ボーナス
ウパラが顔を上げたのはわたしが367本目のナイフを作り終わった時だった。
「アンバー、悪いけど町は後回しにするよ。近場で悪魔憑きの反応が出た」
「悪魔憑き?」
「狂獣病に罹患した個体だね。しかも今回は有角人獣と来た。厄介だけどボーナスポイントが貰えるから討伐に参加するよ」
有角人獣とは黒煙の森の奥深くに住む種族らしい。ほとんど森から出てくることはないそうだ。
「ここ何十年も人型の悪魔憑きが発生することはなかったのに……。何かあったのかな……」
「討伐って具体的に何をするの?」
「あ~、そうだねえ……手っ取り早いのが息の根を止める事かなあ。でも悪魔憑きの段階なら治療次第で正気を取り戻すこともあるから捕縛して治療する手もある。でも僕なら面倒だから一思いに殺してあげるかなあ……悪魔憑きから狂獣病に変異したら本当に手がつけられなくなるんだよねえ……」
「治療……できるの?」
「狂獣病に変異してなかったら治療は可能だけどすごく時間がかかる上に暴れるからだるいんだよねえ」
「治療できるなら治療してあげたい。まだ助かる命なら何かしたいの」
「ぅえ〜?アンバーがそう言うならやってもいいけど狂獣病に変異したらすぐ息の根を止めるからね」
「わかった。わたし頑張る」
「とりあえず散らばったナイフの山を片付けてから移動しようか。」
「あ、はい」
わたしはナイフの山を全て本に仕舞い、ウパラの後ろについて行った。狂獣病のことが書かれていないか調べながら進むことにした。
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ウパラと悪魔憑きの反応がある場所を目指して歩いていると白い花が咲いているのが目にとまった。変な匂いのする草や目のようなものがはまっているキノコなど採取しつつ進む。
段々と陽が傾いて暗くなってきた。
「ウパラ、まだかかりそう?」
「それなんだけどさあ、正直わかんない。近付くにつれて反応が消えたり現れたり凄い勢いで移動したりしてなかなか遭遇できないんだよねえ。うちらの場所に一瞬反応が写ったと思えば数キロ先に変わったり……動きが変則的で何か変なんだよねえ」
ウパラが話している途中で足元に白っぽい毛の束が落ちているのが目に入った。
「ねえ、これって……うわっ!!!」
「アンバー?」
ウパラが後ろを振り返るとアンバーの姿は無かった。
狂獣病は狂犬病が元ネタです。




