精]

性別 ― 状態 ー


創造神により虫を基に作られた蛾の妖精。創造神は虫の中でも蚕を深く愛した為その姿は蚕と言う神話に登場する虫をモデルに作られている。うさぎの耳のような触角がついているがうさぎではない。蛾である。とても無垢で温厚な性格で疑うことを知らない。稀に心の清らかな人間の子供の前に姿を現す。祝いの場で甘い香りがすると歓喜の我の妖精がいることが多い。草食。

注意!食べてもそこまで美味しくないので食べないでください。


……最後の一文は何!?この子を食べた人がいるの!?何のために!?!?そう困惑していると妖精さんが本を覗き込んできました。

「これってぼくのこと書いてるの?おもしろいね!主さまって絵がうまいね。ぼくのことしっかり描けてる。にんげんってぼくのことうさぎかなんかだと思ってるみたいでいつもうさぎとして描いてくるんだ。ぼくは虫の妖精なのにね!」

いきなり弁舌になりましたね。最後の一文が気になりすぎるので聞いてみました。

「……妖精さんって人間に食べられたことあるの?」

「あるある!あるよー!ずっとむかしにぼくの仲間が捕まったことがあるらしいんだけど、そのときにガブッとやられたらしいんだよね。そのにんげん、ぼくの仲間をかじったあと『おえ〜』ってなってたらしくてその隙に逃げてきたんだって。あとおひるねしてるときにたまに他の生き物にかじられることがあるんだけどみんな『おえ〜』ってしてるみたい。かじったくせに失礼だよね!」

「そうなんだあ」

なんかぷんぷんしてる。そして本当に不味いらしい。齧られても生きてるのってすごい。

創造神は生き物が大好きです。もちろん虫さんも。人間はすぐケンカするから好きでも嫌いでもない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ